旧制度のジュニアNISAはいつまで非課税?

2023年で終了したジュニアNISA(少額投資非課税制度)。本来、ジュニアNISAの解約代金は、高校3年生の12月末まで引き出せないルールでしたが、制度終了に伴っていつでも全額を引き出せるようになりました。


このジュニアNISAについて、「いつまで置いておけるのか」「18歳になったらどうなるのか」「何か手続きをすることはあるか」という質問を受けることがあります。年末のタイミングで確認しておきましょう。


旧制度のジュニアNISAと現在のジュニアNISA


まずは、ジュニアNISAのおさらいです。2023年までのジュニアNISAは、未成年者名義で年間元本80万円まで利用できたNISAです。投資対象は旧制度の一般NISAと同様に、上場株式等と公募株式投資信託です。


旧制度の下でも売却はいつでもできましたが、「払い出し制限」がありました。名義人が18歳になる年度末の前年12月末(一般的には高校3年生の12月末)までは売却代金を引き出せなかったのです。


ジュニアNISAの廃止に伴い、払い出し制限は撤廃されました。ただし、一部解約はできず、全額解約で引き出し、非課税口座は抹消されます。


1月1日時点で18歳未満の子のジュニアNISA


2024年以降、ジュニアNISAに新たな投資はできません。旧制度の下でのジュニアNISAは、投資した年を1年目とし、5年目の年末までが非課税期間です。翌年1月1日時点で18歳未満であれば、5年経った残高が「継続管理勘定」へ移管されます。


「継続管理勘定」とは、18歳の年末まで非課税で運用できる保管場所です。ジュニアNISAの終了に伴ってできた制度で、金額に制限はなく80万円を超えても移換可能です。新たな資金は入れられません。


今年でいえば、ジュニアNISAで2020年の投資分があるお子さんには、2024年秋ごろ、「非課税期間満了通知書」が郵便や電子交付で届いています。


ジュニアNISAの最終年である2023年投資分の非課税満了は、2027年末です。これが移管される2028年まで、順次、年単位で継続管理勘定に移管されていきます。


年末時点で5年経っていない非課税口座の残高は、それぞれ期間満了まで、ジュニアNISAとして非課税のまま運用が続きます。非課税期間の途中で18歳になったとしても、5年目の年末まではジュニアNISAとして非課税で運用が続きます【図】。



その後18歳になると、次に説明する「1月1日時点で18歳の子の場合」と同様の扱いになります。


1月1日時点で18歳になっている子のジュニアNISA


18歳になると、その年末にジュニアNISAの非課税期間が満了した分が、年明けに課税口座へ移管されます。すでに非課税期間が満了して継続管理勘定に入っている分も、課税口座に移管されます。


今年でいえば2025年1月1日時点で18歳になっているお子さんが対象です。2020年に投資や積立投資をしたジュニアNISAの残高と、2024年に継続管理勘定に移管された残高があれば、課税口座に移管されます。


課税口座とは、「一般口座」や「特定口座」のことです。


課税口座についての詳しい解説は、以前の記事で説明しています。『証券税制の基本「一般口座」と「特定口座」』をご覧ください。


NISA口座の取引金融機関に「特定口座」がある人は「特定口座」、ない人は「一般口座」です。「一般口座」「特定口座」の両方を持っている人は、基本的には「特定口座」に移管されますが、申し出れば「一般口座」への移管も可能です。


また、例えば2018年に投資したジュニアNISAは、解約していなければ2023年のジュニアNISAとしてロールオーバーされています。ロールオーバーは、旧制度の一般NISAと同様、5年の非課税期間が満了した時点で翌年のNISAに自動的に移管される措置。2018年に投資したジュニアNISAは、2023年のジュニアNISAとなっており、2027年末が非課税期間満了です。


注意したいのは、ジュニアNISAからは成人の新NISAに移管できない点です。ジュニアNISAの名義人が18歳の誕生日を迎えると、金融機関では、その翌年の成人のNISA口座を自動的に開設します。それでもジュニアNISAの期間満了分は、成人のNISAに移管できません。


ジュニアNISAで投資していた資金を成人のNISAに入れるためには、年内にジュニアNISAとして売却(解約)するか翌年に課税口座で売却(解約)してから、成人のNISA口座で改めて買い直すしかありません。


移換される場合の注意点


非課税期間が満了し継続管理勘定や課税口座に移管される場合、知っておいてほしいことがあります。成人対象の旧制度である一般NISAやつみたてNISAと同様に、移管された時点で、取得価額つまり「買い値」がリセットされる点です。


特に、課税口座では売却時の税金の計算に関わりますので、よく理解しておきましょう。


課税口座に移管されると、帳簿上の買い値はジュニアNISAで買った時の金額ではなくなります。非課税期間や継続管理勘定の最終年の年末の終値が課税口座の取得価額になります。


移換されて課税口座で売却する際の税金については、前回記事『旧制度の一般NISAが5年経ったらどうなるか』の中で説明していますので、ご覧ください。


年末の取引は、受渡日にも注意


また、株式や投資信託には、「受渡日」という概念があります。取引した日ではなく、その代金や証券の決済が完了する日のことです。国内市場の上場株式は、売買が成立した日を1日目として3営業日目が受渡日です。


海外市場の株式や外国籍の投資信託は、時差がある上、市場ごとに受渡しにかかる日数が異なります。


国内で販売されている投資信託も、銘柄ごとに受渡日が定められています。投資信託の運用に外国証券が組み入れられていると、取引や決済に日数を要します。また、年末はクリスマス休暇などで海外市場が休みになる日もあり、通常より日数がかかる場合もあります。


ジュニアNISA内の投資信託を非課税期間内に解約したいと思ったら、受渡日も確認しておきましょう。


ファイナンシャル・プランナー

石原 敬子

ライフプラン→マネープラン研究所 代表 ファイナンシャル・プランナー/CFP®認定者。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。終活アドバイザー® 大学卒業後、証券会社に約13年勤務後、2003年にファイナンシャル・プランナーの個人事務所を開業。大学で専攻した心理学と開業後に学んだコーチングを駆使した対話が強み。個人相談、マネー座談会のコーディネイター、行動を起こさせるセミナーの講師、金融関連の執筆を行う。近著は「世界一わかりやすい 図解 金融用語」(秀和システム)。

石原 敬子の別の記事を読む

人気ランキング

人気ランキングを見る

連載

連載を見る

話題のタグ

公式SNSでも最新情報をお届けしております