株式投資 超入門編

【番外編】 記憶に染みつくインパクトの強い社名5選

株価の形成には、業績やマーケット環境だけでなく、人気、需給、流行などさまざまな事象が複雑に絡み合った結果として出来上がります。テレビで紹介されたことをきっかけに買われることはよくありますが、最近ではSNSを発端として株価が買われることもあり調べることがとても多いですね。


世界初の証券取引所はベルギーのアントワープ証券取引所だそうで、設立はなんと1531年。日本は戦国期の真っ只中です。このように500年近い歴史を持つにもかかわらず、つねに流行を取り入れて順応しており、株式市場はまるで生き物のようにも思えますね。


さまざまなことが株価に影響しますが、社名や製品名も株価に影響しているのではないか?と考える時があります。強烈なインパクトがあると、そのことが頭から離れなくなりますよね。

印象的な企業名や製品名に惹かれて株主になった人も多いのではないかと思い、個人的に面白いと思った日本企業の社名を5つ選出してみました。


1.パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス<7532>


怒涛の陳列で有名なディスカウントストア「ドン・キホーテ」を運営する会社です。2013年まではドンキホーテホールディングスでしたが、社名変更により現社名となりました。なお、1978年に創業された雑貨屋「泥棒市場」からみるとどんどん社名が長くなり、現在は「・(中点)」も含めて27文字です。


長すぎるので、株式市場ではパンパシと呼ばれています。余談ですが、過去に上場企業で一番長いとされた社名は「パシフィックゴルフグループインターナショナルホールディングス(現PGMホールディングス)」の30文字です。今は平和<6412>の完全子会社となり上場しておりませんので、上場企業の社名最長はパンパシが堂々の1位です。

※単位は百万円

※出典:DZHフィナンシャルリサーチ



2.サイバーセキュリティクラウド<4493>


2020年3月に上場した、クラウド型のサイバーセキュリティ対策ソフトなどを提供している会社です。社名がすべてを物語っており、初めて聞く人でも何をやっている会社かすぐに分かりますね。主力サービス「攻撃遮断くん」には、AI(人工知能)が活用されているそうです。ストレートなネーミングも印象に残りやすいですね。


上場した当初、公開価格4,500円に対して3~4週間買いが続き、株価が一時45,000円にまで上昇したことがあります。過去に個人投資家を中心として大きく賑わいましたが、国内でサイバー攻撃のニュースが伝わるたびに物色されています。サイバーセキュリティ関連と言ったらこの銘柄!と真っ先に思いつきやすいのも、買われやすい理由の一つですね。

 

3.日本一ソフトウェア<3851>


社名にナンバーワンを掲げるゲームメーカーです。任天堂やスクウェア・エニックスならゲームに詳しくない人でも知っていますが、同社はどちらかというとコアなプレイヤー向けのゲームを手がけています。


ロールプレイングゲーム「魔界戦記ディスガイア」がとくに有名で、キャッチコピーは「史上最凶のやり込み」。最新ナンバー「魔界戦記ディスガイア6」では、キャラクターのレベル上限が「99999999」で、ダメージ上限が「9999京」まであるもとのこと。


2023年には続編が発売される予定ですが、なんとレベル上限は「6」以前の「9999」に戻るそうです。あれ、少なくない?と思ったら、感覚がマヒしてきているかもしれません。

 


4.トマト銀行<8542>


岡山県岡山市に本店を置く第二地方銀行です。上場銀行のなかでは社名に植物を入れている唯一の存在でもあり、もみじ銀行も存在するものの、こちらは山口フィナンシャルグループ<8418>傘下のため、直接上場しているわけではありません。ちなみに以前の商号は山陽相互銀行でした。


なんでトマトなの?というと、会社が言うには「トマトのもつみずみずしく、新鮮で、明るく健康的なイメージが、当社の目指すべき企業イメージとピッタリ合うということで発案された」とのこと。同社のシンボルマークにも呼び名がちゃんとあり、「トマト・アイデンティファイア」というそうです。余談ですが、岡山県のトマト生産量は47都道府県中30位(2016年時点)です。

 


5.出前館<2484>


芸人の浜田雅功さんやYouTuberのHIKAKINさんが出演するコマーシャルでおなじみの出前館です。東証スタンダードのなかでは、日本マクドナルドホールディングス<2702>に次いで知名度の高い会社ではないでしょうか。


今でこそ社名は「出前館」ですが、2019年10月までは「夢の街創造委員会」という社名でした。非営利法人?と勘違いしてしまいそうな社名ですが、1999年設立のれっきとした株式会社です。


なお、設立当初から「出前館」などのデリバリー1本で経営しており、地域振興のような事業はやっていないもようです。前社長である中村利江さんへのインタビュー記事をみると、夢の街→あったらいいなというサービス、創造→今までにない事業、委員会→委員会活動のように挙手した人が実践できる環境を作りたいといった意味が込められているそうです。


コロナ禍を経て出前が一気に浸透しましたし、設立当初の思いは叶ったと言えるのかもしれません。今後、どのような事業展開となるのか注目したいですね。

 



ほかにも印象的な社名の上場企業はたくさんありますが、挙げ始めるときりがありません。社名の通りの事業を行っている会社もあれば、何屋さんですか?と思うような会社もたくさんあります。どんな社名だったとしても、誰かの気に一瞬でも止まったらそれが商機かもしれませんよね。


また、人の第一印象は視覚情報が55%と言われていますが、これは会社名にも当てはまるんじゃないかな?と思ったりもします。もし琴線に触れるような社名を見たら、会社ホームページを覗いてみると新しい発見があるかもしれません。


日本株情報部 アナリスト

畑尾 悟

2014年に国内証券会社へ入社後、リテール営業部に在籍。個人顧客向けにコンサルティング営業に携わり、国内証券会社を経て2020年に入社。「トレーダーズ・ウェブ」向けなどに、個別銘柄を中心としたニュース配信を担当。 AFP IFTA国際検定テクニカルアナリスト(CMTA)

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