春です お給料からコツコツ投資を始めましょう

新年度になりました。新社会人やお給料が増える人は、「積立投資を始めてみよう」とか「今までより投資額を増やしてみよう」などと考えて、ワクワクしているかもしれませんね。


給料の何割を投資に回したらよいですか?


これはよく聞かれる質問ですが、積立金額や投資額の目安は、一人ひとり違います。適切な金額は、収入や支出の金額や生活スタイルによって決まるものだからです。月々の収入から1ヵ月の生活に必要な支出額を引いて、積立投資に回せる金額を計算してみましょう。


1ヵ月の支出額は、過去数ヵ月分の支出平均を参考にしましょう。あまり無理をせずに少し上乗せした支出額にするか、反対に、無駄遣いを抑えて少し厳しく見積もるかは、ご自身の判断で。また、すでに持っている金融資産によって、余裕があるかどうかを考慮するとよいでしょう。


張り切って多額を投資に回したりしないよう、続けられそうな金額を見積もることがポイントです。


とはいえ、新社会人や生活がガラリと変わった人にとっては、1ヵ月の生活費も検討がつかないかもしれません。生活のペースがつかめてから積立投資を始めるのではなく、まずは仮の計算でやってみましょう。積立を始めてから、後で金額を変更すればよいのです。


若年層は月収のどれぐらいを金融商品に回しているか


それでもなお、自分で金額が決められないという人のために、調査結果をご紹介しておきましょう。


日本証券業協会が2024年6月から7月に全国の18歳以上の7,000人を対象に実施した「証券投資に関する全国調査」では、金融商品を保有している人のうち、月々の収入から金融商品に回している割合として最も多い層は「1~10%未満」。金融商品保有者の26.7%でした。ただし、回答者には年金収入や無収入の人もいるため、「金融商品にはまわしていない」が最多の31.0%です。


性別・年齢層別の結果を要約すると、20歳代は、男性は「金融商品にはまわしていない」人が最も多く、次が「1~10%未満」。反対に女性は「1~10%未満」という人が「金融商品にはまわしていない」人より多くなっています。


男性も30歳代になると月収から金融商品にまわす人が増え、「1~10%未満」と「10~20%未満」の合計で過半数に達します。一方、女性の30歳代は、20歳代に比べて「金融商品にはまわしていない」「該当する収入がない」という割合が増加。ライフスタイルの影響を受けていると推測されます。「1~10%未満」と「10~20%未満」と回答した人の割合も、20歳代に比べて少なくなっています。


このように、調査結果は個人の事情を考慮せずに平均してしまうため、やはり、ご自身の収支の状況や生活スタイルに応じて、適切な投資額を見積もることが大切だと感じます。


株式と投資信託に対する興味が高まっている


興味を持っている金融商品としては、2024年度の「証券投資に関する全国調査」では「株式」と「投資信託」が急上昇しました。


2024年度の調査結果は、多い順から「預貯金」(54.7%)、「興味を持っている金融商品はない」(32.1%)、「株式」(21.6%)、「投資信託」(20.7%)などとなっています。複数回答ですから預貯金は外せないのでしょう、圧倒的です。


ところが、2015年調査と比べると、「預貯金」は3.4ポイント減少し、「興味を持っている金融商品はない」は1.7ポイント減っています。一方、「株式」は5ポイント増加し、「投資信託」は10.1ポイント増えて約2倍になりました。


興味が高まる傍らで、株式や投資信託は「お金持ちがするもの」というイメージも持たれています。


株式を購入していない人のうちの25.6%が、購入しない理由として「株式投資をするほどの資金がなかった」を挙げています。同様に、投資信託も購入していない人の17.7%が「投資信託を購入するほどの資金がなかった」と回答。どちらも「十分な知識をまだ持っていない」に次ぐ2番目に多い理由でした。


さまざまな職業の人が投資を始めている


ですが、株式も投資信託も、以前に比べて少額で購入できるようになっています。NISA(少額投資非課税制度)はその最たるもの。サラリーマンの資産形成として利用しやすくなりました。


金融商品の保有状況について、回答者を職業別に分け、母数の少ない職業を除いた主要な職業ごとに、「株式」と「投資信託」の保有推移を見てみましょう【グラフ1】【グラフ2】。



上場株式が100株単位での取引になり、株式分割で最低売買金額も引下げ傾向。「契約社員・派遣社員」の2024年度の株式保有率の伸びが目立ちます。



投資信託は、株式よりさらに少額で取引できるからでしょうか、「契約社員・派遣社員」のほか「アルバイト・フリーター」も2024年度に急増しました。


また、PCやタブレット、スマートフォンからのインターネットで証券会社と取引をしている人は、59歳以下の男性では84.3%、女性77%です。お昼休みや通勤途中でも、情報収集や取引の注文を出すことができる環境になっています。


春です。新年度です。お仕事の邪魔にならないように、また資金面でも無理をすることなく、心地よく資産形成をしてみませんか。



【出典】日本証券業協会「証券投資に関する全国調査

ファイナンシャル・プランナー

石原 敬子

ライフプラン→マネープラン研究所 代表 ファイナンシャル・プランナー/CFP®認定者。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。終活アドバイザー® 大学卒業後、証券会社に約13年勤務後、2003年にファイナンシャル・プランナーの個人事務所を開業。大学で専攻した心理学と開業後に学んだコーチングを駆使した対話が強み。個人相談、マネー座談会のコーディネイター、行動を起こさせるセミナーの講師、金融関連の執筆を行う。近著は「世界一わかりやすい 図解 金融用語」(秀和システム)。

石原 敬子の別の記事を読む

人気ランキング

人気ランキングを見る

連載

連載を見る

話題のタグ

公式SNSでも最新情報をお届けしております