株式市場には、利益のわりに株価が低く放置されている「低PER銘柄」が存在します。そのような銘柄は、「割安だからいつかは上がるはず」と考えたくもなりますが、そこには特有の落とし穴も潜んでいます。
低PER銘柄に投資する際に、心得ておくべきリスクについて整理しておきましょう。
不人気で放置され続けるリスク
低PER銘柄というのは、言い換えれば「人気がない銘柄」となります。「低PER銘柄」などで検索をかければ、該当する銘柄は簡単に見つかります。日経平均株価が高値圏で推移する中、多くの投資家になじみの深い指標で割安という評価がされているにもかかわらず買いが入らないというのは、「埋もれている」のではなく「敬遠する材料があるかもしれない」と考えた方が良いでしょう。
大きな要因の一つとして「流動性」が挙げられます。普段の出来高が少ない銘柄は、買いたい時や売りたい時に、板が薄すぎて希望の金額で売り買いできないこともあります。また、買いでも売りでも、自身の注文が株価を動かしてしまうこともあります。出来高は銘柄の人気を測るバロメーターの一つですので、出来高が少ない銘柄は嫌われる傾向があります。
事業内容が分かりづらいリスク
事業内容が分かりづらいというのも、敬遠される要素の一つとなります。何をやっているかがイメージしづらい企業に関しては、ある年に大きな利益が出たとしても、翌年度にさらに利益を伸ばせるかどうかの判断が難しいです。
毛色の違う複数の企業を買収してホールディングス制を採っている企業では、ある年度は傘下の企業Aが大躍進して増益になったものの、翌年度は企業Bが足を引っ張って大幅減益になるといったことも起こり得ます。
また、ジャンルがマニアックであったり、ビジネスモデルが複雑な企業なども、市場規模が先々でどうなるかが読みづらい、将来の分析を行うための材料が乏しい、比較する同業が少ないといったことなどから、割安に放置されることがあります。

成長しないリスク
利益は安定して出ている。ただ、前年との比較であまり成長がないといった企業は、PERが低めでも市場からの評価が高まらないことがあります。
投資家は多くの企業を比較した上で銘柄を選別します。成熟した業態で取引企業もある程度決まっている、赤字になるリスクは少ないけれども急成長しそうな要素は少ない、といった企業に関しては、多少指標面でのお得感があっても、それだけでは買う理由が乏しいとも言えます。
マイナス材料を許容・応援できるか
ネガティブな要素を多く挙げましたが、低PER銘柄に投資妙味がないというわけではありません。
ただし、「低PER=お買い得」とは考えず、その銘柄がなぜ割安に放置されているかを深堀りすることは重要です。そして、その理由がご自身にとってそれほど気になる内容でなければ、投資対象として考えて良いかと思います。
一度購入したら数年は売却しない、短期の値動きに一喜一憂しないというスタンスであれば、流動性の低さというのはそれほど気にならないかもしれません。逆に、株式を購入したら毎日値動きが気になるという方でしたら、低PERでも流動性の低い銘柄は避けた方が良いでしょう。
事業内容が分かりづらい点に関しては、その企業や業界について深く研究することで、新たに見えてくることもあります。企業のホームページのほか、「IRフェア」などを通じて理解を深めることはできます。その上で応援したいと思えるのであれば、他の多くの人にとってはリスクに見えることもリスクにはならないと考えられます
成長に対する期待が低い銘柄に関しては、PBRや配当利回りなど、PER以外の面でもふるいにかけることで、埋没リスクを小さくすることができるかと思います。また最近は、このタイプの企業が認知度を高めるためにIRに力を入れる、もしくは逆に非上場という選択を採るといったことも起きています。殺風景なホームページであったところからIR資料が充実してきたといった動きが見られるようなら、「投資家を意識した経営にシフトしてきた→潜在ポテンシャルが評価されやすくなる」との仮説も立ちます。
低PER銘柄への投資に関しては、「割安だから上がるはず」とは考えず、「今は●●という理由があって評価が低いけれど、そこは理解した上で応援する」というスタンスで臨むと、ストレスが少なくなって成果も出しやすいと考えられます。どっしりと構える余裕と、変化の兆しを見逃さない観察眼をセットで持っておきたいものです。



