本邦の株式市場では開いている時間帯が決まっていることで、
東京市場、前場、後場という言葉があることは知られています。
では、FXの世界ではどうでしょうか?
FXは週末を抜きにしますと、たとえ日本の祝日でもシンガポールや香港、オーストラリアなど
他国の市場が開いていることで、FX市場は動いています。
それならば、東京市場という言葉はあってないようなものなのか?と思われますが
株式市場とは違いますが、金融機関の中では東京市場という括りがあります。
FXでいう東京市場とは?
一昔前は金融機関同士でプライスを出し合い
取引をするダイレクトディールというものがありました。
これはA銀行がB銀行に電話や機械を使い「ドル円10本(10本=1000万ドル)プライスください?」
と問い合わせます。聞かれたB銀行は「(140.)40-45」と応えます。
A銀行がドルを売りたい場合は「ユアーズ」と応え、140.40円で売ります。
逆に、買いたい場合は「マイン」と応え、140.45円で買うことになります。
このダイレクトディールが行われていた時間が、多くの銀行間では
前場が9時から12時まで、後場が13時半から15時半までとなっていました。
この名残りもあり、為替ブローカー(トウキョウフォレックス社等)は
9時になると「おはようございます、よろしくお願いいたします」と金融機関に挨拶し
12時や15時半が終わると「お疲れ様でした」などと挨拶が交わされます。
上述の12時から13時半の間は、金融機関のディーラーは一応昼休みです。
ただし、30年近く金融機関で働いていましたが、昼ご飯を外で食べたのは1年に数回程度しかなく
他は常にディーリングルームで弁当を食べる生活でした。
このようなことを知っても個人でFXに参入している個人投資家には関係が無い
と思われるでしょうが、実はそうでもありません。
この12時から13時半は、何かニュースが無ければ、出来たら取引をするのをやめようね、
というモードになっています。
要するに、この時間は通常よりも市場の流動性が悪いということです。
よって、もしこの時間帯に何かとんでもないニュース等が出た場合は、
通常以上に市場が大きく動いてしまいます。
日銀政策決定会合の結果がでるのもたいていこの時間ですので
サプライズがあった場合の反応は大きくなります。
この時間はそういう状況だと備えていないと、FXをやってはいけません。
東京市場の終わりの時間とは?
上述のように15時半までが東京時間とされています。
株式市場が15時に終わることで、15時が終わりと勘違いしている人もいるようですが
15時半まででがFXの後場時間です。
なぜならば、オプションの東京カットの時間が15時にあることもあり
15時前後はオプションに関係する取引が活発化することもあるからです。
では、15時半になったら金融機関はどういう行動がするでしょうか?金融機関にもよりますが
多くの金融機関では15時半過ぎになれば、取引の一括りとし、これまでの入力確認などの事務作業もあります。
また、この取引の一括りを17時前後にする金融機関もあります。
FXは24時間動いていることで、どこかで括らないと、いつまで経っても収益を計上することが出来ないからです。
その時間の前後は入力された取引があっているかの確認作業に追われ
確認後に「システムを閉じる」という作業が行われます。
現在は多くの取り引きが自動的に入力されることで、入力が間違えていることがあまりありませんが
それでも手入力作業がある取引もあることで、誤差が生じた場合は
誤差が判明されるまで何時までも残って間違えを探さなくてはなりません。
時間帯により市場流動性が異なることで、上述のようにあまり知られていない節目の時間も
知っておくことで、FX取引に有利になることがあります。