最近、企業のIR資料で“SX”という言葉を見ることが増えました。SXとは、「サステナビリティ・トランスフォーメーション(Sustainability Transformation)」の略で、社会課題への対応と企業価値向上を両立させようとする経営の考え方です。
SXとは何か
SXは、社会課題への対応を「コスト」や「社会貢献」で終わらせずに、企業の成長や企業価値向上につなげようとする経営の考え方です。
以前は、ESGやサステナビリティへの取り組みは、「社会貢献」や「企業イメージ向上」の文脈で語られることが多くありました。しかし現在の株式市場では、その取り組みが「企業の稼ぐ力」にどう結びつくのか、という視点が強まっています。
2026年5月、経済産業省と東京証券取引所は共同で、「SX銘柄2026」を発表。SXを通じて中長期的な企業価値向上に取り組む企業が選ばれました。
SX銘柄には、「社会課題への対応」と「企業価値向上」を両立しようとしている企業が選ばれます。経済産業省では、「SXは、単なる社会貢献活動とは異なる」と説明しています。「良いことをしています」というだけの企業を選ぶのではなく、「その取り組みが将来の稼ぐ力につながるか」が重視されているのです【表1】。

SX銘柄を選定する背景には、日本企業のROE(自己資本利益率)やPBR(株価純資産倍率)の改善を促そうとする東証改革の流れがあります。SX銘柄では、投資家との対話や資本効率を意識した経営も重要な評価ポイントとなっています。
「SX銘柄2026」に選ばれた15社
「SX銘柄2026」は、東京証券取引所上場企業約3,900社のうち、SX銘柄に応募した70社の中から、審査を経て15社が選定されました。応募企業はプライム市場企業が中心でしたが、スタンダード市場からの応募も2社ありました。時価総額にかかわらず幅広い企業が応募しており、「企業価値向上を意識した経営」が広がりつつある様子もうかがえます。
SX銘柄2026に選ばれた企業は、いずれもPBR1倍以上の企業です。これは東証が「資本効率」や「企業価値向上」を重視しているためです【表2】。

SX銘柄は、単に優秀企業を表彰する制度ではありません。投資家から評価される企業の姿を示すことで、日本企業全体に「企業価値を意識した経営」を広げていこうとする取り組みでもあります。
なお、SX銘柄に選定されなかった企業の中からも、特に注目される取り組みを行う企業が「SX注目企業」として選ばれています。
投資ビギナーはSX銘柄をどう見る?
SX銘柄に選ばれたからといって、必ず株価が上がるわけではありません。しかし、SX銘柄は、「市場がどのような企業を評価しようとしているのか」を知るヒントになるでしょう。
また、東証は上場企業にPBR改善や資本効率向上を求めています。SX銘柄は、そうした流れを象徴する企業群ともいえます。
近年の株式市場では、短期的な利益だけではなく、中長期で企業価値を高められるかどうかが重視されるようになっています。特に、人的資本や研究開発、環境対応など、将来の成長につながる投資をどう行っているかに注目が集まっています。
もしもあなたが株式投資を検討しているのなら、その企業が発行する「統合報告書」や「中期経営計画」を見てみましょう。そこには、企業がどのような成長を目指し、どのような社会課題を事業機会として捉えているかが示されています。
これらからは、企業が「社会課題」と「企業価値向上」をどのようにつなげようとしているかを読み取ることができるでしょう。最近は、環境対応や人的資本への投資を、単なる社会貢献ではなく、「将来の稼ぐ力」として説明する企業も増えています。
【出所】
経済産業省ホーム>政策について>政策一覧>経済産業>経営イノベーション・事業化促進>企業会計、開示、CSR(企業の社会的責任)政策>SX銘柄2026
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