ここ数年では、若年層にも投資が浸透しつつあります。投資をしようと思ったきっかけが、「株主優待制度」を利用したいという理由だった方も多いのではないでしょうか。筆者が証券会社に勤務していたころも株主優待は人気で、勧められた株は買わないけれど、優待銘柄は進んで買うといったお客様がたくさんいらっしゃいました。
「株主優待制度」という響きだけでお得感がありますし、いざ優待品が届くと「自分は株主なんだなあ」と実感も得られて、なんだか気持ちがたかぶりますよね。
ただ、欲しいと思って飛びつくと、思わぬ罠に引っかかることもあります。今回は、優待銘柄をなるべくお得に買えるように、事例を紹介していきたいと思います。
駆け込み購入はしない
インターネットで優待銘柄を探すと、検索結果には人気ランキングや、その月の権利銘柄一覧が多くヒットします。そのまま記事を眺めていると「この優待ほしい!」と思ったりもしますよね。
しかし、記事を見ているのはもちろん自分だけではなく、大勢の人が見ています。自分が欲しいと思ったときには、その他大勢の人がその銘柄を買っているかもしれません。欲しい優待銘柄の権利日がいつなのか、株価の推移はどうなっているか、衝動的に買う前に、この2つをしっかりとチェックしましょう。
権利落ち前後のチャート例
フェスタリアホールディングス<2736>
上のチャートは、宝飾品の製造と販売を手掛けるフェスタリアHDのチャートです。同社は8月権利銘柄なので、2022年の権利付き最終日は8月29日です。翌日30日の株価は図を見ての通り急落してしまいました。
チャートを見ると、8月に入ったころから株価の上昇が目立っていますよね。優待の権利日を意識した動きが如実に表れています。権利日が迫るにつれて、駆け込みで買う人が増えたものの、権利落ちとなったことで優待狙いの投資家が一斉に売った結果このようになったと考えられます。
一日で株価は100円程度下落したので、最低単元の100株だったとしても、直前に買った人は約1万円の含み損です。優待品と配当がもらえてうれしい!と思いきや、本当にトータルでプラスなの?と疑問が生じてしまいます。
買ったら売らないから関係ない!という人もいるかもしれませんが、せっかく買った銘柄がすぐに含み損になるのは気分が悪いですし、もう少し安く買えた可能性があると考えると、権利月に入ってから買うのは避けたほうがよいでしょう。
上はフェスタリアの2019年以降チャートです。コロナショックという例外もありますが、毎年権利落ち後は株価が大きく下落していることが分かります。同社に限らず権利落ち後に株価が大きく下がるケースは多くあります。銘柄によって下げ幅もまちまちのため、それぞれ過去の例から見て、いつごろが買い時か計画を立てると良さそうですね。
予期せぬ優待廃止に注意
最近では、株主優待を廃止する企業が増えてきています。優待ランキング上位に君臨していたオリックス<8591>も、2024年3月分をもって優待を廃止する方針であり、優待投資家勢を騒がせました。
百貨店株や小売株・外食株などの優待は幅広い層から人気ですが、まさかこの会社が・・・というケースが今後もありうるため、購入後は「ほっぽらかし」にせず、保有銘柄のニュースは定期的にチェックしたほうが良さそうです。