金利の値動きに連れることは当然だが・・・
為替の世界が金利動向に左右されるのは、おそらくどなたも理解していると思われます。
先週は米消費者物価指数(CPI)が予想を上振れたことがきっかけで
米連邦準備理事会(FRB)の利下げが遠のいたとの思惑から米金利が上昇。
ドル円もこの動きに連れて、ドル高・円売りに動きました。
しかし、日銀が先月17年ぶりに利上げに舵を切った時は、円買いにはなりませんでした。
これは、日銀がマスコミを使い、利上げを行うことを示唆していたことで
市場がすでに利上げを織り込んでしまいました。逆に利上げ発表後に円安に動いています。
神田財務官が、円安の動きは「反対方向という意味で強い違和感を持っている」
とも述べましたが、市場からすればすでに織り込んでいました。
また、日米金利差が縮小する傾向には程遠いことで、FXをやっている人からすれば
違和感や驚きを感じた人はいないでしょう。
織り込み済みを判断する
市場が織り込むか否かなどは、FXを見ているとだんだんと理解が進むと思いますが
もっとわかりやすいものでは、米金利はシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループが
発表している「フェドウオッチ」をホームページでも確認できます。
日々更新されるサイトですが、何月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で
利上げ・利下げ・据え置きなどの予想がパーセンテージであらわされます。
これ見ていると、市場が何月にどう動くか把握できます。
急に反応しなくなることもあるので要注意
上述のように日銀が利上げをしても円買いにならなかったのは、市場が織り込んでいたから
との理由で理解することが出来ます。
しかしながら、織り込んでいない場合でも、なぜか急に市場が反応しなくなることもあります。
例えば、これまでドルランドは米金利の動向に敏感に反応していました。
米金利が上昇すれば、ドル買い・ランド売りとなり、ドル円の上昇よりもドルランドの
上げ幅が大きくなる傾向があり、したがってランド円は弱含みました。
逆に米金利低下は、ドル売り・ランド買いでランド円も強含んでいました。
ところが、3月後半から米金利とドルランドの値動きが徐々に連れなくなっています。
要因の一つとしては、金先物価格が連日最高値を更新するように
南アが世界最大の生産となっているプラチナ価格も1月以来の水準まで上がったこともあります。
これまでは、ここまではプラチナ価格への反応が敏感ではなかったので
これだけが理由ではないでしょうが、米金利の動きに反応が鈍くなったのは事実です。
いつまでも同じ理由で動くわけではない
このように、相場がこれまで反応していたものが、あまり根拠もなく反応が鈍くこともあります。
その理由を問われて、様々なエコノミストや指南役がしたり顔で理由付けをするでしょう。
しかし、その方たちも本当に分かっているとは言えず、単にトレンドがそうなったということもあります。
ただ、知っておかなくてはいけないのはFXを取引するうえで
これまで動いていた理由をいつまでも信じて追いかけてはいけないということです。
FXの世界は刻々と状況が変わっていることで、これまで動いていたことで動かなくなることもあります。
逆に動かなかったのが急に敏感に反応し動くことがあります。
いつまでも同じ理由で、動くと思っているとFXでは損してしまうこともありますので
FXを同じ理由ばかりで動くと思ってやってはいけないでしょう。