株主優待は個人投資家にとって楽しみの一つですが、近年は「優待廃止」や「制度変更」が相次いでいます。人気の外食チェーン「くら寿司」と、駐車場事業を展開する「パーク24(タイムズ)」も例外ではなく、優待の廃止や中止といったニュースが投資家の間で話題となりました。
くら寿司(2695)
くら寿司は国内に約550店舗、海外に約130店舗を構える回転ずしチェーン店「無添くら寿司」を経営する企業です。リーズナブルな価格設定と食べ終えたお皿で挑戦できる抽選ゲーム「ビッくらポン!」が人気で、幅広い年代から支持されています。
くら寿司の株価
2025年9月時点の株価は約3500円です。2013年までの株価は1000円以下を推移していましたが、2014年頃から上昇し始め、2018年には4000円台を突破しました。比較的株価変動が大きく、約2000円から約5000円の間で大きな変動を繰り返す傾向があります。
株主優待はお食事券
くら寿司の株主優待は、毎年4月末の権利確定日に、100株以上の株式を保有する株主に対して、株式の保有数に応じて贈呈されます。贈呈される株主優待の内容は、くら寿司で利用できるお食事券です。
お食事券は7月頃に発送され、有効期限は翌年6月末までの約1年間です。株式の保有数に応じて贈呈される株主優待の内容は、下記の一覧表をご確認ください。
くら寿司の株主優待は廃止?
くら寿司の株主優待は、2024年12月に、2025年4月分から廃止されることが発表されました。しかし、株主優待廃止の影響で株価が約4000円から約2500円まで急落したことを受け、2025年2月に、株主優待廃止を撤回し、再導入することを発表しました。
株主優待の電子チケットが使えない?
株主優待廃止が発表される前は、株主優待の内容を「紙の割引券」もしくは「電子チケット」のどちらかを選択することが可能でしたが、再導入後は「電子チケット」が使えなくなり、「紙のお食事券」のみの贈呈と変更されています。
しかし、廃止前は「お会計金額1000円毎に500円の利用が可能」と条件がついた「割引券」でしたが、再導入後は『紙のお食事券』のみとなり、以前の電子チケットは廃止されました。
くら寿司の配当
2025年度の配当金は、10月末の期末配当にて、年間1株当たり20円となる予想です。2024年度の配当金は基本配当20円に特別配当20円が追加された40円でしたが、基本配当は2019年度以降6期連続で同じ金額を維持しています。
くら寿司の利回り
1株3500円で100株購入した場合、投資金額は35万円です。配当金は2000円のため、配当利回りは約0.6%になります。また、株主優待として年間で2500円相当のお食事券が贈呈されるため、配当と優待を合わせた利回りは約1.3%です。
株式の保有数に応じた配当と優待を合わせた利回りの一覧は、下記の表をご参考ください。
パーク24(4666)
パーク24は、24時間利用可能な駐車場「タイムズパーキング」を始めとした駐車場サービスを提供する企業です。また、レンタカーとカーシェアリングを融合した「タイムズカー」サービスの運営や、事故・故障対応支援サービスの提供も行っています。
パーク24の株価
2025年9月時点の株価は約2000円です。比較的株価変動が大きく、小さな変動を頻繁に繰り返しています。2016年には約3600円の高値が付いていましたが、2019年度以降ゆるやかな下落が続いています。
新型コロナウイルスの影響で2020年度と2021年度は赤字経営となり、株価にも下落傾向が見られましたが、業績が回復した現在においても、株価はほぼ横ばいを推移しており、回復は未だ見られません。
株主優待は廃止ではなく中止?
パーク24の株主優待は、2023年10月末贈呈分から中止されています。新型コロナウイルスの影響による業績悪化に伴い中止となり、今年で3年目です。業績が回復すれば再開を予定しているとのことですが、業績が回復しなければ、このまま廃止になる可能性もあります。
パーク24の配当
2025年度の配当金は、10月末の期末配当にて、年間1株当たり30円となる予想です。2020年度から2023年度は無配当が続いていましたが、2024年度は5円配当され、今年度は2期連続で増配となっています。
パーク24の利回り
1株2000円で100株購入した場合、投資金額は20万円です。配当金は3000円のため、配当利回りは約1.5%になります。株主優待は現在中止中のためありません。
くら寿司とパーク24の将来性
くら寿司は株主優待廃止を撤回した経緯からも、株主との関係を重視する姿勢が見られます。海外展開も進んでおり、将来性としては成長の可能性を秘めていますが、利回りの低さから株主優待狙いの投資には向いていません。
一方、パーク24は駐車場事業やカーシェアリングなど安定した需要を持つものの、株主優待は業績回復次第という不透明さが残ります。配当が復活した点は前向きですが、完全な業績回復までは時間を要するでしょう。
両社とも新型コロナウイルスの影響で業績・株価ともに落ち込みましたが、今現在の業績予想は好調で、将来性が期待できる銘柄だと考えられます。投資の判断材料として、今後の業績や優待方針を継続的に確認することが大切です。