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「DIAM新興市場日本株ファンド」

2022年も残りわずかとなりました。いまさらですが、相場格言で言うと寅年は「千里を走る」と言われています。過去、寅年の日経平均株価は1勝5敗と十二支の中では最下位。今年もこのままだと1勝6敗となってしまいますが、千里を走るといっても株価が伸びる意味ではないようです。


今年はロシア・ウクライナ戦争や、物価高騰、米国の急速な金融引き締め、日銀の政策修正などがありました。寅年では政治・経済において波乱が起こりやすいと解釈されており、今年はこれに当てはまる結果となっています。


一方で2023年は卯年、格言では「跳ねる」と言われており戦績は4勝2敗です。今年は波乱に満ちた1年間となりましたが、来年はいい投資成果が出るようにしっかりと銘柄研究を続けていきたいところですね。


プロ投資家を参考に

銘柄選別には投資家それぞれのスタイルが反映されますが、悩んで行き詰った時には、プロの投資家が何を買っているのかを参考にするとよいでしょう。

なかでも公募投信(ファンド)は月次レポートが毎月発行されており、前月はどのような銘柄が組み入れ上位にあったのかを簡単に見ることができます。

何カ月も上位にいる銘柄のチャートを見るとしっかり株価が上昇しているケースも多いため、今後も伸びそうな銘柄探しに役立ちそうですね。


どのファンドを参考にするか

ファンドと言っても2021年末時点で6000本近い公募投信があり、それらを1つずつチェックしていくのはほぼ無理です。やはり、成績の良いファンドを参考にするのが手っ取り早く、なるべく運用期間が長いものほど信頼性も上がります。


それらを踏まえ、今回はテンバガーファンドである「DIAM新興市場日本株ファンド」を見ていきたいと思います。


DIAM新興市場日本株ファンドとは

2007年に設定され、今年で15周年を迎えました。新興市場(現グロース市場)を中心に成長が期待できる銘柄に投資する、いわゆる中小型株ファンドです。純資産総額は約140億円とそこそこありますが、現在は新規募集を停止しているため買うことはできません。


運用を担当するのはアセットマネジメントOneの岩谷 渉平氏で、同ファンドのほかにも複数の小型株ファンドを運用しています。投資する企業は自らが足を運んで探すスタイルであり、経営者との対談だけでなく事務所、工場、従業員が生き生きと働いているかなどを直接確かめ、さまざまな視点から良し悪しを判断するそうです。


2007年以降の基準価格

 

アセットマネジメントOne提供資料を基に筆者作成


設立後はリーマンショックや東日本大震災などの影響を受けたものの、2012年以降から目覚ましい上昇となりました。ピークからの下落幅も大きいですが、足元では基準価格10万円前後を維持。なお、分配金再投資の基準価格はピークで30万円近くまで上昇したため、ほぼトリプルテンバガーです。


組み入れ銘柄は?

設定来のパフォーマンスは日経平均やTOPIXを大きく上回っていますが、実際にはどのような銘柄で運用しているのでしょうか。直近の月次レポートと前期の運用報告書を参考にしてみると

 アセットマネジメントOne提供資料を基に筆者作成


このような組み入れ内容となっていました。随時入れ替えられているものの、上位10銘柄に入り続けている銘柄もいくつかありますね。

参考までに、好調な銘柄のチャートを見てみると


組み入れ1位のアドベンチャー<6030> 22年4月19日~11月30日(日足)

 


組み入れ3位→2位のメドレー<4480> 22年4月19日~11月30日(日足)

 


このような推移となっていました。地合いが悪い時はPER・PBRなどのバリュエーションが高い銘柄は敬遠されがちですが、中には全体とは違った動きをする銘柄も存在していることが実感できますね。

ファンドに組み入れられている銘柄は、要は敏腕ファンドマネージャーのお墨付きですので、何に投資をしようか困ったとき、好成績ファンドを参考にすると新しい発見があるかもしれません。


今は買えないが・・・

投資信託でテンバガーを達成した「DIAM新興市場日本株ファンド」はほかの投資系メディアなどでもたびたび取り上げられる伝説的存在となっていますが、前述の通り現在では新規に買うことはできません。


新興市場の特性上、基本的に大型株よりも流動性が低く、発行株数なども少ないです。このため、1銘柄に大量の資金を投じてしまうと売るに売れない恐れがありますし、それを回避しようとするとさらに分散投資する必要があります。結果、組み入れ銘柄が増えすぎると指数との上下に近づいてしまうため、投資効率が落ちてしまいますよね。


また、2014年からは「信用リスク集中回避のための投資制限に係るガイドライン」が実施されました。簡単に言うと「1銘柄に集中投資するな」というような内容であり、規制強化もあって運用には厳格なリスク管理が必要となっています。


さまざまな事情により同ファンドの新規買い付けは一時停止が続いていますが、もしかしたら将来的に買える日が来るかもしれませんね。しかし、ファンドマネージャーが突然変わることもあり、過信は禁物です。ほとんどは公には伝わりません。とはいっても今の時代はネットを駆使すればさまざまな情報が得られますので、岩谷氏の動向を探れるかもしれません。


なお、筆者が知る限りでは、岩谷氏が担当するファンドは「DIAM新興市場日本株ファンド」のほかに「DIAM新興企業日本株ファンド」「厳選ジャパン」「日本厳選中小型株ファンド」などが挙げられます。これらの組み入れ銘柄も随時参考にしてみてはいかがでしょうか。



日本株情報部 アナリスト

畑尾 悟

2014年に国内証券会社へ入社後、リテール営業部に在籍。個人顧客向けにコンサルティング営業に携わり、国内証券会社を経て2020年に入社。「トレーダーズ・ウェブ」向けなどに、個別銘柄を中心としたニュース配信を担当。 AFP IFTA国際検定テクニカルアナリスト(CMTA)

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