脱・ほったらかし投資! ビギナーの情報収集

脱・ほったらかし投資! ビギナーの情報収集


みなさんは、資産形成や投資に関する情報収集は、どのように行なっていますか?


人任せや放ったらかしでは、いざ、大きな変化が起こったときに対応できません。お金は、長い人生の伴奏者です。大切な虎の子です。状況に応じて判断を下せるよう、確かな情報収集と活用の仕方を身につけ、お金を上手に育てていきましょう。


商品性を理解せず、外貨や投信を購入する人たち


前回記事『脱・ほったらかし投資! できるところから自分で管理』では、情報を鵜呑みにせず、資料に目を通し自分なりに考えて資産形成をすることを提案しました。とはいえ、情報は玉石混交。有益なものを選ぶのは、とても難しいと思います。


すると「ズバリ銘柄を教えて欲しい」となりがちですが、案外そのような情報は「石」が多いものです。一見、難しそうな「玉」の資料や情報でも、長年触れていると読めるようになります。自分で判断できれば、自分に合った運用も見つけられるでしょう。


ところが残念なことに、金融商品を購入している人のうちの2~3割程度が、商品性を理解していないそうです。


金融広報中央委員会(事務局・日本銀行)が2022年2~3月に全国18歳以上の3万人を対象に実施した「金融リテラシー調査(2022年)」では、株式、投資信託、外貨預金等を購入したことがある人は、2~3割程度。そのうち「商品性をあまり理解していなかった」と「商品性を理解していなかった」という人の合計は、株式が24.8%、投資信託が29.7%、外貨預金が28.7%となっています。


これを「金融情報を全くみない人」に限定すると、全体と比べて驚くほどに差がありました。商品性を理解せずに購入した人は、投資信託は65.8%で、外貨預金が58.3%に上るのです【グラフ1】。



公的機関のサイトで金融リテラシーを磨く


では、金融の知識や金融商品、投資情報を得るには、どうしたら良いでしょうか。


媒体としては、インターネットや新聞、雑誌などが主流です。ご自身の投資スタイルや投資経験、生活環境、ITスキル、考え方によって使い分けると良いと思います。


金融や経済の基本的な知識は、公的機関が発信する初心者向けのサイトやセミナーなどで学ぶと良いでしょう。これから資産形成や投資を始める人は必見です。例えば少額投資非課税制度(NISA)の概要や、金融取引の注意点などについて知りたい場合に適しています。


下記の金融庁のWEBサイト内には、個人投資家向けの情報サイトをリンク集としてまとめたページがあります。


●金融庁「投資を行っている方へ


ここには、金融広報中央委員会(知るぽると)や日本証券業協会、東京証券取引所、投資信託協会、不動産証券化協会などへのリンクが張ってあります。また、金融庁や日本証券業協会が発行する小冊子などの請求ページへのリンクもあります。


具体的な金融商品は、取扱金融機関から情報を得る


具体的な金融商品の情報は、その金融商品の取扱業者から入手できます。業者の多くは金融機関ですが、関わる立場に違いがあります。個人投資家に身近なのは、銀行や証券会社などの金融機関でしょう。投信でこれらは「販売会社」と呼ばれ、リアル店舗のほか、インターネットやアプリでも展開されています。


投信の販売会社の向こうには「運用会社(委託会社)」が存在しています。投信を運用する会社です。自社が運用する投信の情報のみならず、相場環境、金融政策、経済全体の時事情報や分析記事などを公表しています。


商品の概要は、これらが発信する情報が基本です。リアル店舗なら支店やコールセンターに問い合わせると良いでしょう。インターネットやアプリでは、資料をダウンロードできます。


また、動画やコラムなどのコンテンツが豊富な販売会社や運用会社も増えています。初心者からベテラン投資家まで、視聴する対象者に応じた内容で幅広く提供しているところもあります。取引金融機関を有効に使いましょう。


調査会社の情報は、第三者の目で比較・検討できる


当サイト「いまから投資」は、投資情報を取り扱う株式会社DZHフィナンシャルリサーチが運営しています。弊社には多数の証券アナリストが在籍しています。分析力のある調査会社が発信する情報は参考になります。


他にも、銀行や証券会社、保険会社のグループ内には、金融経済情報の調査会社があります。調査会社の分析記事やコラム、動画配信などは、信頼性の高い情報といえます。


また、市場の動向や最新の経済ニュースは、金融系ニュースサイトも適しています。同じような金融商品の間で手数料の比較をしたり、商品を絞り込む「スクリーニング」の機能を使ったり、値動きのグラフ(チャート)を見たりする場合にも便利です。


直近の情報入手先には変化が


金融広報中央委員会では、毎年「家計の金融行動に関する世論調査」を全国 5,000世帯に対して行なっています。金融に関する知識・情報の入手先については、ここ数年に変化が見られます【グラフ2】。「その他」は著名投資家などの動画やブログなどでしょうか。



投資に関する情報収集一つ一つが、経験になります。経験を積み上げれば、自然と自分の投資目的やスタイルが固まってきます。特に熱心に向き合わなくても、時間をかけてじっくり経験を積み上げていけば良いのではないでしょうか。


今回は、投資ビギナー向けに、どのような情報収集をしたら良いかをお伝えしました。景気指標や統計などの一次情報は、政府や日本銀行、東京証券取引所などが公表しています。これらは、金融機関や調査機関が発信する分析情報の元になるものですが、ビギナーが読み解くには少し難しいかもしれません。慣れてきたらチャレンジしてみましょう。


【出典】

金融リテラシー調査(2022年)」(金融広報中央委員会)

家計の金融行動に関する世論調査」〔二人以上世帯〕(金融広報中央委員会)


ファイナンシャル・プランナー

石原 敬子

ライフプラン→マネープラン研究所 代表 ファイナンシャル・プランナー/CFP®認定者。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。終活アドバイザー® 大学卒業後、証券会社に約13年勤務後、2003年にファイナンシャル・プランナーの個人事務所を開業。大学で専攻した心理学と開業後に学んだコーチングを駆使した対話が強み。個人相談、マネー座談会のコーディネイター、行動を起こさせるセミナーの講師、金融関連の執筆を行う。近著は「世界一わかりやすい 図解 金融用語」(秀和システム)。

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