NYマーケットダイジェスト・13日 株大幅反発・金利上昇・円安・ドル一転下落

(13日終値)

ドル・円相場:1ドル=147.12円(前営業日比△0.21円)

ユーロ・円相場:1ユーロ=143.94円(△1.37円)

ユーロ・ドル相場:1ユーロ=0.9776ドル(△0.0073ドル)

ダウ工業株30種平均:30038.72ドル(△827.87ドル)

ナスダック総合株価指数:10649.15(△232.05)

10年物米国債利回り:3.95%(△0.05%)

WTI原油先物11月限:1バレル=89.11ドル(△1.84ドル)

金先物12月限:1トロイオンス=1677.0ドル(▲0.5ドル)

 

※△はプラス、▲はマイナスを表す。

 

(主な米経済指標)      <発表値>    <前回発表値>

9月米消費者物価指数(CPI)

前月比             0.4%        0.1%

前年比             8.2%        8.3%

エネルギーと食品を除くコア指数

前月比             0.6%        0.6%

前年比             6.6%        6.3%

前週分の米新規失業保険申請件数 22.8万件      21.9万件

 

※改は改定値、▲はマイナスを表す。

 

(各市場の動き)

・ドル円は7日続伸。注目の9月米消費者物価指数(CPI)が総合/コアともに予想を上回ったことが伝わると、米連邦準備理事会(FRB)の大幅利上げが続くとの見方が強まり、米長期金利の上昇とともドル買いが活発化。上値の目処として意識されていた1998年8月の高値147.66円を上抜けて一時147.67円と90年8月以来の高値を付けた。

 ただ、32年ぶりの高値を付けたことで、政府・日銀による円買い介入への警戒感が強まると一転下落した。高値更新から約1分で146.50円の本日安値まで売り込まれた。

 もっとも、日米金融政策の方向性の違いから押し目買い意欲も旺盛で、そのあとは147.51円付近まで持ち直した。米国株相場の持ち直しに伴うクロス円の上昇もドル円のサポートとなった。

 

・ユーロドルは反発。予想を上回る米インフレ指標をきっかけにユーロ売り・ドル買いが先行すると一時0.9633ドルと日通し安値を付けたものの、米長期金利の上昇が一服すると再び強含む展開に。一時は540ドル超下落したダウ平均が上げに転じ、950ドル超上昇すると為替市場ではリスク・オンのドル売りが加速。2時30分過ぎに一時0.9806ドルと日通し高値を更新した。

 なお、米10年債利回りは一時4.0754%前後と2008年10月以来14年ぶりの高水準を付けたものの、そのあとは3.89%台まで低下する場面があった。

 

・ユーロ円は3日続伸。米CPI発表後は株価の急落とともにリスク・オフの円買い・ユーロ売りが入り一時141.78円と日通し安値を付けた。ただ、ダウ平均が寄り付き直後に付けた日通し安値から1500ドル上昇し3万ドル台を回復するとリスク・オフの巻き戻しによる円売り・ユーロ買いが優勢となった。2時30分過ぎには一時144.09円まで上値を伸ばした。

 

・ポンド円は急伸。「英当局者らはトラス首相の減税計画を方向転換する作業を進めている」との一部報道が伝わると、英財政悪化への懸念が和らぎ全般ポンド買いが進行。米国株相場の持ち直しに伴う円売り・ポンド買いも出て一時167.29円まで値を上げた。日本時間夕刻に付けた日通し安値162.32円から約5円の上昇となった。

 

・米国株式市場でダウ工業株30種平均は大幅に反発。9月米CPIが予想を上回ったことで、FRBが積極的な金融引き締めを続けるとの見方が強まると売りが先行。一時540ドル超下落した。ただ、短期筋のショートカバーをきっかけに買いが強まると上げに転じ、午後には950ドル超上昇する場面があった。市場では「投資マネーの動向に振り回される展開になった」との声が聞かれた。

 ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は7日ぶりに急反発した。前日に2020年7月以来の安値を付けたあとだけに短期的な戻りを期待した買いが入った。

 

・米国債券相場で長期ゾーンは反落。9月米CPIが予想を上回ったことで、FRBが積極的な金融引き締めを続けるとの見方が強まると債券売りが広がった。利回りは一時4.0754%前後と2008年10月以来14年ぶりの高水準を付けた。ただ、売り一巡後は値ごろ感から押し目買いが入り上げに転じる場面もあった。市場では「4%を超える利回りは投資家にとって魅力的」との声が聞かれた。

 

・原油先物相場は4日ぶりに反発。9月米CPIが予想を上回り、金利先高観の強まりを嫌気して米株が下げると、リスク資産でもある原油にも売りが強まった。一時85ドル半ばまで下値を広げている。ただその後に米株主要指数が大きく切り返すと原油先物も急ピッチで値を上げ、安値から4ドル超高い水準まで買われる場面があった。

 

・金先物相場は小幅続落。9月米CPIが予想を上回ると米金利が急上昇し、為替はドル買いが強まった。これらを嫌気して金には売り圧力が強まり、一時1648ドル台と約2週間ぶりの安値を記録した。ただその後に米金利の上昇が一服し、ドル売り戻しも進んだため、金先物は下げ幅を縮小して終えた。

為替情報部 アナリスト

中村 知博

鹿児島出身。2007年国際金融情報サービス会社に入社。 外国為替取引会社・金融機関への24時間リアルタイム金融情報サービスの為替記者として従事。市場動向や見通しなどを解説する動画サービスの業務も経験。 2017年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

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