いまから米国株

これから米国株を始めても大丈夫?2022年米国株市場の動向と今後

2020年4月以降米国株市場は右肩上がりに上昇し、2021年には代表的な指数(ダウ、S&P500、NASDAQ100)は最高値を更新し続けました。


「これから米国株を始めたい」「今、市場はどうなっているの?」と考える方は多いのではないでしょうか。2022年の米国株市場は前年と異なり、ダウ・S&P500・NASDAQ100は全て年初から約10~30%下落しています。これから米国株投資を始めたい方はどうすればよいのでしょうか?


米国株の2020年から現在までの動きと現状、11月の米国株関連のイベント、これから米国に投資をしたい方におすすめの方法を解説していきます。


2021年は右肩上がりの米国株、2022年は?

アメリカの中央銀行にあたる連邦準備制度理事会(FRB)は、新型コロナ感染症対策として2020年3月からゼロ金利政策を続けてきました。


2020年3月の「コロナショック」以後、米国市場はゼロ金利政策により右肩上がりと言える状況でした。しかし2022年3月にFRBはゼロ金利政策を解除し量的緩和策も終了することを発表し、2022年11月現在まで段階的に利上げを実行しています。直近5年間のアメリカの代表的な指数の動きを見ていきましょう。

 

青:ダウ工業株30種平均指数 オレンジ:S&P 500 赤:NASDAQ100指数(Bloomberg HP


  • ダウ工業株30種平均指数:S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス社が、選出した工業株30銘柄を対象としたアメリカ合衆国の代表的な株価指数


  • S&P 500:S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスLLCが公表する時価総額の大きい500社で構成する株価指数


  • NASDAQ100指数:米国NASDAQ(ナスダック)市場に上場している銘柄のうち、金融業を除く時価総額の大きい100社で構成される株価指数


日本株市場では東証平均株価・TOPIX等が主な指数ですが、アメリカでは上記3つが代表的な指数です。なお「利上げ」とは長期金利の指標となる「米国債券10年」の年利回りが上がる事を意味します。投資家が10年間保有する米国債を購入し(=米国にお金を貸し)受け取れる金利で、約10年間の市場金利の基準となります。


アメリカの利上げは日本にも「円安」という形で大きな影響を及ぼしています。ゼロ金利政策を続ける日本と米国に金利の差が生まれ、円を売って利回りの高いドルを買う「円安」が進行しています。


さらにロシア・ウクライナ情勢などの影響で、世界的にインフレ(貨幣価値が下がり物価が上がる現象)が進んでいます。インフレ・利上げ・円安・ドル高・株価は不安定という状況の中で、これから米国株投資を始めても良いのでしょうか?


2022年11月の米国株はイベントが多い

2022年11月は米国株市場の今後を左右するイベントが多い状況です。


11月2日(日本時間では11月3日)にはFOMC(Federal Open Market Committee連邦公開市場委員会)という今後の金融政策を決める会合が開かれます。12月以降の利上げのペースなど金融政策が分かり、FRBのパウエル議長の発言にも注目が集まっています。過去にパウエル議長の発言により米国株市場は影響を受けてきました。


11月8日にはアメリカ大統領選挙の中間の年に実施される「中間選挙」の投開票があります。米国株式市場では過去に「中間選挙の翌年には株価が上昇する」という経験則(アノマリー)があります。


しかし、経験則(アノマリー)はあくまで過去のものであり必ずしも的中するとは限りません。記録的なインフレやロシア・ウクライナ問題など予測できない情勢で、現在の米国株市場は「予断を許さない状況」と言えるでしょう。


また、米国が景気後退(リセッション)に陥るという指摘があります。ドイツ銀行のストラテジスト(投資戦略の専門家)は「リセッション(景気後退)に陥れば米国株はさらに25%下落する可能性があり、持続的な株価上昇に対するリスクは強まっている」と述べています。


11月4日には10月の雇用統計、11月10日には消費者物価指数(CPI)の発表など株価を左右するイベントが多い予定です。


先行きは不透明。投資を始めたい方は長期・積立・分散投資を

米国経済は今後リセッション入りする可能性もありますので、これから投資を始める方が参入すると購入した株が下がり続けてしまう恐れがあります。


投資初心者におすすめの方法は「長期・積立・分散投資」です。長期に渡って地域や金融商品を分散し、積立で投資する事でリターンを得られる可能性が高くなります。

アメリカはGDP(国内総生産)が世界一の経済大国であり、GAFAM(Google、Facebook(現Meta Platforms)、Apple、Amazon、Microsoft)やテスラなど投資家にとって魅力のある企業が多いと言えるでしょう。


筆者も2020年から米国株投資を始めました。予測が難しい状況ですので、現在は大手企業500社に分散されたS&P500と連動した投資信託を積立で購入しています。


「これから米国企業に投資したい」という方は指標と連動した投資信託を「長期・積立・分散」で購入してみてはいかがでしょうか。(※上記はあくまで筆者の考えであり、特定の投資信託を推奨するものではありません。)


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ファイナンシャル・プランナー/ライター

田中 あさみ

大学在学中に2級FP技能士の資格を取得。会社員を経て独立し、金融・投資・相続・法律などの記事を執筆している。 自身でも米国株やETF・投資信託等を運用中。

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