株式初心者のためのPER入門

PER8倍=割安?

株価をPERを使って分析する際には、絶対水準相対水準に注意を払う必要があります。


ある銘柄のPERが8倍だったとします。一般的には1桁のPERには割安感があるとみられています。ただ、同業がほかに3社あり、それぞれのPERが7倍、6倍、5倍であった場合はどうでしょう。PER8倍は、業界内では高い評価を受けていると考えられます。その場合、8倍だから割安とは必ずしも言えないということになります。


このように、PERを見る上では、同業と比較してみるというのも重要な作業となります。


業界内の順位にも注目


同業との比較という点では業界内での順位というのも重要なファクターとなります。順位に関してはいくつか尺度がありますが、ここではオーソドックスに市場シェアとして考えます。


先ほどの4社が以下のような順位になっていたと仮定します。

一般的に、業界トップの企業というのは株式市場でも高い評価がされる傾向があります。D社は同業との比較でPERが最も低いですが、業界内でのシェアも低いです。業績に対する期待値が相対的に低いことから、低PER=割安かというと、そうとも言えないと考えられます。


ただ、4社の業界順位が逆であった場合には見方も変わってきます。

業界トップの実力のある企業の株価が、同業と比べて低いPERとなっている。こういう時は割安に放置されている可能性が高いと考えらえます。


高PER銘柄でも相対比較は重要


イメージしやすいように簡略化して説明しましたが、

・PERを見る上では同業の水準をチェックする

・業界内での立ち位置も踏まえて水準が適正かを分析する

ことが重要なポイントとなります。


スクリーニングなどを使って割安株を検索する際には、PERが低いほどお買い得と判断しがちです。ただ、同業のPERも軒並み低い場合には、PERだけで銘柄を選別してしまうと、著しく人気がない(投資家の関心が向かない)銘柄をつかんでしまうリスクがあります。


また、同業と比較するという観点は、低PER銘柄だけでなく、高PER銘柄においても有効です。高PER銘柄は適正水準を見定めづらいことから、同業に比べて著しくPERが高い銘柄に関しては、過熱感が強い(人気が離散した際の急落リスクが高い)と考えられます。







日本株情報部 アナリスト

小松 弘和

証券会社、外資系生命保険会社、大手出版社マネーサイトの株式分析アナリスト、FX会社勤務を経て2014年に入社。金融全般に精通。2級FP技能士。 「トレーダーズ・プレミアム」では、「個別株戦略」「Market Flash」などのコンテンツやニュース配信を担当。 メディア掲載&出演歴 日経CNBC「朝エクスプレス『証券中継』」(隔週金曜)、株主手帳「街の専門家『今月の相場見通し』」、週刊現代、日経マネー、ダイヤモンド・ザイ、ビジネスマンの人生逆転マガジン「Ambitious」、完全ガイドシリーズ「株 完全ガイド」

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