運用会社が破綻もしくは事業を終了しても、信託財産は信託銀行に保管されていますので信託した財産に影響は生じません。
2024年10月17日には、PayPayアセットマネジメント株式会社が事業終了を発表し同社の投資信託は運用会社を変更または繰上償還されることになりました。
投資家に直接的な損失はありませんが、長期の運用を予定している場合は機会損失となってしまうでしょう。
今回はインデックス投資など、長期で投資信託を運用したい方がファンドを選ぶポイント4つを解説していきます。
PayPayアセットマネジメント株式会社が事業終了を発表
2024年10月17日、PayPayアセットマネジメント株式会社は事業終了を発表しました。
同社のホームページ「事業終了のお知らせ」には、「運用資産の拡大が計画通りには進まず、業績低迷が続いていました。(中略)お客さまに最良の資産運用サービスを持続的に提供することが難しいと判断しPPAMの事業を終了することを合意しました。」と記載されています。
運用する投資信託は、「PayPay投資信託インデックス先進国株式」「PayPay投資信託インデックス世界株式」などは運用会社が変更になり、「PayPay投信 米国株式インデックス」など4つの投資信託は繰上償還です。
繰上償還とは、定められた期日より前に運用が終了し投資家にお金が返還されることを指します。
投資家が金銭的に損をするわけではないが、「機会損失」が生じる恐れがある
今回のような運用会社の事業終了によって、投資家が直接金銭的な損失を被る訳ではありません。
しかし、長期の投資は複利効果(得られた収益を当初の元本に加えて運用すること)で収益が大きくなると言われています。
出典:金融庁「はじめてみよう!NISA早わかりガイドブック」
運用会社が破綻または事業終了することにより、繰上償還されると投資家にとっては機会損失を被る恐れがあります。
機会損失とは、機会を逃すことで本来得られる利益を逃してしまうことです。
投資信託を選ぶ際には、信託報酬や投資先などさまざまな要素を考慮し決定する投資家が多いでしょう。
今回の件のように繰上償還される事態を防ぎ、長期で運用したい投資信託を選ぶためには、一体どのように判断すれば良いのでしょうか?
長期で運用したい!投資信託を選ぶポイント4つ
ファンドの「純資産総額」を調べる
運用実績をチェックする
信託報酬など手数料を把握する
投資の目的なども考慮し、総合的な判断を
1.ファンドの「純資産総額」を調べる
純資産総額とは、投資信託の資産総額からコストを差し引いた残高でファンドの規模を表します。
例えば三菱UFJアセットマネジメントの「eMAXIS Slim」シリーズといった投資家から人気があるファンドは、資金が多く流入し純資産総額が大きい傾向にあります。
2024年10月25日現在で、純資産総額が最も多い投資信託は三菱UFJアセットマネジメントの「eMAXIS Slim 米国株S&P500」です。
ただし、純資産総額はあくまで規模を表すものですので純資産総額「だけ」で判断することはおすすめできません。
2.運用実績をチェックする
ファンドの目論見書・運用報告書などで、過去の運用実績をチェックしましょう。
インデックスファンドの場合、ベンチマークとなる指標と連動性が高いことが重要な判断材料の1つとなるでしょう。
3.信託報酬など手数料を把握する
投資信託を長期で運用する場合は、信託報酬(運用中の手数料)も重要なポイントです。
長期で運用すればするほど信託報酬が高くなりますので、コストが低いファンドを選ぶと得られる利益が多くなります。
4.投資の目的なども考慮し、総合的な判断を
「老後の資産形成のため」「子どもの教育資金に使いたい」など人によって投資の目的は異なります。投資信託はさまざまな種類のものが販売されており、投資の目的や方針によってもどの商品を選ぶかは異なるでしょう。
あらかじめ決めた年に向けて資産を運用し、自動的に資産配分などを調整するターゲット・イヤー型ファンドもあります。
投資信託を選ぶ時には、純資産総額・運用実績・信託報酬などファンドに関する情報に加え投資の目的・方針・投資できる金額・リスク許容度など個人の状況も加味し総合的な判断を心がけましょう。