2019年に大きな話題となった年金だけでは老後を過ごすことはできず、年金以外に2,000万円必要であるという「老後2,000万円問題」をご存知の方が多いと思います。この問題が提起されても、働き盛りの世代の給与は急に上がることはなく、子どもの教育費や冠婚葬祭での出費、物価の上昇などによって預貯金もほとんどなく、日々の生活がやっとという方達が行き着いたのが投資です。
一般社団法人投資信託協会による「2021年度投資信託に関するアンケート調査報告書」によると、全国の20~79歳の2万人のうち、2021年時点で投資信託を保有している人は27.9%にものぼり、世代別に見ると40代が最も多く21%となっています。
また、つみたてNISAの買付額年代比率から見てみると30代が最も多く27.8%となり、若年層の間でも投資信託でお金の運用をして将来に備えている方が増えているという傾向が見て取れます。
本記事をご覧になられている方は、将来に備えて投資信託を行いたいと考えながらもリスクについて不安を感じ、なかなか投資に踏み切れないというのが本音ではないでしょうか。
そこで本記事では、投資信託のリスクについて、事前に押さえておきたい注意点についてもわかりやすく解説していきます。
投資信託の注意点
投資信託を行う前には、下記の3つの注意点を押さえておく必要があります。
● 株のようにリアルタイムで売買できない
● 元本保証がない
● コストがかかる
株のようにリアルタイムで売買できない
株式投資であれば、株式の購入時より高値が付いた時に売却することで得ることができる譲渡益があり、株価を常にチェックしておくことで、リアルタイムで売却し、譲渡益で大きく利益を得る投資家も少なくありません。
しかし投資信託では、複数の銘柄が組み込まれているため、それぞれの銘柄の時価評価から1日に1つにまとめられた基準価額が算出され、公表される流れとなります。この流れのため、売買を行うことができるタイミングは当日の基準価額を公表する前の段階で締め切られてしまうので、リアルタイムに取引を行うことができないということを覚えておきましょう。
元本保証がない
投資信託に限った話ではありませんが、投資には元本保証はありません。他の投資よりもリスクが低いと言われている投資信託であっても、様々な要因によって購入時よりも値下がりしてしまい損をしてしまう元本割れの可能性があります。絶対的に利益を得ることができるものではないということを忘れないことが大切です。
コストがかかる
投資信託の運用には証券会社に購入時の手数料を支払う必要があるだけでなく、投資信託を保有している間に支払う必要がある運用管理費用、さらに投資信託を解約する際に発生する信託財産留保額などの手数料がかかります。
また、投資信託で得た利益は課税対象であることも忘れてはいけません。しかし、NISAやつみたてNISAを選択すると年間の投資上限額の設定はあるにせよ、利益を非課税で受け取ることができたり、iDeCoを選択すると60歳まで引き出すことはできないというデメリットはありますが、掛け金を所得控除したりすることもできるので、少しでも納税の負担を少なくしたいという方にはおすすめです。
投資信託のリスク
投資信託を行う際の注意点について理解したところで、リスクについても押さえておきましょう。
● 価格変動リスク
● 為替変動リスク
● 信用リスク
● 金利変動リスク
価格変動リスク
投資では当たり前のことですが、投資信託であっても株式や債券の価格が変動するリスクがあります。値上がりだけしてくれればこれに越したことはありませんが、世界の政治情勢や企業の業績など様々な要因で値下がりすることもあります。
為替変動リスク
投資信託の中に外国株式や債券が含まれる場合には、外国通貨で投資を行うことになるため、為替のレートによって基準価額も変動するリスクがあることを覚えておきましょう。
信用リスク
投資信託の中に含まれる債券などを発行している国の財政が著しく苦しくなったり、企業の経営状況が悪化したりすると、利息や償還金を支払うことができなくなるというリスクが存在します。
金利変動リスク
投資信託に含まれる債券の金利が変動するリスクも忘れてはいけません。金利が上昇してしまうと債券価格が下落する一方で、金利が下がると債券価格が上昇する関係があり、満期までの期間が長くなればなるほど金利変動の影響は大きくなります。
まとめ
投資信託のリスクについてをはじめ、事前に押さえておきたい注意点についてもわかりやすく解説してきました。
投資信託は、良い面だけでなく、リスクや注意点をしっかりと理解した上で運用をはじめることが大切です。これから投資信託をはじめる方は事前に様々なリスクマネジメントを行っておき、なるべくリスクが少なくなるよう、無理のない範囲で少額からの投資を行うようにしましょう。
次回は【投資信託の仕組み】について解説していきますので、ぜひご覧ください。