いまから投資信託

テーマ別投資信託・ETFは上級者向け?初心者におすすめできない理由3つと体験談

ESG・電気自動車・宇宙産業など特定の分野に投資できる商品として「テーマ別投資信託」の人気が上昇しています。「インデックス型だから」と長期・積立投資をしている投資家も多いでしょう。


しかしテーマ別投資信託の「指標(インデックス)」の中には、運用会社が設定した独自の指標である商品が存在します。テーマ別投資信託は、ネット証券会社などを通じて気軽に購入できますが筆者にとって「初心者におすすめできない」理由が3つあります。


今回はテーマ別投資信託・ETFとは、初心者におすすめできない3つの理由と体験談を解説していきます。


テーマ別投資信託・ETFとは

テーマ別投資信託(テーマ型投資信託)とは、ESG・宇宙産業など特定のテーマ・ジャンルに特化した投資信託です。ETFでもジャンル・テーマ別の商品が多数販売されています。


2021年には三菱UFJ国際投信の「eMAXISNeoシリーズ」や三井住友トラスト・アセットマネジメントの「SMT MIRAI Indexシリーズ」など多くのテーマ型投資信託に資金が流入しました。


筆者もアメリカのテック産業や半導体に特化したETFを所有しています。しかし、2022年の株安で価額は下がり続け含み損が増しています。


テーマ別投資信託はDXや宇宙産業など「今後伸びることが見込める業種」に気軽に投資できることが魅力です。しかし、2020年からテーマ別投資信託・ETFを運用している筆者は「初心者にはおすすめしづらい」と感じました。


テーマ型投資信託を初心者におすすめしない理由3つとは


1.「インデックス型投資信託」とは言い難い

投資信託には、大きく分けてインデックス型投資信託・アクティブ型投資信託・バランス型投資信託があります。


インデックス型投資信託は特定の指標(日経平均株価・S&P500など)と連動した動きを目指すファンドです。低リスク・低リターンで、初心者でも始めやすいと言われています。


テーマ別投資信託の中には「市場の指標と連動を目指す」「インデックスファンド」と謳っているものが存在します。しかし、目論見書や運用報告書を見るとファンドの中には「運営会社が設定した独自の指標」と連動を目指すことが記載されているものがあります。


インデックス型投資信託は、国内外で主に以下のような指数と連動した動きを目指します。


例えば日経平均株価のインデックス投資信託を購入することで、日本の上位225社に分散投資することが可能となります。S&P500の場合はアメリカで時価総額の大きい500社に間接的に分散投資ができます。


しかし、独自に設定された指標と連動するテーマ別投資信託は、実質「アクティブ型投資信託」という位置づけになってしまいます。


2.テーマやジャンルの当たり外れが大きい

テーマ別投資信託のテーマやジャンルは新興産業を対象としたものが多いです。例えば宇宙産業やVR・AI・フィンテック・ESGや再生可能エネルギーなど「今後伸びそう」と感じられるテーマ・ジャンルが多くなっています。


しかし新興産業の銘柄は、高リスク・高リターンで振れ幅が大きいという特徴があります。


例えば筆者は、2020年11月に再生可能エネルギー政策に積極的なバイデン氏が大統領選挙で勝利したことからアメリカの再生可能エネルギーETF(PBW)を購入しました。

 


 

出所:Trading View


110ドル台で購入し、2021年の2月には132ドル台に上がりましたが、その後下がり続け損切りしました。2023年1月11日時点では41.15ドルとなっています。上手く短期で利確できる人であれば利益を出せたかもしれませんが、テーマ・ジャンルによって当たり外れが大きく初級者には難易度が高いと言えるでしょう。


3.長期で運用成果が出ているファンドが少ない

アメリカのセクター別ETFの中には、XLK(テクノロジー)・VCR(一般消費財)など長期で運用成果を出しているファンドが存在します。


しかし日本のテーマ別投資信託は販売から日が浅い商品が多く、長期での運用成果が出ているファンドが少ないという現状があります。


投資信託・ETFを選ぶ上で過去の運用成績は重要な判断材料となります。テーマ別投資信託に興味のあるかたは、慎重な検討を心がけましょう。


まとめ

テーマ別投資信託の概要、初心者におすすめできない理由3つをお伝えしてきました。気軽に購入できるテーマ別投資信託は、購入前に目論見書や運用報告書をよく読みながら検討しましょう。


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ファイナンシャル・プランナー/ライター

田中 あさみ

大学在学中に2級FP技能士の資格を取得。会社員を経て独立し、金融・投資・相続・法律などの記事を執筆している。 自身でも米国株やETF・投資信託等を運用中。

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