【米国株インサイト】業績上振れ銘柄:シスコシステムズ、安全な製品でAI分野の成長を支援

シスコシステムズ、売上原価の抑制で採算が改善

ネットワーク機器のシスコシステムズ(CSCO)が発表した2025年2-4月期決算は売上高が前年同期比11%増の141億4900万ドル、純利益が32%増の24億9100万ドルとなりました。非GAAP(米国会計基準)のEPS(1株利益)は0.96ドルで、LSEGがまとめた市場予想の0.92ドルを4.6%上回っています。


需要増で売上高が増える中、特にサービス部門の売上原価を抑制し、採算が改善しました。営業費用が小幅ながら前年同期を下回った効果も加わり、営業利益は46%増の32億200万ドルに達しています。ただ、比較対象となる前年同期に資産減損損失・リストラ費用として5億4200万ドルを計上しており、こうした特別要因を除く非GAAPの純利益は8%増の38億3100万ドルと伸び率が低くなります。



セグメント別の売上高は製品が15%増の103億7400万ドル、サービスが3%増の37億7500万ドルです。製品別ではスイッチやルーター、サーバー、関連ソフトウエアなどで構成するネットワーキング事業が8%増の70億6800万ドルと堅調でした。セキュリティー事業ではネットワークセキュリティーやID管理、脅威の検知と対応といった機能を持つハードウエアとソフトウエアを提供しており、売上高は54%増の20億1300万ドルに急拡大しています。


チャック・ロビンス最高経営責任者(CEO)は「人工知能(AI)成長の勢いはわれわれの安全なネットワーク製品に支えられている」とコメントしています。


決算発表時のガイダンスでは2025年7月通期決算の売上高を565億-567億ドル、非GAAPのEPSを3.77-3.79ドルと予想しました。前回の決算発表時には通期の売上高を560億-565億ドル、非GAAPのEPSを3.68-3.74ドルと予想しており、ともに上方修正しています。



ウォルマート、Eコマースが2割増と成長

ウォルマート(WMT)が発表した2025年2-4月期決算は売上高が前年同期比3%増の1656億900万ドル、純利益が12%減の44億8700万ドルでした。調整後EPS(1株利益)は0.61ドルで、LSEGがまとめた市場予想の0.58ドルを5.9%上回っています。


投資案件の評価損益などで減益となりましたが、本業は堅調です。売上原価と営業費用の抑制で営業利益は4%増の71億3500万ドルに達しています。



セグメント別では米国事業の売上高が3%増、営業利益が7%増です。売上高ではEコマースが21%増収と成長が続いています。ネットで注文して店舗で受け取るオーダーピックアップや配達といった手段がさらに普及しています。


国際事業は売上高が横ばい、営業利益が1%増と伸び悩みました。ただ、インドのネット通販子会社のフリップカートは売上高を伸ばしています。また、国際事業の広告収入はフリップカートのけん引で20%増えています。



キーサイト・テクノロジーズ、航空宇宙産業向けが堅調

電子計測器メーカーのキーサイト・テクノロジーズ(KEYS)が発表した2025年2-4月期決算は売上高が前年同期比7%増の13億600万ドル、純利益が104%増の2億5700万ドルでした。非GAAP(米国会計基準)のEPS(1株利益)は1.70ドルで、LSEGがまとめた市場予想の1.65ドルを3.3%上回っています。


その他収益の計上で純利益が大きく伸びましたが、本業も堅調で営業利益は17%増の2億700万ドルでした。セグメント別では航空宇宙産業や防衛産業などに設計・検査用の電子計測器やソフトウエア、関連サービスなどを提供するコミュニケーション部門の売上高が9%増の9億1300万ドル、営業利益が6%増の2億3600万ドルです。自動車やエネルギー、半導体といった業界に計測器やソフトウエアを提供する電子産業部門は売上高が5%増の3億9300万ドル、営業利益が30%増の9200万ドルに達しました。


ガイダンスでは2025年5-7月期の売上高を13億500万-13億2500万ドル、非GAAPのEPSを1.63-1.69ドルと予想しています。


中国株情報部

島野 敬之

出版社を経て、アジアの経済・政治情報の配信会社に勤務。約10年にわたりアジア各国に駐在。 中国株二季報の編集のほか、個別銘柄のレポート執筆を担当する

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