メタプラネットの資金調達計画に注目

9月4日の東京市場において、メタプラネット<3350.T>の株価が800円を割り込み、前日比10%安の720円まで売られる場面がありました。


ビットコインストラテジー戦略への期待から同社株価は今年6月に1930円を付け、時価総額は1兆円を上回るなど一大ムーヴメントを見せましたが、その後は下落基調が継続。720円だとピークから半値以下の水準に調整したことになります。


8月27日に大規模な海外公募の実施を発表した際には、900円前後で推移していましたが、発表後は大規模な希薄化や需給懸念から株価はさらに下落。公募発表前の2割安の水準まで下げてしまったかたちです。


メタプラネット日足チャート




海外公募については、9月1日に実施された臨時株主総会において、決議事項とされていた発行可能株式総数増加や優先株の発行、オンライン株主総会の実施などに関する決議事項がすべて承認されたことで、従来予定していた新株発行1.8億株に加え、需要に応じて追加的に実施する枠として3.75億株の計5.55億株の発行が可能になりました。


需要に応じて追加的に実施する枠が、通常の新株発行の枠を大幅に上回るというのは珍しいケースです。それでもこのかたちにしたのは、前述したように発行可能株式総数の上限があったためで、今回引き上げが承認されたことで可能になったというわけです。


今後は投資家の需要を調査するブックビルディングの期間を経て、9月9日(火)から9月11日(木)までに発行価格が決定される予定です。慣例的には初日に決まることがほとんどですので9日には明らかになる可能性が高いと思われます。


発行価格がどのくらいの水準になるかは不明ですが、価格決定日の終値の90%から100%で決まることになっていますので、3日時点の株価を参考に推測すると、600円台前半から700円台になりそうです。


新株発行の規模もまだ確定はしていませんが、最大となる5.55億株が発行されるとなれば、発行済み株式は一気に今の倍近い水準まで増えることになりますし、現在は行使が停止されている新株予約権による株数の増加も継続します。


さらに言えば、9月4日終値時点の株価は、6月6日に発表した新株予約権の下限行使価額777円を下回っており、このまま推移すれば同社の調達計画に影響が出る可能性があります。


同社株は資金調達により、今後も発行株数が増加する見込みです。果たして株価水準を維持することはできるのか、ふたたび上昇していくことは可能なのか、挑戦を続ける同社の株価を見守りたいと思います。


日本株情報部 アナリスト

斎藤 裕昭

経済誌、株式情報誌の記者を経て2019年に入社。 幅広い企業への取材経験をもとに、個別株を中心としたニュース配信を担当。

斎藤 裕昭の別の記事を読む

人気ランキング

人気ランキングを見る

連載

連載を見る

話題のタグ

公式SNSでも最新情報をお届けしております