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ドル円、さえない1週間
今週のドル円はさえない展開となりました。トランプ米大統領が10日に「中国は非常に敵対的になっている」「中国製品への関税引き上げを検討中」との見解を示し、中国に対して激しい批判を展開すると、米中対立激化への懸念やハイテク産業への影響が警戒され、米国株相場が急落。投資家がリスク回避姿勢を強め、ドル円にも売りが広がりました。もっとも、すぐにトランプ米大統領が中国に対してやや穏健な姿勢を見せたことから、週明け13日には買い戻しが先行。米中貿易摩擦の緩和期待が高まる中、14日には152.61円まで持ち直す場面がありました。
*Trading Viewより
ただ、それ以降は再び軟調に。米政府が米国に入港する中国船の運航事業者から手数料の徴収を開始したことに対して、中国政府は米国船を対象として報復措置を発表。貿易問題を巡る米中対立激化への懸念から、戻り売りなどが出やすい地合いとなりました。トランプ米大統領が自身のSNSに「中国が米国産大豆を購入しないことは経済的に敵対的な行為だ」「報復措置として、食用油をはじめとする中国との貿易取引を停止することを検討中だ」と投稿したことも相場の重しとなりました。16日には米中の貿易摩擦が激化しかねないとの懸念や米地銀の融資を巡る懸念から、米長期金利の指標となる米10年債利回りが一時3.9669%前後と4月7日以来約半年ぶりの低水準を記録。その流れでドル円は17日の夕刻に一時149.38円まで値を下げています。もっとも、その後のNY市場では150.64円まで値を戻しています。
VIX(恐怖指数)、約半年ぶりの高水準を更新
シカゴ・オプション市場(CBOE)でS&P500種株価指数オプションの値動きに基づいて算出される変動性指数(VIX、恐怖指数)は今週、大幅に上昇しました。17日には一時28.99と4月24日以来約半年ぶりの高水準を更新。米中の貿易摩擦が激化しかねないとの懸念や米地銀の融資を巡る懸念から、米株式相場の楽観ムードは後退しており、米株式市場はこれまで人工知能(AI)関連などで「いいとこ取り」の傾向が目立っていましたが、現在はそのような「高揚感」はいったん鳴りを潜めている状況です。
*Trading Viewより
投資家心理をあらわす指標の1つであるVIXは「20」を超えると投資家の不安が高まった状態を意味するとされています。市場関係者からは「VIXが20を超えているのに円売り・ドル買いを積極的に進める気にはなれない」との声が聞かれました。
ドル円の一目均衡表チャートを見ると
ドル円の一目均衡表チャートを見ると、週末の終値(150.61円)で雲の下限(147.18円)や雲の上限(147.70円)、基準線(149.38円)は上回っていますが、転換線(151.33円)は下回っています。また、「8月から続くレンジをブレイクしている」と言えるほか、重要なポイントである200日移動平均線147.93円を明確に上抜けています。
*Trading Viewより
200日移動平均線は重要な中期線として、機関投資家など多くの市場参加者が注目するポイント。テクニカル的なサポートやレジスタンスとしてだけではなく、ここを中心に投資家心理も大きく変わってくると言われていますので、上サイドへの期待は高まります。
*IG証券より
ドル円は週末17日、日経平均の大幅下落や内田日銀副総裁の「経済・物価の見通しが実現したならば、利上げを継続する」との発言を受けて、日本時間夕刻に一時149.38円まで下落しましたが、その後は底堅く推移。「自民党と日本維新の会との連立協議が進展」との報道が伝わると、来週21日召集の臨時国会で行われる首相指名選挙で、自民党の高市早苗総裁が選出される可能性が高まり、円売りを誘った面もありました。
また、米国サイドでは貿易問題を巡る米中対立激化への懸念が和らいだほか、複数の米金融機関が寄り付き前に好業績を発表したことを受けて米地銀の信用不安問題がひとまず一服。米国株相場も反発して週末の取引を終えています。足もとの金融市場は「高市政権誕生」をほぼ織り込みつつあり、「『株高・円安』を見込む『高市トレード』の第一幕が終了した」との見方も一部で浮上していますが、引き続き大きな相場のテーマに変更はないという前提で現在のポジションであるドル円ロング@145.327円は維持したいと思います。
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