実際の流動性を知らない人が実は多い
FXを始めて、市場流動性という言葉を知らない人はほとんどいないかと思います。
一般的に「流動性が高い」ということは、
FXでは「取引参加者が多く、売買が盛んになっている」ことです。
なぜ、このようなことを改めて記載している理由は、ここ最近読んでいた記事で
あまりにもいい加減というか、知らないのにも関わらず流動性について適当な記事を読んだからです。
なぜ、そのような出鱈目な記事が多いかというと、記載している人たちが実際の相場を知らないからです。
そのような厳しい言葉を読まれると「私はFXの経験は20年以上ある」などと反論される方もいます。
しかし、実際の金融相場に立っていないと、本当の流動性があるか否かは分からないでしょう。
しかも、FXは世界中で取引されることで、どこ国の支店が何時頃から動き出すなどを知らなくてはなりません。
例えば、同じ金融機関で働いていても、セールスで国内の顧客(本邦の実需や機関投資家など)
しか相手にしていないトレーダーは
どの時間に流動性があるのを、実はよく知りません。知る必要がないからです。
一方で、インターバンクディーラー経験者は、金融機関が預かっているオーダーなどを
支店間で引き渡すなどの作業もあることで、
どの時間帯にどこの国の支店・本店が始まるかを事細かに知らなければなりません。
また、銀行やインベストメントバンクなどではなく
個人のFXの顧客を相手にしている会社(一般のFX会社や、名称は証券会社でも顧客は個人取引中心)しか経験のない
FX専門家も、実際の流動性があるかないかは、経験が無いことで知る由も無いのです。
流動性のある時間・ない時間
個人的にはアジアでは東京、香港、シンガポールのすべての支店で取引をしました。
また、ロンドン(当時は英系なので本店)でも、人手不足の時は何カ月も出張で取引しました。
NYやアムステルダムでも、日数は少ないが取引経験があります。
その経験を基に、出鱈目が蔓延っていることをただすためにも、
「流動性のある時間」と「ない時間」を記載します。
なお、特別に記載がない場合は日本時間です。また、通貨は円やユーロなどの主要通貨です。
まずは、月曜早朝4時から7時くらいまでは魔の時間帯で、流動性は枯渇しています。
第49回「時間帯を知る①月曜早朝取引・・・これを知らずにやってはいけない」
にも記載していますので、参照してください。
シドニーやメルボルン、オークランドに支店がある金融機関は楽でしょうが
それ以外はアジアのハブとなる支店の早朝番が、月曜朝に出勤して取引を行います。
流動性が無いことで、何も起きないことを祈るディーラーが多いでしょう。
7時過ぎからは徐々に流動性が回復しますが、それでもまだまだで、8時半頃になれば
ようやくある程度の流動性が出てきます。
そして、9時から12時まではFX市場の前場で流動性は高くなります。
12時から13時半までは第50回「時間帯を知る②東京市場とは・・・これを知らずにやってはいけない」
に記載したように、一時的に流動性が悪化します。
しかし13時から15時半は、FX市場の後場で、再び流動性は高くなります。
その後、欧州夏時間ではあれば15時半はロンドンは朝の7時半ですので
まだ、あまりロンドン勢もやる気がない方もいますが、流動性は問題はありません。
16時(ロンドン夏時間8時)から18時頃まではアジアと欧州がかぶっている時間なので
流動性は非常に高いと言えます。要するに、うまくつながりがある時間帯は一番流動性が高いです。
ただでさえ流動性が高い欧州時間ですが、米国(NY)が入ってくる21時前(ロンドン夏時間13時、NY8時)
からは、より流動性が高くなります。
この流動性が高い時間は日本時間0時半(ロンドン夏時間16時半、NY11時半)ころまで続きます。
この0時(ロンドン夏時間16時)頃まではロンドン勢も、ロンドンフィキシングなどがあり、
それなりに忙しいのですが、0時半頃からは完全に終戦モードになり、大衆紙などを読んだり、帰り支度になります。
そして、1時(ロンドン夏時間17時)が1分でも過ぎると、ディーリングルームにいた200人のうち190人は帰ってしまいます。
日本のように、だらだらと残っているディーラーはほぼいません。
そして、NYだけになった日本時間1時からは、流動性が徐々に減少していきます。
けっこう出鱈目が多い
今回の記事を書いていて思うのは、FXに個人投資家が参入してから数十年経ったこともあり
かなり多くの出鱈目記事が蔓延っています。
役に立つ記事もありますが、かなり出鱈目な記事も多いので、
書いている人がどのような経験を積んできているのかを確かめる必要性もありそうです。