やってはいけないこれだけの理由

第49回「時間帯を知る①月曜早朝取引・・・これを知らずにやってはいけない」

今回は超初心者向けのことを記載しますが、FX市場には時間帯によって上下することがあります。

多くの方はすでに知っていることでしょうが、振り返りとして確認していただければ幸いです。


証拠金FX取引が始まる前…月曜4時~7時


国内の外国為替証拠金取引(FX)業者では通常月曜日は7時から取引が開始されます。

しかし、金融機関はそれより前にオセアニア勢が参入することで

多くは朝の4時からをスタートにしています。


この時間より前に取引が成立することもありますが、イレギュラーなことが無い限りは

時間外として、4時前の出合いは無視しています。

(余談ですが当然電車は無いので自家用車かタクシーで出勤です)


月曜の早朝の厳しいところは、相場が週末に急変して窓を開けて始まるリスクがあるところです。

例えば週末に、ものすごくドル買いを促すニュースが出ていたとします。

週末の金曜日の終値が139.00円だったものが、朝の4時過ぎには140.00円のBIDで始まることもあります。


金融機関のディーラーとしては、その中間(139.00-140.00円)にあった売り・買いのオーダーは

4時過ぎに140.00円BIDから始まると、全て約定しなくてはいけません。

これが利食いオーダーでしたら、139.50円の売りが140.00円で売れることでうれしい限りです。



しかし、ストップロス買いの場合は139.50円のストップロスを140.00円以上で約定となり

しかも、アマウントが大きかった場合は、さらに上値を追いかけて買わなくてはいけません。

週明けの早朝当番はこの恐怖をもって出勤しなくてはならないわけです。


なお、これらの約定するか否かは7時から始まる証拠金取引(FX)業者ではなく

通常の金融機関とつながっている一般顧客(例えば輸出・輸入業者、生命保険などの投資家、

ファンド、同じディーラーなど)に対してのものです。


よって、7時からスタートする証拠金取引(FX)業者の顧客には7時からがスタートとして扱われます。

(注・金融機関とFX業者の取り決めにより、範囲と範囲外の時間設定は異なる可能性もあります)


金融機関のディーラーが証拠金参入を待ち構えるときも…


上述のように、朝の4時からFX業者が始まる7時までは、金融機関により売り買いが交錯します。

朝7時からしか取引ができない個人投資家などはその分ハンデ(ハンディキャップ)があると言えます。


では、金融機関にとって7時の動きをどう待ち構えているでしょうか?


