新型コロナウイルス感染症による入国規制が緩和された影響もあり、2023年から外国人旅行客が増えています。
ただし、インバウンド需要について聞き慣れるものの、用語の意味についてよく理解できない方もいるのではないでしょうか。
本記事ではインバウンド需要について解説しつつ、外国人旅行客が増えたことによる影響と、国内消費額が増えている業界にスポットを当てて銘柄を紹介します。ぜひ、参考にしてみてください。
そもそもインバウンド需要とは?
インバウンド需要とは、外国人旅行客による日本の商品やサービスなどへの需要のことを指します。
過去のニュースにおいて中国人観光客の爆買いが話題になりましたが、外国人旅行客による消費行動によって日本経済はプラスの恩恵を受けます。
宿泊・観光地の訪問・商品の購入などによって消費が増えると、国内企業の売り上げが増加するのがメリットです。インバウンド需要が高くなると、以下の業界にとってプラスに働きます。
・小売業(百貨店・コンビニ・家電量販店・免税店など)
・宿泊業(旅館・ホテルなど)
・飲食業(飲食店・居酒屋など)
・観光業(テーマパーク・動物園・美術館など)
・交通業(鉄道・バス・タクシーなど)
2020年における新型コロナウイルスの世界的な蔓延によって、外国人旅行客の数は減少していました。それにともない、2020~2022年における外国人旅行客の国内消費は大きく落ち込んでいます。
画像引用元:通信白書2023|経済産業省
2023年コロナ規制緩和と円安の影響で外国人観光客が増えている
コロナによる入国制限の緩和と円安の影響によって、2023年以降に外国人旅行客が大きく増えています。
日本政府観光局の発表によると、2023年9月の外国人旅行客の数は218.4万人でした。これは2019年9月と比較すると96.1%にも及ぶため、ほぼコロナ前の水準に回復した計算です。
インバウンド需要による消費の内訳は「宿泊費」「買物代」「飲食費」が上位を占める
当然ですが外国人旅行客が増えると、国内消費も増えます。以下画像は「2019年7-9月」と「2023年7-9月」の費目別の国内消費の内訳です。
画像引用元:【訪日外国人消費動向調査】2023年7-9月期の全国調査結果(1次速報)の概要|観光庁
全体でみたときに2019年と比べて2023年は17.7%の国内消費が増えています。また2023年の内訳をみたときに、以下の3項目が上位を占めていました。
・宿泊費:34.2%
・買物代:26.1%
・飲食費:22.9%
宿泊先のホテルや旅館での売上が増えていて、さらに観光先で買い物を楽しむ方が多い傾向です。
インバウンド需要によって外国人旅行客がお金を使っていた宿泊関連3銘柄を調査
本章ではインバウンド需要で国内消費のもっとも大きかった宿泊関連の3つの銘柄について、紹介します。
1. リゾートトラスト
リゾートトラスト(4681)は、愛知県名古屋市に本社を置く総合リゾート企業です。会員制リゾート業界80%のシェアを持っていて、国内では第1位にあたります。
会員制リゾート以外には、ホテルレストランとメディカル事業を複合的に経営しています。
一般顧客向けのホテル運営とは異なり、ある程度お金に余裕のある世帯向けの価格設定にしているのが特徴です。また顧客満足度を高めるために、ホテル事業とセットでメディカル事業を展開している形です。
外国人旅行客の取り込みによって、どのように業績を伸ばしていくか注目できます。直近5年間の株価推移は、以下画像のとおりです。
出典:TradingView
2. 帝国ホテル
帝国ホテル(9708)は1887年創業と、130年以上の歴史ある老舗企業です。日本を代表する高級ホテルを中心に、不動産賃貸業も経営しています。
2023年9月26日に新設された株主優待によって、1単元(100株)以上の株式を保有していれば、ホテルのサービス券が付与されます。9月30日に株式分割を実施しているため、個人投資家にとって以前より優待を受けやすくなりました。
インバウンド需要とあわせて、今後の売上高の推移に注目してみてください。
出典:TradingView
3. 共立メンテナンス
共立メンテナンス(9616)はビジネスホテル(ドーミーイン)と学生・社員寮事業を中心にサービスを展開する企業です。ビジネスホテルのほかに、リゾート事業も展開しており、2つの拠点は全国で131箇所におよびます。
2023年に入ってから増収増益のニュースを発表しており、8月に一度株価が大きく上昇していました。興味のある方は、今後の動向にも注目してみてください。
出典:TradingView
※上記は「関連銘柄」の紹介であり、購入を推奨するものではありません。企業や財務の分析は筆者個人の見解に基づくものであり、筆者が所属する組織・団体の公式見解ではありません。