このところ、AI関連株が一本調子で上がらない状況となってきました。今でこそ。さすがに上がり過ぎたから当然だろうと言えますが、下がる直前までは、まだ上がるかもと期待の方が大きくなるものです。
今年前半の相場けん引役は満場一致で「メモリー」でしょう。そのような状況だったためか、マーケットでは「KOSPI(韓国総合株価指数)」のワードが頻出するようになりました。今回はメモリー相場が到来するまであまり話題にならなかったKOSPIについて見ていきましょう。
KOSPIとは
KOSPI(Korea Composite Stock Price Index、韓国総合株価指数)は、韓国取引所に上場する全普通株式を対象とする総合株価指数です。日本でいうTOPIX(東証株価指数)、米国でいうS&P500のようなものですね。韓国にはKOSPIのほかに新興企業向けのコスダック(KOSDAQ)、さらに規模が小さいスタートアップ向けのコネックス(KONEX)もあります。

※KRX情報データシステムを基に弊社作成 数値は7月8日日中の概算値
韓国市場はこれまでであればあまり日本のマーケットで話題になりませんでしたが、上場企業数はそれなりに多く、時価総額も現時点で600兆円規模あります。東証プライム市場全体を組み込むTOPIX(東証株価指数)の時価総額は1350兆円程度(7月8日時点)なので、日本に比べれば規模は小さい市場となります。
KOSPIを動かす存在
KOSPIは2025年以降、日経平均に負けず劣らず大きく上昇しました。日経平均が7万円オーバーとなったのは、指数への影響が大きい半導体関連株の上昇が大きな要因でした。KOSPIを押し上げたのも同じような理由です。
KOSPIの推移

※各種データを基に作成 2026年2月6日~7月7日 日足
KOSPIも一部銘柄の指数寄与度が非常に大きいのが特徴。時価総額加重平均で算出されるため、時価総額が大きい企業ほどKOSPIの上下に影響を与えます。時価総額順に並べてみると以下のようになります。

※TradingView提供データを基に弊社作成 1ウォン=9.3円で計算
見ての通り、サムスン電子とSKハイニックスの2社を合計した時価総額がKOSPI全体の約6割を占めます。現在の日経平均もいびつな状態ですが、それが可愛く見えるくらいKOSPIはさらに極端です。
サムスン電子とSKハイニックスがそれぞれ5%上昇すればKOSPIは3%上昇、反対にそれぞれ5%高ならばKOSPIは3%安のようなイメージです。建前上は韓国株全体を見る指数ではあるものの、実態はメモリー株指数と言っても過言ではありませんね。
KOSPIの影響
冒頭でお伝えしたように2026年前半はメモリー相場でした。メモリーの世界シェアはサムスンとSKハイニックスの2社で約6割を占めると言われます。AI向けにメモリーが必要となれば、この2社にスポットライトが当たるのは必然。業績も異次元の伸びを見せており、良好なファンダメンタルズを背景に大型株とは思えないスピードで株価が上昇しました。
同じ期間では半導体関連株の影響が大きい日経平均もすさまじい伸びとなり、両指数を比較すると以下のようになりました。

※各種データを基に弊社作成 2026年5月1日~7月8日 終値ベース
このようにKOSPIの5月以降の騰落率は日経平均よりも格段に大きいことがわかります。2社で指数ウエイトの6割を占めるKOSPIだからこそ、個別株のような値動きだったと言えます。下げる時も早く、おおよそ2カ月間のパフォーマンスは両指数とも同程度です。
ただ、KOSPIが上がれば日経平均も上がる、その逆もしかりというように、動く方向は大体同じ。相関性は大きいです。日中の値動きを見てもほぼ一緒の値動きなので、個々の投資家が手動で注文を入れているスピード間ではありません。KOSPIが上昇すれば日経平均を自動的に買う、下がれば売るといった機械による自動売買が主体と言えるでしょう。
ちなみに、米国のフィラデルフィア半導体株指数(SOX)も加えると、以下のようになりました。

※各種データを基に弊社作成 2026年5月1日~7月8日 終値ベース
騰落率はKOSPIとSOXが同規模。値動きの方向はほぼ全部一緒です。これまでは「前日にSOXが上昇したから今日は日本も半導体株が買われるだろう」という予想が立てられました。最近では、前日にSOXが上昇しても、今日のKOSPIが下がれば日経平均は下落し、その晩のSOXも下がるという流れに変わってきています。
メモリー株が注目される限り、KOSPI、日経平均、SOXの密接な関係性も続くと思われます。AI相場は思った以上に複雑で、情報量も膨大。メンタル、バイタリティともに試されます。
日米のメモリー株にも同じことが言えますが、サムスン電子とSKハイニックスの売買は投機的な資金も多く含まれています。自己資金よりも大きい投資ができる信用取引はもちろん、サムスン電子とSKハイニックスの単体株を対象にするレバレッジ型ETFにも大量の資金が流れているとのこと。
サムスン電子とSKハイニックスに関連する取引で韓国市場の売買代金のおおよそ7割を占めると言われます。レバレッジがかかった資金が非常に多いため、投資家が売りに転じた際の下落圧力もすさまじいことになるでしょう。
もしそうなると日本、米国の関連株にも大きな影響が出る可能性は高いです。今後もAIラリーが続くのか否かは神のみぞ知るところですが、KOSPIショックの世界線もあり得ることは抑えておく必要があります。



