一部では2025年内に日経平均が5万円に乗せるとの予想も出てきました。とは言いつつも、東京証券取引所における上場企業は9月末時点で3939社もあり、その多くが中小型株です。
日経平均はあくまで日本を代表する大企業を集めた指数です。中小型株に勝機を見出せないか?といった観点から、何か秀でたものを持つ企業を探してみました。
日本のニッチトップ王者
ニッチトップで規模、時価総額ともに大化けした会社の代表格はレーザーテック<6920>です。同社は先端半導体向けのマスク欠陥検査装置で世界トップシェアを持ちますが、事業領域は半導体製造工程の一部分。
そんなにすごいものなの?と思われますが、この製品がないと今の先端半導体産業は成り立ちません。半導体回路の原板となるマスクに異常がないかを精密に検査する装置であり、人間の体に例えると免疫器官のようなものです。目に見えないレベルの塵が混入するだけで半導体には異常が生じるため、欠かせない工程となります。
以下のチャートを参照にすると、安値と最高値の差はなんと910倍もあり、100万円が約9.1億円に化けたことになります。
※数値は2008年安値と2024年上場来高値
隠れたニッチトップは?
昨今ではAIやエネルギー政策、航空宇宙、量子コンピューター、ロボットなどテーマが多岐にわたり、これまでマイナーだった企業にもスポットライトが当たるかもしれません。そのような際に活躍できる企業があるか、隠れたシェア1位企業を10社ピックアップしてみます。
※時価総額は2025年10月15日時点
こうやって見ると、モノづくり企業が多いところに日本っぽさを感じますね。
ざっくり概要を説明すると
グローリー<6457>
入出金・計数機器で高い世界シェアを持ち、金融機関・商業施設には欠かせない企業。
意識していなくてもグローリー製両替機を使ったことがある人は多いと思われます。
ナカニシ<7716>
歯科用回転器具の有力企業で、手術用、産業用も手掛けます。
歯科医院でナカニシ製品のお世話になったことがあるかもしれません。企業ロゴは「NSK」。
エスペック<6859>
温度、湿度、圧力などを計る「環境試験器」で高いポジションを確立。
半導体やEV電池向けの需要も伸びています。
ユニオンツール<6278>
プリント回路基板(PCB)に穴をあけるドリルで世界首位級のシェアを持ちます。
PCBが高多層化、高密度化する中で、より精密な穴あけ求められます。
JCU<4975>
プリント回路基板向けのめっき薬品大手。電子部品・半導体の製造工程に欠かせない薬品です。
ツバキ・ナカシマ<6464>
精密スチールボール(ベアリング用球体)の大手。ベアリングは自動車や家電などあらゆるものに使用され、
精密さが求められる産業ロボ・AIロボなどにはより質が求められます。
理想科学工業<6413>
孔版印刷方式(版に微細な穴を開け、その穴からインキを素材に転写する方法)をデジタル化した「リソグラフ」で世界トップクラス。
パッケージ向けなど、紙媒体以外の領域を拡大中。
オプテックスグループ<6914>
屋外侵入検知センサー、自動ドア用センサーで高いシェアを持ち、防犯意識が高まる中で需要増加が期待されます。
三井ハイテック<6966>
超精密加工による自動車用モーターコアで高いシェア。半導体パッケージに使われるリードフレームも手掛けます。
NITTOKU<6145>
コイル自動巻線機で世界トップの会社。ほぼすべての電気製品にモーターとコイルが入っています。
モーターはいわば筋肉で、コイルは筋肉の強さ・精密性です。モノが高度化するにあたってコイルに求められる質も上がります。
次の大化けに期待したい
誰もが知る大企業を裏で支えているのは、ここで取り挙げたようなニッチ分野で活躍する企業たちです。レーザーテックもニッチ市場で大出世した1人なので、時代の流れによって次のレーザーテックとなるような企業が現れるかもしれません。
隠れた分野で世界最強というのは大きな武器です。将来的にこれまで以上の活躍が期待できる企業を探してみると面白そうですね。