人気だった商品の第4弾は、テーマ型投信の火付け役となった「グローバル・ロボティクス株式ファンド(以下、Gロボ)」です。
設定されたのは2015年8月。「なんとなくロボット関係だろう」とイメージはつくかもしれません。日本語にするとロボット工学であり、このファンドは名前の通り、産業用やサービス用などのロボット開発を行う企業や、ロボット関連技術であるAI(人工知能)やセンサーなどの開発に携わる企業などに投資を行います。直近では、有名どころだとキーエンス、アルファベット(グーグル親会社)、エヌビディアなどが組み入れ銘柄上位にランクインしています。
なんだかすごそうな予感?
ロボットというと、メジャーなところではソニーの「アイボ」やホンダの「アシモ」、架空の存在では「ドラえもん」や「鉄腕アトム」などがパッと思い浮かぶと思います。もしロボットが好きな人だったら「スターウォーズ」や「ガンダム」などのSFを想像するかもしれません。ちなみに筆者が小学生のころは、「ゾイド」が流行りました。
さまざまな世代の心を揺さぶるロボットは、お客さんのウケも結構よいです。人手不足などの社会課題に対し、工場の自動化(ファクトリーオートメション)、AI、自律型ロボットといった最先端の技術を使って解決するというと、非常に聞こえがよいですね。世のため人のためとなると、投資をしたくなるものです。
投資家からの興味をそそりやすいテーマ、長期的に期待できる点などもあり、設定後から順調に残高を拡大させていきました。「1年決算型」が最大で5428億円、「年2回決算型」が最大で5269億円と、2本合計で残高が1兆円を超えた時期もあります。
※DZHフィナンシャルリサーチ作成
運用担当はラザード社
「Gロボ」は日興アセットマネジメントが運用を行っていますが、実質的な運用を行っているのは米国のラザード・アセット・マネジメントという運用会社です。ラザードは株式運用に強みを持っており、米国の公的年金の運用を任されるなど、現地ではかなりの実績をもつ運用会社です。
過去、日興アセットマネジメントによる勉強会に参加した際、「Gロボ」を企画に対して手を挙げてくれたのはラザードだけだったそうです。過去の例がないテーマのファンドだったため、「ほかの運用会社は成果を上げる自信がなかった」とのことでした。それを聞くと、非常に頼もしく思えますね。
肝心のパフォーマンスは・・・
期待できそうなテーマとはいっても、上がらないと意味がないですよね。名前に負けない成績を出すのかは、買った誰もが気になるところです。ファンドはベンチマーク(運用の指標とする基準)を設定していることが多いですが、Gロボはベンチマークを設けていません。このため、参考としてナスダック総合指数とのパフォーマンスを比べてみました。
比較では、Gロボの運用が始まった2015年8月31日を10000としています。
※DZHフィナンシャルリサーチ作成
このような結果となり、どちらも大きく上昇していることが分かりました。2021年後半はナスダックの方が強い上昇となっていますが、足元ではどちらも大差がなさそうです。ただし、Gロボの基準価格は為替の影響も含まれているため、昨今の円安効果を抜きにすると、パフォーマンスはナスダックの方がよいかもしれません。
2022年8月、運用が始まってから7年が経過しました、残高は過去のピークから見ると減ってはいるものの、底堅く推移しています。それだけ期待している投資家がまだまだ多いのかも知れません。今後の挽回に期待したいですね。