BTC、米中の歩み寄りが…
代表的な暗号資産のビットコイン(BTC)は2025年10月30日11時頃、対円では1689万円台と前週(7日前)比で約2.2%高い水準で取引されています。BTCドルが11万600ドル前後と月初来で約3%低下した水準です。
BTC相場は23日早朝に底打つと週末にかけて上昇し、週明け27日に戻り高値をつけました。BTC円は1624万円台から1781万円台まで値を上げ、BTCドルも10万6600ドル台から11万6400ドル台まで反発しました。
上昇のきっかけは、貿易問題を巡り米中が歩み寄りを見せたことでした。
23日には「米政権は米国製ソフトウェア製品の中国への輸出を制限する計画を検討中」との報道が伝わりました。ただし、市場のリスク回避的な動きは一時的で終わりました。
「米中、包括的な貿易合意に向け前進」bloomberg
米国と中国の通商交渉担当者が2日間にわたり協議し、複数の点で折り合いをつけたという報道です。これを受けて米中首脳会談が実施され、前向きな合意に至るとの期待感が高まりました。週明けの金融市場ではリスク志向ムードが高まり、リスク資産と位置付けられるBTCにも資金が向かいます。
※Trading Viewより
売りオーダー、そしてFRB議長が…
堅調スタートで、月初来でもプラス圏を回復したビットコイン(BTC)ですが、一巡後は伸び悩みます。一方でエヌビディアの大幅上昇も手伝い、米株主要3指数は取引時間中と終値の史上最高値を更新しました。
「Bitcoin ‘ping-pong’ price action…」cointelegraph
(ビットコインの値動きはピンポン状態に…)
TRDRという取引プラットフォームが提供している板(オーダー)情報を記事にしています。それによれば、米国の大手取引所コインベースでは現物BTCで11万6000ドル付近に、大手取引所バイナンスでは11万7000~8000ドルに厚めの売りが置かれていたようです。
30日のNY午後(日本時間31日未明)には、BTC円は1675万円前後/BTCドルが10万9200ドル台まで下げ足を速める場面がありました。
きっかけは、0.25%の利下げを予想通りに決定した米連邦公開市場委員会(FOMC)の後に行われた、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の記者会見です。12月の利下げについて同議長は、「既定路線というにはほど遠い」と発言。米利下げ継続への期待感を後退させました。
米長期金利が上昇し、リスク志向ムードも後退。米株には売り戻しが入り、ビットコインも水準を落としました。

※Trading Viewより
大口のアドレスは増加、ただ上場企業は…
BTC相場は伸び悩んでいますが、ビットコインの大口保有アドレスは増えているようです。以下は、Bitcoin MagazineのX投稿です。
https://x.com/BitcoinMagazine/status/1983247621159346305
これによれば、100BTC(1BTC=1700万円として17億円)以上を保有するアドレスの数が過去最多を記録しました。
一方、今月前半の急落の傷が残り、上場企業のBTCやETH購入が縮小しているとの記事も見受けられます。
「上場企業のビットコイン・イーサリアム買いが急減…」コインテレグラフ
BTCの財務戦略を採用している企業(記事では「デジタル資産トレジャリー企業」)は、今月10日の下落以降、BTC購入をほぼ停止。直近2週間の買いは年初来最低水準に近く、反発局面でも回復は限られているとのことです。
最大の保有企業は…
上場企業では最大のBTC保有企業である米ストラテジーは、390BTCを平均価格11万1053ドルで購入したことを公表。同社によれば、10月26日時点で64万8088BTCを1BTCあたり7万4032ドルで保有しています。
とは言え、この10月はさすがのストラテジー社も購入に慎重な姿勢を見せています。
「ストラテジー、ビットコイン購入ペースが鈍化 10月は過去最少水準に」コインテレグラフ
記事によれば、10月の合計購入量は778BTCと3500BTC以上も買っていた前月から大きくペースが鈍りました。なお7月に同社は、3万1000BTC超もかき集めています。
こちらがストラテジー社の購入履歴です。→Bitcoin Purchases - Strategy
そういった中、米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)はストラテジー社に「B-」の格付けを付与し、見通しは「安定的」としました。「B-」は投機的等級(ジャンク級)に位置し、投資適格級を6段階下回っています。
S&Pはストラテジー社の「ビットコイン依存の高さ」と「ドル流動性リスク」を懸念しているようです。直近の上値の重さは、この格付けも影響しているのかもしれません。



