今回解説していく通貨は南アフリカランド円(zar/jpy)です。2020年来の上昇トレンドは現在も維持されており、節目の10円にも到達してきました。当面は押し目買い方針の継続が有効となり、次の目標は10.80円台が意識されるでしょう。
ファンダメンタルズでは南アフリカ準備銀行(SARB、中央銀行)が金融引き締めへと方針を転換。現時点では今後の利上げペースは穏やかなものとなる見込みですが、中銀の示したリスクシナリオについても注意しておく必要がありそうです。
今後のランド円の相場焦点:中銀は金融引き締めへと転換
まずは南アフリカの現在の金融政策状況を確認していきます。
南アフリカ準備銀行(SARB)は2024年9月に金融緩和を開始。2025年11月に政策金利を6.75%まで引き下げて、2026年5月から金融引き締め局面へと移行しました。現在の政策金利は7.00%です。
●SARBが金利の引き上げを決めた5月直近会合の声明文では
・総合インフレ率は今年平均4.4%、来年平均は3.7%となり、2028年には目標の3%に戻ると見込む
・コアインフレ率も上昇し、来年初めにピークを迎えると予想
・中銀の四半期予測モデルではあと1回の利上げが見込まれる
・予測期間の後半はインフレ率が低下するにつれて、金利は再び緩和され、中立水準に近づく
などの見解が示されました。
また、SARBが示した追加のリスクシナリオとして、①中東危機が長期化し、食料と石油価格の高騰、そしてランド安につながった場合、②深刻なエルニーニョ現象による干ばつなどが発生した場合、③すべてのリスクが重なったことでインフレに大きな影響を与え、より多くのコストが消費者に転嫁された場合の政策金利にも言及。
①では基準シナリオよりも2回多く利上げが必要、②では金利はより長く高止まり、③ではさらに3回の利上げが必要となる、としています。
ランド円の週足分析:2020年来の上昇トレンドは継続
下図はランド円の週足チャートになります。

現在は2020年4月安値を始点とする上昇トレンド(チャート上の黄色実線)内での推移が続いています。今年に入ってチャネルライン付近で伸び悩む場面もありましたが、足もとでは節目の10円台の大台を上回ってきました。
チャート下部に追加した「DMI」で確認するも現在は+DI>-DI(上昇トレンド)を示唆。トレンドの強さを示すADXが減速気味な点は気になるところですが、基本的には今後も上昇トレンドに沿った押し目買い方針が有効となりそうです。
ランド円の月足分析:次のターゲットは10.80円台に
今度はより長期的な視点でランド円の状態を確認していきます。下図はランド円の月足チャートになります。

チャート下部に追加した「DMI」で確認すると、こちらも+DI>-DI(上昇トレンド)。さらにトレンドの強さを示すADXが上昇基調にあり、上昇傾向がしっかりとしてきたことがうかがえます。
なお、心理的節目でもあった10.00円の節目を上抜けたことで、次のターゲットは2014年11月につけた高値の10.82円(チャート上の青色実線)になります。
今後の取引材料・変動要因をチェック:両中銀の金融政策に注目
最後に今後1カ月間の重要イベントも確認しておきます。注目は両国の金融政策。現時点では両中銀ともに今回は政策金利を据え置く見込みで、声明文や中銀総裁の会見などがポイントになるでしょう。南アフリカ準備銀行(SARB)は中東紛争経由の原油価格高騰が落ち着いたことをどう評価するか、日銀は政府が骨太の方針で追加利上げをけん制しているとの見方も広がる中でどのような対応を示すかなどを確認しておきたいところです。
その他のイベントは以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
・7月22日 南ア 6月消費者物価指数(CPI)
・7月23日 南ア 南ア中銀(SARB)、金融政策決定委員会
・7月24日 日本 6月全国CPI
・7月30-31日 日本 日銀金融政策決定会合



