過去の「あの銘柄を買ってみた!」で取り上げた銘柄について、その後の値動きがどうなったかを追跡します。今回は、2022年7月に取り上げた東京エレクトロン(8035)について見ていきます。
2022年の東京エレクトロンの水準は・・・
2022年7月26日の株価は4万4520円でした。そこから1カ月後、8月26日の株価は4万5870円でした。
そして、2024年3月12日の株価は3万6510円でした。
「全然上がってないじゃない・・・・」
ではないのです。
同社は2023年4月1日付けで1株を3株に分割しています。そのため、100株購入してそのまま持ち続けた場合、100株は300株となっています。
すなわち、3万6510円×300株で、1095万3000円(手数料は考慮せず)となります。445万2000円が1095万3000円となっており、この間、2.46倍となりました。実際に保有した場合には配当も出ていますので、その分もオンされることになります。
2022年10月を底に上昇基調
この間の値動きを振り返ります。なお、チャートは株式分割を考慮していますので、2022年7月26日終値の4万4520円は1万4840円、8月26日終値の4万5870円は1万5290円となります。
値動きを見た期間では小幅な上昇にとどまり、その後、しばらく調整が続きました。
しかし、2022年10月に底を打つと、以降は上昇基調に転換。2023年に入って5月には2万円台を回復しました。同年11月に2022年1月につけた高値(23056.7円)を上回ると、2024年は上昇に弾みがつき、2月に3万円台に到達。3月4日には3万9990円まで上昇し、4万円に接近しました。
この銘柄を取り上げた2022年7月は、米国の長期金利上昇に対する警戒がまだ強い時期でした。そして、米国の長期金利は2023年の半ばまで上昇基調が続きました。そういった中でも業績期待から水準を切り上げ、米国の長期金利に上昇一服感が出てきた2023年の後半辺りから動きが一段と良くなってきました。
2024年に入ると米国でエヌビディアを中心に半導体株が人気化し、この流れに乗って買いが買いを呼ぶ流れとなりました。足元ではエヌビディア株の上値が重くなったことで売られる場面がありましたが、上場来高値圏で推移しています。
ちなみに、昨年末(2023年12月29日)の終値は25255円で、この月の高値25980円が当時の最高値でしたので、昨年より前に保有している方々は、高値つかみをしたケースでも2024年3月12日(終値:36510円)の時点で100万円以上(100株)の含み益が発生していることになります。
多くの銘柄を長くウォッチすることがお宝に出会う近道
業績拡大が続く銘柄や、トレンドに乗れた銘柄を長期でじっくり保有すれば、大きな利益を獲得することもできる、これは株式投資の醍醐味の一つです。
「あの銘柄を買ってみた!」では、各銘柄の1カ月の値動きを追っていますが、1カ月というのは投資の期間としては決して長くはありません。ここで取り上げた中で、興味を持った銘柄が出てきた際には、長く値動きをウォッチすることをお勧めします。財務分析やチャートの研究も大事ではありますが、「長く見ていてあまり下がらない、だから買ってみよう!」といったシンプルな思考からお宝銘柄にたどり着くこともあります。
一つの銘柄を長く追い続けていると、その銘柄の特徴がつかめてきますし、同業と比べてどうなのかいった点の理解も深まってきます。そして、そういった銘柄のストックが増えてくると、今の半導体株のように、その時の株式市場で注目されやすい銘柄・業種が感覚的につかめるようにもなってきます。実際に購入するかどうかはともかく、普段から多くの銘柄に興味・関心を持っておくことが、株式投資で成功する近道と言えるでしょう。
東京エレクトロンに関しては、半導体株が軒並み大きく上昇したことで、短期的には過熱感が出てきています。ただ、米国の長期金利に関しては、今後は低下していくことが期待できそうな状況となっています。会社側は今24.3期の減収減益を見込んでいますが、5月になれば新しい期の見通しが出てきます。4万円にあと一歩届かず失速しているので、ここで大崩れすることなく、改めて4万円を試す動きが見られるかが注目されます。