世界のアマゾンが注目したアイスタイルってどんな会社?

女性の口コミが支持を集める@cosme


化粧品・美容総合サイト「@cosme(アットコスメ)」を運営するアイスタイルは2022年8月15日、米アマゾン・ドット・コムと資本業務提携を結んだことを発表しました。アマゾン社が新株予約権などを通じてアイスタイルに投資し、将来的に筆頭株主となる見込みです。


正確には三井物産とも資本提携するなどの発表がありましたが、資本関係のややこしい話は置いといて、あのアマゾンが日本の企業に注目したという意味ではなにやら嬉しい気持ちになりますね。


とはいえ、会社の規模でいえば、世界的な規模で何十兆円という売り上げ規模のビジネスを行うアマゾンと、直近の2022年6月期の売上高が344億円のアイスタイルでは、大きな開きがあります。どうしてアマゾンはアイスタイルに投資することを決めたのでしょうか。


アットコスメは日本で最大級の化粧品・美容品関連の口コミサイトです。商品を買おうと思ったときに、インターネットで検索して、レビューや評判を確認することは、今では当たり前のように行われています。そのなかで美容関連に特化した、さまざまな口コミが掲載されているのがアットコスメで、女性を中心にたくさんの人が利用している人気のウェブサイトです。


アマゾンとしてはこの口コミの部分を取り込みたいとの理由から投資をしたという見方が有力なようです。アマゾンにも同様に商品のレビュー機能がありますが、恣意的に評価を高めて検索で上位に表示されやすくする偽レビューの増加が問題視されており、こうした疑いのある投稿は年間で何億件にものぼるという推計もあるようです。こと化粧品に限って言えば、アットコスメの口コミの方が充実していると言えるでしょう。



インターネットを通じた女性の利用増につなげる狙いか



また、別の理由としては女性の利用者を取り込みたいという需要もあるのではないかと思います。スタンダード市場に上場するプラネットの調べ(https://www.planet-van.co.jp/pdf/research/net_report_2022.pdf)によると、インターネットで買い物をする際、日用品・化粧品・食品・医薬品について、一番利用するのは楽天市場で49%、ついでアマゾンが45.9%となっています。


世代別・年齢別ではアマゾンを利用するのは20~30代の男性が多く、楽天市場は50代以上の利用が多い傾向があるようです。そのなかでも化粧品については、女性の利用率では、「楽天市場」が27.8%、「Amazon」が19.2%で、「メーカーの公式オンラインショップが16.8%で3位。また、「インターネットでは買い物をしない」と回答した比率も全体の46.1%を占めているとの数字があります。


アマゾンは化粧品については楽天市場にシェアで負けており、かつネットでは購入しないという層もまだまだ多いということがわかります。化粧品は自分の肌に直接つけて使用するものですから、直接店舗などで確かめて購入したいという人が多いという面もありそうです。


実は、アットコスメを運営するアイスタイルは口コミという武器に加え、近年では実店舗に注力し、ネットとリアルの融合を進めてきました。そうした面もアマゾンにとって投資する価値があると判断した理由になったのでしょう。


アイスタイルにとっても提携により、アマゾンにて「@cosme SHOPPING」(仮称)ストアをオープンする予定ということで、大きなビジネスチャンスであると言えます。世界有数の巨大企業に注目された同社の今後に注目です。



日本株情報部 アナリスト

斎藤 裕昭

経済誌、株式情報誌の記者を経て2019年に入社。 幅広い企業への取材経験をもとに、個別株を中心としたニュース配信を担当。

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