ふるさと納税は好きな自治体へ納税することで、高額な返礼品を受け取れるお得な制度です。年々利用件数を伸ばしていて、2022年度において約5,184万件もの受け入れ実績がありました。
ただし、2023年6月における総務省通達の内容をご存知ない方もいるのではないでしょうか。通達を受けた自治体の対応によっては、ふるさと納税による返礼品の品質が落ちるかもしれません。
そこで本記事では、ふるさと納税の概要を解説しつつ、総務省の通達内容や9月までに手続きを進めたほうがいい理由について紹介します。すでにふるさと納税を活用している方や、初めての利用を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
ふるさと納税の概要
ふるさと納税とは、税金の前払いによって返礼品が受け取れるお得な制度のことです。ふるさと納税を利用すれば、生まれ故郷や応援したい自治体に寄付ができて、2,000円を超える金額については、以下のメリットがあります。
・所得税・住民税の控除が受けられる
・寄付金額30%以内までの返礼品を受け取れる
参照:ふるさと納税のしくみ|ふるさと納税ポータルサイト 総務省
本来であれば現在住んでいる地区の自治体に税金を納める必要がありますが、自分の好きな任意の地域に2,000円を支払って納税できます。しかし、それでは2,000円を損してしまうので、自分の地域を選んでくれたお礼として自治体が設定した返礼品を受け取れる仕組みです。
たとえば、10万円をある自治体に寄付したら、2,000円を引いた98,000円が翌年の所得税・住民税の控除対象となり、約33,000円分の返礼品が受け取れます。私たちはどこかの自治体へ納税しなければいけないため、2,000円を支払うだけで高額な返礼品を受け取れる「ふるさと納税」は、大変お得な制度です。
また、ふるさと納税サイトを利用すると、ポイント還元によって2000ポイント以上を受け取れます。実質デメリットの存在しない、使い得な制度といえるでしょう。
2023年6月ふるさと納税への通達内容と影響は?
2023年6月に発表した総務省の通達によると、2023年10月1日以降に以下2点の見直しを進める予定です。
1. 5割ルールの厳格化
ふるさと納税は、各自治体への返礼品に対して、以下のとおり寄付金の割合を決めています。
・返礼品の調達額:寄付金の3割以下
・経費総額:寄付金の5割以下
今までの経緯として、返礼品の調達額が3割を超えたことで、2019年5月の告示によって寄付控除の対象外になった自治体が存在します。
ふるさと納税の現状として「総経費の5割以下」を守られていない自治体は、全国で130以上存在していました。また、隠れ経費を計上していない自治体も存在しています。
隠れ経費とは、寄付金の受領証発行・送付費用やワンストップ特例制度事務費などの事務手数料のことです。
全国で1700以上の自治体が存在するため、ルールを守られていない自治体数は限られています。しかし、今回の通達により各自治体は厳格に経費計上をしなければいけません。
2. 都道府県内で生産された原材料のみ返礼品として認められる
返礼品の品目は原則として、同一自治体の都道府県で生産された食品や製品に限定されます。ただし、自治体のなかで加工・製造を実施していれば返礼品として認めていました。
このルールを利用し、原材料をほかの地域から取り寄せて、都道府県内で加工した商品を返礼品に設定している自治体もあります。
しかし、今後は熟成肉と精米については、同一自治体の都道府県で生産された原材料のみ返礼品として認められます。そのため、返礼品のラインナップの変更を余儀なくされる自治体も出てくるでしょう。
ふるさと納税の通達を受けて今後の自治体の取り組みはどうなるか?
ふるさと納税の通達を受けて、経費総額における5割以下のルールを守れていない自治体は、つぎの対応を求められます。
・経費削減して返礼品の質を維持する
・返礼品の質を下げて経費を回収する
・返礼品を値上げして対応する
自治体の判断によって対応は異なりますが、返礼品の質が下がる可能性を十分に考慮しなければいけません。
今後は返礼品の還元率が下がったり、商品ラインナップが減ったりして、私たち利用者の立場からするとマイナスに働く可能性が高いです。
ふるさと納税を利用する予定があれば早めに手続きを進めよう
ふるさと納税の通達によって、今後は返礼品の質の低下や商品ラインナップが減少する自治体も出てくる可能性があります。したがって、今までどおりの商品を受け取りたいなら、早めに申請手続きを進めましょう。
しかしながら、ふるさと納税は、私たち利用者にとってお得な制度である点は変わりません。まだ利用していない方は、この機会に返礼品をチェックしてみて、気になる自治体があれば寄付の検討をしてみてください。