ボリンジャーバンドとは?
ボリンジャーバンドは、米国のジョン・ボリンジャー氏が発案した世界的に有名なテクニカル指標です。
「相場はある期間の平均値から大きく離れた水準には長くとどまらない」と考えることを基本としています。
相場の自律反発を狙う水準を判断するときや、時には上昇や下落トレンドの波に乗るタイミングを教えてくれることがあります。
標準偏差という概念が大きな特徴
ボリンジャーバンドは、単純移動平均線を中心に標準偏差(σ、シグマ)を加えて描いたものです。金融市場では一般的に標準偏差をボラティリティと考えます。
チャートは標準偏差(σ)と標準偏差を2倍にしたもの(2σ)を単純移動平均線(中央値)からそれぞれプラスとマイナスの方向に広げ、合計5本のラインで構成されます。
価格が移動平均線の周りに正規分布していると仮定し、中央値に近い値ほど出現確率が高く、価格推移は-1σ~+1σに68.3%、-2σ~+2σに94.5%に収まるという考え方です(図表1)。-3σ~+3σでは99.7%まで広がりますが、中央値から2σ以上乖離した値の出現確率は極めて低いといわれます。
計算法と描かれるチャート
ボリンジャーバンド(n日)の計算式は、「移動平均線(n日)±A×標準偏差(n日)」です。Aは1~2を使うのが一般的です。nは分析する期間や商品にもよりますが、一般的には「20」を使うことが多いです。計算期間を短くすれば短期投資に、長くすればより長期の投資に用いることができます。
20日移動平均線(以下、20日線)を使う場合、20日間の標準偏差(1σ)とその標準偏差の2倍(2σ)を、20日線から上下にそれぞれ2本加えると、上から「+2σ→+1σ→20日線→-1σ→-2σ」の順番でチャートに描かれます。
逆張りでの利用方法
投資手法には、「順張り手法」と「逆張り手法」の2つがあります。ボリンジャーバンドは両方の投資手法を使い分けることができます。まずは、投資の熟練者向けとされる「逆張り手法」を説明します。
価格が-2σまで下降してくると反発に転じることが多く、逆に+2σまで上昇してくると反落に転じる習性を狙います(図表2)。
順張りでの利用方法
次は「順張り手法」です。「順張り手法」は相場の流れに沿った売買手法で、投資の初心者に向いている手法といわれています。
図表3のように、新規の材料が出た時やトレンドが発生する際、価格が+2σや-2σを押し広げるように動きます。逆張りとは違い、+2σや-2σを終値でブレイクした方向に順張りでポジションをとります。
+2σをブレイクしたのであれば買いポジション、-2シグマをブレイクしたのであれば売りポジションを持ちます。バンドの上限や下限を脱する動きを異例の勢い(相場の流れが変わった)と判断するからです。
売買活用方法だけでなく、ファンダメンタルズ分析も
このように、ボリンジャーバンドでの売買活用方法には、逆張りと順張りの2通りの方法があります。とはいえ、発案者のボリンジャー氏の提唱する「ボリンジャーバンドの基本」とは、大きなトレンドをフォローし、利益を積み上げることを狙う順張りスタンスの活用にあります。
また、ボリンジャーバンドは、価格のみに限定して利用するだけでなく、出来高や経済指標、ファンダメンタルズ分析などへの利用も可能とされています。
後編では、ボラティリティの低下を示す「スクイーズ」とボラティリティの増加を示す「エクスパンション」について説明します。