株主優待といえば、配当と並んで個人投資家に人気の特典ですが、その使いやすさや利便性が必ずしも投資判断の決め手になるとは限りません。串カツ田中とヴィレッジヴァンガードの株主優待が不便にも関わらず、多くの投資家に支持されているのはなぜなのでしょうか。
串カツ田中ホールディングス(3547)
串カツ田中ホールディングス(以下、串カツ田中)は、大阪の味をコンセプトにした串カツ専門店を全国に約330店舗展開する飲食チェーン店です。串カツ専門店以外にも、鶏と卵専門店「鳥玉」や焼肉店「焼肉くるとん」、カフェ「TANAKA」など、様々なジャンルの飲食店を経営しています。
串カツ田中の株価
2025年9月時点の株価は約2300円です。2016年に上場した際の株価は約1000円でしたが、2017年には約6200円まで急上昇しました。しかしその後はゆるやかな下落が続き、2025年には約1300円を下回ります。
しかし、7月に入り、2025年度の決算状況が発表されると、株価は約2800円まで急上昇しました。2025年度上半期の業績は、売上高が約103億円、営業利益が約6.8億円、経常利益が約6.9億円でした。当初の計画では、売上高は約95億円、営業利益は約4.0億円、経常利益は約5.0億円のため、計画を大幅に上回っています。
株主優待でお食事券がもらえる
串カツ田中の株主優待は、毎年11月末の権利確定日に、100株以上の株式を保有する株主に対して、株式の保有数に応じて贈呈されます。贈呈される株主優待の内容は、電子チケットのお食事券です。
株式の保有数および保有年数に応じて贈呈される株主優待の内容は、下記の一覧表をご確認ください。

株主優待の使い方
株主優待でもらえるお食事券は、「串カツ田中」のほか、「鳥玉」や「焼肉くるとん」でも利用できます。有効期限は、3月1日から翌年の2月末までです。ほかの割引券との併用は可能ですが、使えるのは店内飲食およびテイクアウトのみとなっています。
電子チケットを発行するためのQRコードが記載された用紙が届くので、スマートフォンで読み取り、電子チケットを発行します。利用する場合は、発行した電子チケットを店舗で提示してください。QRコードを読み取れない場合は、届いた用紙を店舗に持参すれば利用可能です。
串カツ田中の配当
2025年度の配当金は、2025年10月時点では未定です。串カツ田中の配当金は、毎年11月末に配当されており、2023年度と2024年度の配当金額は、年間1株当たり13円でした。
串カツ田中の利回り
1株2300円で100株購入した場合、投資金額は23万円です。配当金は現時点で未定ですが、株主優待として年間で約2000円相当のお食事券が贈呈されるため、優待利回りは約0.9%です。株式の保有数に応じた優待利回りの一覧は、下記の表をご参考ください。

ヴィレッジヴァンガードコーポレーション(2769)
ヴィレッジヴァンガードコーポレーション(以下、ヴィレッジヴァンガード)は、漫画や雑誌、小説などの書籍を販売しながら、生活雑貨やインテリア、文具、アパレル用品、食品、音楽関連商品、その他雑貨など、様々な商品を取り扱う複合店です。
全国に約290店舗を展開しており、ユニークな商品とエンタメ性の高い売り場で、若年層を中心に人気があります。ハンバーガーショップ「ヴィレッジヴァンガードダイナー」の経営も行っていましたが、現在は「エステールホールディングス」に権利譲渡しています。
ヴィレッジヴァンガードの株価
2025年10月時点の株価は約1000円です。2007年には株価が4000円を超える高値がついた時もありましたが、2012年には1000円以下まで下落しました。また、2012年から2016年にかけて約400円から約2200円まで大幅な株価変動が何度も繰り返し起こっています。
かつては大きな株価変動を繰り返す傾向にありましたが、2017年以降の株価変動は比較的小さく、約1000円前後をほぼ横ばいで推移しています。
株主優待はお買い物券
ヴィレッジヴァンガードの株主優待は、毎年11月末の権利確定日に、100株以上の株式を保有する株主に対して、株式の保有年数に応じて贈呈されます。贈呈される株主優待の内容は、ヴィレッジヴァンガードグループ各店舗で利用できるお買い物券です。
株式の保有年数に応じて贈呈される株主優待の内容は、下記の一覧表をご確認ください。

株主優待利用時の注意点
株主優待でもらえるお買い物券は、ヴィレッジヴァンガードグループ各店舗で利用できますが、「ヴィレッジヴァンガードダイナー」をはじめ、エステールホールディングスが経営する店舗では利用できません。また、オンラインショップでの利用もできないため、注意が必要です。
株主優待でもらえるお買い物券は、毎年1月下旬頃に発送され、有効期限は約1年間です。1回の購入での株主優待券の利用枚数に制限はありませんが、税込み2000円ごとの購入につき、1000円分のお買い物券を1枚利用できる条件があります。
ヴィレッジヴァンガードの配当
2026年度の配当金は、無配当となる予想です。2019年度までは、年間1株当たり14円が配当されていましたが、2020年度以降は無配当が継続しています。
ヴィレッジヴァンガードの利回り
1株1000円で100株購入した場合、投資金額は10万円です。配当金はありませんが、初年度は株主優待として年間で約1万円相当のお買い物券が贈呈されるため、優待利回りは約10.0%です。株式の保有年数に応じた優待利回りの一覧は、下記の表をご参考ください。

まとめ
串カツ田中の株主優待には、電子チケットの発行や利用条件、利回りの低さなどのデメリットがあるものの、店舗数の多さや人気の高さ、また株価上昇などのメリットが大きく、人気の銘柄です。
ヴィレッジヴァンガードの株主優待は、購入金額による利用条件があるものの、店舗数の多さと利回りの高さが人気の理由だと考えられます。
どちらも、デメリットがあっても投資したいと思えるほどの魅力を持つ銘柄です。ぜひ、この機会に投資先として検討してみてはいかがでしょうか?

