ドル円だけではわからない
良くも悪くも世界経済の中心は米国であり、日本にとっても米国は経済だけではなく
様々な面でつながりの深い国であることは間違いありません。
よって、円安の報道でも、ほぼ全てがドル円レートを基準に語られています。
しかし、為替市場を見ているときに、ドル円だけ見ていては分からない場面もあります。
例えば、4月29日に本邦当局者がドル売り・円買い介入を行い
ドル円は160円台から154円台へと急落しました。
その後は、ドル円は先週半ばまではじりじりとしか上げ幅を広げることが出来ませんでした。
しかし、他通貨はどうだったでしょうか?
ドル円が高値更新する前に、クロス円を見ておけば分かることもある
先週までドル円の上値が抑えられていたのは、160円という水準で為替介入が入ったことで
市場がその水準を意識したことや、160円にオプションを設定したことなどが原因で
なかなか、ドル円が再び160円を超えるのが難しい状況になっていました。
しかし、先週はドル円がなかなか160円を超えない中で、他の対円での動きはどうだったでしょうか?
例えば、先週豪州の消費者物価指数(CPI)が発表されましたが、市場予想よりも
インフレ率が上振れたことで、豪準備銀行(RBA)が政策金利を当面維持する
(もしくは利上げの検討)との予測で、豪ドル円は2007年以来の水準まで上昇しました。
他にも、先週ドル円が160円を超える前にNZドル円は1986年以来、ポンド円は2008年以来となる水準まで
円安が進行していました。
このように、ドル円だけ160円を超えて円安にはなかなかならなかったものの
多くのクロス円では何十年ぶりの水準の円安を更新していたわけで
クロス円を見ていれば、ドル円だけ円安が抑えられるのは難しいとの判断をすることも出来ます。
ドルが基軸通貨とはいえ、投資家は常にドルだけを中心に見て取引をしているわけではないのです。
ニュースでドル円が主になるのは仕方がないことですが
為替取引で稼ごうとする場合は、ドル円以外のクロス円の動きを見ないと、全体の流れをつかむことが
できないことます。FXを取引するうえで、ドル円だけしかポジションを持つつもりがなくても
クロス円の値動きを確認しないで取引をやってはいけないでしょう。