2022年、外資の終身保険(主にドル建て)を新規に検討するとき、可能な限りこの先の為替がどうなるのかを予測します。メディアをはじめに、インターネットなどで専門家へのコンタクトが容易になった昨今、一般の人でも情報を集めることができるようになりました。
6月以降も円安傾向が加速し、ドル円は138円(7月20日現在)を記録しました。特に輸入業や物価への影響は深刻で、新型コロナから復興する世の中において新たな懸念事項となっています。
出所)TradingView
「円安は続く」「そろそろ反転して円高」誰の言葉を信じるのか
まずはドル建て保険と為替の関係について復習します。1ドル140円が135円になることを「円安」といいます。1ドルを獲得するのに140円必要だった状態から、135円で足りるようになり、円の価値が下がったためです。
ドル建て保険はドルで保険積立を進めていくので、円安で支払った保険料が円高になると、将来保険料を円で受け取ったときに含み益が生じます。そう考えると、いまドル建て保険は入るべきタイミングといえます。終身保険は保障性と貯蓄性がありますが、貯蓄性において適した時機といえるでしょう。
ただ、この先はどうでしょうか。ウクライナ戦争が長期化の様相を見せ、新聞などを読んでいても今後円安傾向は続いていくのか。円高に反転していくのかは誰も判断できません。
為替相場の指針とする専門家がいる人はいいですが、ドル建て保険に入ったはいいけれど先行き不安の人は、誰の言葉を信じていけばいいのでしょうか。誰か特定の意見を鵜呑みにして、毎月頑張って捻出した保険料が毀損するのは避けたいものです。
評価額を気にする生活をはじめるきっかけに
その答えを先に書くと、「信じられるのは自分だけ」という回答になります。無理もありません。これだけ先行きが読めないなか、専門家を決めてアドバイスを信じぬくのはリスクが高いもの。富裕層の方を中心に資産運用を財務の専門家に全面預託している人はいますが、為替の展望のみを仕入れるとは明らかに異なる話です。
いわば、ドル建て終身を買ってあとは終わりではなく、自分の財産として加入後も関心を持ち続けること。これから情勢がどうなっていくか不透明なだけに、その姿勢が保険を中心とした家計管理に最適であるといえるでしょう。では具体的に、まず何をすればいいのでしょうか。
(1)塩漬けにせず、いま自分の保険はどれくらいの評価額なのかを把握する
まず簡単にできるのは、いま自分が加入している保険の評価額(為替を反映した現在の価格)はいくらなのかを随時把握することです。この評価額は生命保険会社の会員ページなどで確認することができます。この金額は万が一のときの終身保障額はもちろん、解約したときの解約返戻金の基準価格にもなります。
もちろん為替の動きにリアルタイムで反応してチャートをつけると日常生活の負担になるため、月に1、2度確認するくらいのペースで大丈夫です。確定拠出年金や定期保険などほかの評価額ベースの資産運用と同時に管理し、いま自分の財産がどれくらいなのかを把握する習慣をつけましょう。
評価額を確認する習慣がつくと、毎月支払っている保険料が資産形成に役立っていると自信がつくうえ、毎月の捻出を継続するモチベーションにつながります。
(2)「貯蓄から投資へ」の流れは続く
この話は世代によって、より重みを増します。いまこの記事を読んでいる保険加入者・検討者の方が20代30代ならば、より力を入れてこの習慣付けをお勧めします。
以前国は若年層への金融教育として貯蓄の大切さを中心に据えていたものの、金利の下落などにより投資へベクトルを定め、さまざまな施策を打ち出してきました。NISAやiDeCoなどはこの方向性にもとづいた、投資信託の運用を軸とした資産形成です。
今後も為替相場や株相場を読み取る能力は重宝していくことでしょう。外資保険をきっかけにした為替変動の勉強は、含み益を生む点以外にも、いわゆる生涯学習として求められていくことは間違いありません。ならば保険加入もひとつのきっかけとして、自分自身の学習の場を整えていくのは有益な方法といえるでしょう。
想定外の相場環境であるだけに、自分ごととして資産形成の一端としていくことをお勧めします。もちろん資産運用を自分ごととするならば、時に損失を出したり、わからないことが多かったりするネガティブな側面はあります。筆者は現代の資産運用の勉強を「自転車」だと考えています。
多少擦り傷を作っても、頑張って公園で運転方法を覚えたら、日常生活はとたんに便利になりました。もちろん必要以上のリスクを取らない点や、損切りを意識することはとても大切です。その習慣づくりのなかで、自分の投資スタンスを磨いていきましょう。