例えば週末にドル買いのニュースが流れているとします・・・

国内の個人FX参加者は米金利が円金利より高いこともあり、とにかくドル買いが好きなことで

ただでさえドル買いを仕掛けるのが好きなのに、週末にドル買いのニュースが流れている場合は

7時になると待ち構えていたように、FX業者からドル買いが入ります。


朝4時から出勤していた金融機関のでディーラーはドルを7時前に買っていることで

個人投資家が我先にと買ってきた7時過ぎに伸びきったところを

「ごちそうさまでした」という感じで、利食い売りをすることがあります。


7時過ぎの上昇、そしてその後の伸び悩みにFXが動くのはこういう構図があるからです。


このように月曜の早朝は様々なリスクがあり、金融機関のディーラーが待ち構えていたりします。

週末に向けてポジションを閉じた方が良いと言われることは、このようなリスクがあるからで

月曜の早朝リスクを知らずにFXはやってはいけないと言えます。


この連載の一覧
第93回「スポーツ賭博もFXも①・・・バンプはやってはいけない」
第92回「毎回同じ理由で動くと思ってやってはいけない」
第91回「クロス通貨・・・どのように算出しているか知らないでやってはいけない」
第90回「FXの世界のギャンブル依存症・・・このような人はFXもやってはいけない」
第89回「カントリーリスク・・・混迷する世界情勢を知らないでやってはいけない?」
第88回「チャートポイントを信じますか?・・こんなチャート利用法はやってはいけない」
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第86回「タカ派ハト派を更新していますか?・・・最新の発言をアップデートしないでやってはいけない」
第84回「月のアノマリーはあるのか・・・その月の特徴を知らないでやってはいけない?」
第83回「中央銀行も変わる・・・マイナーチェンジを知らないでやってはいけない」
第82回「コンプライアンス・・・時代の移り変わりを知らずにやってはいけない」
第81回「こういう人はFXをやってはいけない③・・・利食えない人はやってはいけない」
第80回「こういう人はFXをやってはいけない②・・・損切りが遅い人はやってはいけない」
第79回「こういう人はFXをやってはいけない①・・・自分が正しいと思う人はやってはいけない」
第78回「なぜ年末は取引をやってはいけないのか・・・応当日の特殊事情」
第77回「今年1年は何をやったら儲かったか・・・反省せずに来年はやってはいけない」
第76回「昨年の値動きを忘れずにやってはいけない」
第75回「今年は今週でおしまい?・・・最後の2週間はやってはいけないこと」
第74回「実弾介入しか防げない・・・根強い円安基調でやってはいけないこと」
第73回「感謝祭相場・・・11月の特別事情を知らないでやっていけない」
第72回「要人発言を吟味しないでやってはいけないこと・・・介入は入らない?」
第71回「スイスフランの値動きを見ないで、やってはいけない」
第70回「10月の介入実績ゼロ、介入の噂だけを信じてやってはいけない」
第69回「下手な鉄砲は数撃っても当たるのか?・・・動かない相場の時は何をしてはいけないか」
第68回「中東紛争・・・過去とのFXの動きが違うことを考慮しなくてやってはいけない」
第67回「NZ総選挙を知らずにやるな・・・今日はNZドルに要注意」
第66回「米政治・次回は政府閉鎖も・・・FXも動く可能性あり」
第65回「月末は余裕がない人はやってはいけない」
第64回「ストライキ・・・舐めてはいけない経済への影響」
第63回「どうせなら格好よく言おう・・・こういえば通と思われる?」
第62回「NZ・10月総選挙・・・これを知らないでNZドルを取引してはいけない」
第61回「食料インフレ・・・国によって違うことを知らないでやってはいけない」
第60回「インフレ指標・・・これを知らずにやってはいけない」
第59回「夏枯れ相場でも手を出す3タイプのディーラー・・・やってはいけないのは?」
第58回「中銀は内容だけでなくスケジュールも異なる」
第57回「日銀?分からないときはやってはいけない・・・海外勢は理解不能」
第56回「ブラックアウト期間を知らないでやってはいけない…国によっても違う」
第54回「新聞を確かめずにやってはいけない」
第53回「スワップポイントを知らずにやってはいけない」
第52回「日銀の利上げ?・・・準備を怠らずにやってはいけない」
第51回「対ドル以外の取り引きを見ないでやってはいけない」
第50回「時間帯を知る②東京市場とは・・・これを知らずにやってはいけない」
第49回「時間帯を知る①月曜早朝取引・・・これを知らずにやってはいけない」
第48回「歴史は繰り返す・・・過去の動きを忘れてやってはいけない」
第47回「政治的な動きを知らなくてはやってはいけない」
第45回「経済指標での動きを50/50と思ってやってはいけない」
第46回「常に知識・情報をアップデートしないといけない」
第44回「銀行の融資状況を知らなくてFXをやってはいけない」
第43回「雇用・CPI等から、新たな視点に変えないでやってはいけない」
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【やってはいけないこれだけの理由】第13回「日銀介入に備える…その2」
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為替情報部 アナリスト

松井 隆

大学卒業後、1989年英系銀行入行。入行とともに為替資金部(ディーリングルーム)に配属。以後2012年まで、米系、英系銀行で20年以上にわたりインターバンクのスポット・ディーラーとして為替マーケットで活躍。ロンドン本店、アムステルダム、シンガポール、香港の各支店でもスポット・ディーラーとして活躍する。 銀行退職後は本邦総研、FX会社のコンサルティング、ビットコインのトレーディング等多岐にわたって活躍。 2017年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

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