先週の米政府要人の訪日
これまで、何度か日本の政治家の言葉が信用できないことを記載してきました。
そして、10月27日から訪日したトランプ米大統領ですが、ここでも両国の発言の違いが露呈されました。
今回はベッセント米財務長官片山財務相の発言の違いが、またしてもでてきてしまい市場に影響を与えています。
その前に、すこしだけ日本の政治家が国内向けに話していることが、いかにいい加減で信用に値しないことがあることを再記載してみます。
2018年、日本は第2次安倍政権、米国はトランプ政権でしたが、両国間で通商協議が行われたときの会見について記載しています。
詳細は浮きから読めます。(【やってはいけないこれだけの理由】第19回「日本語を信じるな…翻訳ソフトで良いので原文を読む」)
この年の9月後半の日米通商協議後に日本政府(安倍首相)は、日米間の新たな通商協議である「日米物品貿易協定(TAG)」が行われたと発表しました。
「これまで(の自由貿易協定=FTA)と全く異なる」と表現したように、日本語だけの報道を見ていると、新たな取り組みが行われたと思ったでしょう。
しかし、米国サイドは「TAG」などという言葉を一切使用していません。
米国側の声明では「Agree to Negotiate a Free Trade Agreement」と従来のFTAを使用していました。
その後の歴史を見ても分かるようにTAGなどという言葉を使用しているマスコミも政府関係者も全くいません。
結果的に米国のホームページでも閲覧できる声明が正しかったわけです。
日米為替についても異なる発言
そして、今回10月28日に発表されたベッセント米財務長官と片山財務相の発言に食い違いが出ました。
米国側は「ベッセント長官は協議の中で、アベノミクス導入から12年が経過し、状況は大きく変化していることから、インフレ期待を安定させ、為替レートの過度な変動を防ぐ上で、健全な金融政策の策定とコミュニケーションが果たす重要な役割を強調した」と財務省のホームページでしっかりと記載しました。
この中で「為替レートの過度な変動を防ぐ上で、健全な金融政策の策定とコミュニケーションが果たす」という文言により、ドル円は152円台から151円まで下がっています。

ところが、片山財務相は「会議では為替に関する具体的な議論も行われなかった」と、鼻から為替についての議論すらなかったと発言。
更に、「金融政策の方向性について直接協議はなかった」「直接的に金融調整をどうするべきかの話はなかった」と、またしても米財務相の発言を否定しています。
これにより、ドル円は151円から152円まで上昇しました。
米財務省がホームページで正式に発表したことを、あっさりと片山財務相が否定したわけです。
しかも、米国側がhighlighted=強調した、とまで記したことをです。
これほど違った発言をするのであれば、国際問題となってもおかしくないはずですが、なぜか日本ではマスコミを含めて追及もされません。
どちらを信用してFXは動けば良いか?
このように見解が異なる場合にFXはどちらを信用して動けば良いのでしょうか?
個人的には立場が強い方を信用して動くようにしています。
たしかにトランプ政権は朝令暮改を繰り返していることで、信用が置けない面があります。
ただ、防衛面という重要ファクターがあることで日本は過剰なまでに米国に対しては頭を下げる傾向にあります。
そもそも、片山財務相は今年の3月には輸入インフレを懸念し、ドル円は「120円台が適正水準」と発言しています。
本来は円安について危惧しているのですが、米国の様子伺いが強すぎて、とりあえず記者団には「嘘」で誤魔化していたわけです。
市場はその後円安に傾いていますが、この相違点は常に念頭に入れておいた方が良さそうです。
また、このようなことは、今後も起こるでしょうが、その場合はどちらを信用できるかで為替を持たないでやってはいけないでしょう。



