ふるさと納税のはじめ方

北海道出身者が2030札幌五輪賛成の前に大事にしたいこと

筆者は北海道出身で、東京で起業しました。取引のある金融機関の関係から2022年現在も北海道に本社を置き、自身は東京に在住、事業拠点としています。そんななか2030年に札幌市が冬季五輪(冬のオリンピック)に立候補するという話があります。オリンピックといえば2021年の東京五輪。さまざま名場面がありました。その一方で五輪はいま、別の視点で渦中にあります。


東京五輪の負の遺産に心を揉む北海道関係者

北海道の札幌市は一度、1972年に冬季五輪を開催したことがあります。スキージャンプで金メダルを獲得しその偉業に興奮した若手が指導者となり、スキージャンプ黄金期の土台となっています。その時に新築されたアイスホッケー場や交通インフラは札幌市民の誇りや新しい足となりました。


2030年にもう一度札幌冬季五輪が開催されれば、北海道のスポーツ界に大きな影響を与えます。また五輪開催のような箱物展開は批判も多いですが、経済回復の起爆剤となる可能性は十分にあります。

ところが2022年夏、東京五輪を裏で仕切っていた人が贈収賄で逮捕されます。関連する容疑者にも司法の手が伸び、なかには大手出版の会長職という大物まで。もともと箱モノ五輪に対する懐疑的な意見もあり、2030年札幌五輪の賛成・反対意見は拮抗していたのですが、大きく反対意見が伸びているという報道もあります。国際オリンピック委員会(IOC)も開催地の熱量を候補地選定の基準のひとつに上げており、予断を許さぬ状況です。


札幌五輪を「投資対象」と見られるようにスタートラインへの回帰を

純粋にスポーツ好きの人間として、2030年の五輪誘致を楽しみにしています。ただ昨今のネガティブなニュースを見て、一瞬だけ「札幌で開催するには相応しくないのではないか」と思いました。SNSなどで探ると、周囲にもいまは声高に五輪歓迎を発信することは出来ない、という声が増えているようです。


ただ冷静になって考えるのは、これは札幌の開催とは関係ないのではということです。東京は東京、札幌は札幌です。ポジショントークにならないように書き進めるのはとても難しいのですが、五輪という言葉で一緒くたにするものではないのではという意見です。


もちろん今回の責任の一端は日本オリンピック委員会(JOC)にあります。嫌疑をかけられる人物が何事も無かったかのように札幌五輪の誘致活動に関わるというのは許されないうえ、誘致活動においては誰からも疑われない潔白な活動と情報公開が求められます。


それでも、今回のネガティブなニュースとはあいだを空けて、札幌開催の可能性を考えたい。北海道に生を受けたものとして、そう感じます。仮に現在の招致活動メンバーが相応しくないのであれば、新たなメンバーを参画させて取り組むべきではないか。


五輪開催は巨大な投資対象なので、開催決定によってさまざまな投資が生まれます。直前に札幌まで延伸する北海道新幹線も、五輪開催によって事業計画に大きな付加益が期待できるでしょう。それを個人的な不作為によって非開催に寄せるのは、デメリットが強いのではないかと思います。


故郷に投資を、の考え方は今後の日本でどう変わるのか

1970年代からの高度経済成長期、生を受けた出身地を出た起業家は政治家を動かし、日本各地に新幹線や空港を延伸させました。2010年代以降はふるさと納税が注目されます。なかには法人版のふるさと納税もあり、寄附行為という形でふるさとへの利益創出が後押しされました。ここからはどうなるのでしょうか。

今回の五輪招致や北海道の新幹線はインフラや箱ものですが、今後縮小する日本経済において、期待されるのは地方の人材の企業です。2010年代後半、ベンチャー企業やスタートアップが発展しつつも東京中心の風土がありました。


名古屋・大阪・福岡といった各地でも現地の企業家を後押しする動きが生まれ、投資家からの投資、いわばリスクマネーも急増します。2020年代に入り福岡や名古屋は起業都市としてのブランディングは確立してきたものの、ほかは少し停滞している印象を受けます。北海道に関しては一次産業の人口減や高齢化、世界を騒がしているロシアとの関係など、さまざまなカントリーリスクがあります。どうすればこれらのリスクをチャンスと再定義し、活発に動き出すことができるのでしょうか。


日々あらたなニュースが生まれるなかで、今後オリンピック熱が再び盛り上がるのか、それとも尾を引いた状態でIOCが判断を下すのか、北海道出身者として不安が先に立っています。故郷でオリンピックを見たいという気持ちはもちろんあり、そのために自分が尽力できるならこれ以上のことはありません。そして自分を育てて貰った街に投資を呼び込むことができれば幸甚です。ここまで縁があって身に着けてきた経験を活用して貰えるよう、いまはニュースの推移に注目していきたいと思います。

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独立型ファイナンシャルプランナー

工藤 崇

株式会社FP-MYS 代表取締役 1982年北海道生まれ。相続×Fintechサービス「レタプラ」開発・運営。2022年夏より金融教育のプロダクト提供。上場企業の多数の執筆・セミナー講師の実績を有する独立型ファイナンシャルプランナー(FP)。

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