2026年8月13日、千葉県全域を集中豪雨が襲いました。線状降水帯が何時間も県域に被さる状況が変わらず、甚大な被害が報じられています。被害に遭われた方にお見舞い申し上げます。そしてこのような自然災害に対して、生活再建の柱となるのが保険による保障です。今回のような集中豪雨はどのような保険で、どのようにカバーできるのでしょうか。
集中豪雨には「水災補償」
今回の大雨では、気象庁から警戒レベル5(緊急安全確保)が発令されました。すでに災害が発生しているか、切迫している命の危険がある状況です。命を救えたあと、被災者が向き合うのが生活再建です。万が一のために、損害保険を活用することが広く知られています。とはいえこれまで、水害への備えは地域によって温度差が目立っていました。
まず、大雨やゲリラ豪雨による損害の補償をつけるには「水災補償」をつける必要があります。水災補償は、火災保険に含まれていることが多いです。一般的に河川や海の近くなどの家屋や、自治体のハザードマップにて危険度が指摘されるケースでは、保険担当者からも水災補償の必要性が案内され、被害に対する補償が行われてきました。近年、ネット保険からの加入者が増えても、その傾向は変わりません。
水災補償では、以下いずれかの損害が生じた場合に保険金の支払い事由となります。
・建物や家財に再調達価格の30%以上の損害が生じた
・床上浸水によって損害が生じた
・地盤面より45cmを超える浸水によって被害が生じた
参照:ソニー損保 大雨・ゲリラ豪雨による損害 -自然災害による損害の補償-|ソニー損保の新ネット火災保険
つまり、被災前から「リスク」がわかれば、水災補償によって備えることが可能です。
自動車の水没に対する補償
自動車に対する補償はどうでしょうか。
大雨や洪水で車が水没・浸水した場合、車両保険に加入していれば補償の対象となります。車両保険は自動車保険のなかで、自分の車が壊れたときの損害を補償する一部の補償です。車両保険は一般型のほか、補償を絞ったエコノミー型がありますが、どちらも水害は補償されるのが一般的です。保険を使うと翌年の等級は1等級下がり、保険料が上がります。
実際に車が水没してしまった場合は、車両保険に加入していれば修理代が支払われます。また、シートの高さ以上に浸水して電気系統が故障した場合や、修理金額が車の価値よりも高い「全損」の場合は、車両保険金額の保険金が支払われます。
また今回の豪雨では、短期間の降雨で道路が水没し、動かせなくなった車が路上に残されています。損害保険会社との契約内容にもよりますが、保険会社が車両を回収するケースが多いようです。ロードサービス特約の適用距離を超えるかどうかがポイントとなる場合が多いと考えられます。

水害発生はどこまで「読める」のか
今回、千葉の大網白里周辺の被害が報じられていますが、この周辺は雨が貯まりやすい盆地ではなく、大きな河川がありません。通常は水害へのリスクはさほど高くはないと判断される土地です。千葉県は地震の多い地域でもあるため、九十九里浜に近いこの地域では2011年の震災でも強い揺れが観測され、「地震による津波への補償」が重視されていたと考えられます。地震保険も同様ですが、近年はリスクが低く、「この場所にその保険は必要ないですね」とされる災害が突発的に発生します。
各家庭が支払うことができる保険料には上限があります。あれもこれも危険性があるから、すべてに補償するというのは現実的に難しく、通常は「重要度の高いものを可能な限り優先して」という考え方になります。近年の災害は、この優先度をあざ笑うかのように無視した災害が多いように感じます。どのように各地域、各家庭へのリスクを正確に届けるのか、専門家でも頭の悩ませるところです。
言い換えれば、火災保険や車両保険を提供する保険会社は、この危険性を「啓発」する義務があると思います。損害保険会社が「リスクが低い」と先入観を持たれていて、保険加入率が低いところに加入を促す活動です。当然1社だけでは負担が重いため、関連協会など業界単位で連携して取り組むことが必要です。
1995年の阪神淡路大震災のとき、大きな揺れに襲われた阪神地方は「大きな地震は来ない街」として認識されていたという話を聞いたことがあります。それ以来日本全国各地で地震が起こることによって、地震保険の認知度も大きく変わりました。今回、河川の近くでも被害の可能性はあると考えられ、水害特約の必要性も見直されていくことでしょう。
ただ、これらの動きには時間がかかります。そのあいだ、2026年に限ってもこれから本格的な台風シーズンが到来します。「このあたりに強い雨は降らないだろう」という先入観に捉われることなく、何があってもおかしくはないという準備が必要です。そのうえで、損害保険まわりの考え方もこれから大きく変わっていきます。各家庭が当事者ごととして被害の可能性を再考し、保険の検討をはじめることを強くお勧めします。



