前回まで5回にわたって上海証券取引所と深セン証券取引所に上場する主要銘柄を紹介してきました。全部で14銘柄を紹介しましたが、気になった銘柄はあったでしょうか?いずれの銘柄も、時価総額が大きいだけに株式市場での影響力も大きく、日本の新聞であまり出てこなかったとしても、中国株関連のニュースには頻繁に登場する銘柄ばかりです。これから中国株をはじめようと考えているのであれば、知っておきたい銘柄ばかりです。
▼参考
上海証券取引所の主要銘柄(後編):時価総額上位は中国を代表する世界的な企業ばかり
深セン証券取引所の主要銘柄(前編):時価総額1位の会社は意外なギネス記録も
深セン証券取引所の主要銘柄(中編):「美的」と言ったら美容雑誌?・・・ではありません
深セン証券取引所の主要銘柄(後編):アリババ創業者が「最も尊敬する人物」とは?
A株とB株の違いは?
実はこれまで5回にわたって紹介してきた上海証券取引所と深セン取引所の銘柄は、すべて「A株」と呼ばれる株式です。ここで少し、中国株の「A株」について説明しておきます。
中国の株式市場には、「A株」と「B株」という2種類の株式が上場しています。「A株」は人民元建てで取引される株式で、「B株」は上海が米ドル建て、深センが香港ドル建てで取引される株式です。いずれも同一権利、同一額面の株式で、株主の権利という点では差はありません。
もともと、「A株=中国人向け」、「B株=外国人向け」という位置付けでしたが、2001年の制度変更で中国人もB株を取引できるようになりました。その後、2014年に上海A株、2016年に深センA株が、株式相互取引(ストックコネクト)という制度を通じて外国人にも開放され、部分的ではありますが、われわれ日本人もA株を取引できるようになっています。
A株の取り扱いのある証券会社は?
では、そのA株はどこで買うことができるのでしょうか。国内の証券会社であればどこで買えるというわけではありません。実は取り扱っている証券会社は非常に少ないのです。下の表は、A株を取り扱っている主な証券会社の一覧です。
以前から中国株取引に強い、アイザワ証券、東洋証券、内藤証券の3社は、上海A株と深センA株のいずれも取り扱っていますが、取り扱い銘柄数には違いがあります。取り扱い銘柄が最も多いのは内藤証券で、日本人が取引可能な相互取引(ストックコネクト)の対象銘柄は基本的にすべて取引できます(一部に例外あり)。
アイザワ証券と東洋証券も上海A株と深センA株を扱っていますが、この2社は日本の投資家に安心して取引をしてもらうため、取り扱い銘柄を厳選しています。アイザワ証券は2022年8月末時点で上海A株112銘柄、深センA株35銘柄の計147銘柄。東洋証券は上海A株61銘柄、深センA株40銘柄の計101銘柄となっています。アイザワ証券の担当者によると「時価総額の上位銘柄や企業の成長性、ファンダメンタルズを重視して選んでいる」とのことです。
大手ネット証券でA株の取り扱いがあるのは、楽天証券のみです。ただし、楽天証券は上海A株256銘柄のみで、深センA株の取り扱いは今のところありません。このほか、東海東京証券のように対面による委託取引であれば、日本人が取引することのできるすべての上海A株と深センA株を取り扱うというところもあります。
取り扱いがない場合は証券会社にリクエスト
もし利用している証券会社で、買いたい銘柄を取り扱っていない場合は、「深センA株を取り扱えるようにしてください」「●●銘柄の取り扱いをお願いします」など、証券会社にリクエストを出してみるのもいいでしょう。もしかしたら、あなたの要望を聞いて、取り扱いを始めてくれるかもしれません。
A株市場にはこれまで紹介してきた銘柄以外にも魅力的な銘柄が数多く上場しているので、もっと多くの証券会社で取り扱いが始まれば嬉しいですね。