結論からいうと、不動産投資を行えば節税できます。しかし、節税できる人には特徴があるため、すべての人が節税効果を得られるわけではありません。
また、節税効果を得るにはさまざまなポイントを押さえておかなければなりません。そこで、本記事では不動産投資で節税する際のポイントや仕組み、節税対象の税金について紹介します。
不動産投資で節税できる税金の種類
不動産投資で節税できる税金の種類として下記の4つが挙げられます。
不動産投資が節税につながる2つの仕組み
不動産投資が節税になる仕組みとして次の2つが挙げられます。
● 減価償却を目的としたケース
● 損益通算を目的としたケース
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.減価償却を目的としたケース
減価償却とは、固定資産を購入した年に費用の全額を計上するのではなく、金額を分割して少しずつ費用計上する仕組みです。
例えば、年収1,000万円の方が3,000万円の不動産投資用の物件を購入したとしましょう。購入した年に全額を費用計上すると、7,000万円の赤字が発生します。
しかし、減価償却であれば物件の耐用年数に応じて購入した年以降も分割して費用計上が可能です。仮に耐用年数が5年の木造住宅を購入した場合、毎年約600万円ずつ減価償却できます。
なお、主な減価償却資産の耐用年数表については次の国税庁のサイトから確認できます。
2.損益通算を目的としたケース
損益通算とは、不動産投資の赤字を所得と相殺できる仕組みです。減価償却との組み合わせによって、不動産投資での節税を可能にします。
例えば、耐用年数が5年間の木造住宅を3,000万円で購入した場合、減価償却費は前述のとおり約600万円です。仮に、家賃収入が500万円、諸経費が150万円だとすると以下のような計算となります。
● 500万円-150万円-600万円=-250万円
つまり、毎年250万円の赤字額を所得と相殺できるのです。利回りや耐用年数、購入額などの条件によって大きな違いはあるものの、年間の赤字を相殺できるのは不動産投資の大きなメリットといえるでしょう。
損益通算に関する詳しい内容は次の国税庁のサイトで確認できます。
不動産投資で節税すべき人の特徴
不動産投資で節税すべき人は「課税所得が900万円を超えている人」です。
課税所得が900万円を超えると所得税・住民税率は約33%となり、譲渡税率との差が大きくなるため、節税目的で不動産投資すれば大きなメリットを得られます。
一方、課税所得が900万円以下の人は所得税・住民税率と譲渡税率の差が大きく開かず、節税目的での不動産投資だとリスクに見合わない可能性があります。
不動産投資で節税する際の4つのポイント
不動産投資で節税するためのポイントとして次の4つが挙げられます。
● 耐用年数が短い物件を狙う
● 空室リスクが高い物件を避ける
● 必ず確定申告をしなければならない
● 法人化によって節税効果が高まる場合もある
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.耐用年数が短い物件を狙う
不動産投資で節税する場合は「耐用年数が短い物件」を狙いましょう。構造ごとの耐用年数の違いは次のとおりです。
● 軽量鉄骨造(骨格材肉厚3mm以下):19年
● 木造:22年
● 軽量鉄骨造(骨格材肉厚3mm~4mm):27年
● 重量鉄骨造(骨格材肉厚4mm超):34年
● 鉄骨鉄筋コンクリート /鉄筋コンクリート:47年
たとえば、3,000万円の物件を購入して耐用年数をもとに減価償却費を算出します。
● 木造:3,000万円÷22年=約136万円/年
● 鉄骨鉄筋コンクリート /鉄筋コンクリート:3,000万円÷47年=約63万円/年
上記のとおり、耐用年数が短い住宅であれば1年ごとに計上できる減価償却費は多くなるため、短期間で高い節税効果を得られます。
2.空室リスクが高い物件を避ける
空室リスクが高い物件も避けた方がよいでしょう。なぜなら、空室が高いと家賃収入を得られないからです。
これでは住宅ローン返済や建物の維持などの費用ばかりが膨らみ、赤字となる可能性があります。そのため、購入を検討する物件の空室状況は必ず確認しなければなりません。
3.必ず確定申告をしなければならない
不動産投資では減価償却で赤字を作り、その赤字を所得と相殺することで所得税や住民税を節税できます。しかし、これら不動産投資の節税を得るには確定申告が必須です。
特に、会社員の方は勤務先で年末調整が行われるため、確定申告を行う習慣がないという方は多いです。節税効果を得るためにも、確定申告は忘れず行いましょう。
4.法人化によって節税効果が高まる場合もある
法人化すると以下のようなメリットがあります。
● 個人の時よりも税率が低い
● 不動産投資の収益を役員報酬や給与として経費にできる
● 計上可能な経費の種類が増加する
法人化すればこれらのメリットによって不動産投資の節税効果を高められます。一方で、法人化すると「法人設立費用や税理士費用などのコストがかかる」や「収益が減る場合がある」といったデメリットもあります。
法人化するかどうかは税理士などのプロに相談してから判断することをおすすめします。
まとめ
不動産投資は「減価償却」による経費計上と減価償却などによって生まれた赤字を所得と相殺する「損益通算」の2つの仕組みによって所得税と住民税を節税できます。
しかし、ただ不動産投資物件を購入しただけでは、十分な節税効果は得られません。節税効果を高めるには「耐用年数が短い物件を狙う」や「空室リスクが高い物件を避ける」などのポイントを押さえる必要があるからです。節税効果を高めるポイントを理解し、賢く不動産投資を始めるようにしましょう。