生命保険を選ぶとき、Googleで検索すると予想以上にたくさんの生命保険会社ホームページに到達します。各社商品を見てみると、保険商品に不慣れな自分にはまず違いのわからない、同じような商品構成に目が丸くなります。なぜこれほどまでに、生命保険は似ているのでしょうか。そしてそのなかから、どのように自分が加入検討する保険を選べばいいのでしょうか。
意外に生命保険選びは迷わない?
今回の執筆にあたり、GoogleやTwitterで「保険・違い・わからない」などいくつかの検索をしてみました。仮説としては各社商品の違いがわからないという愚痴めいた投稿がヒットするかと思ったのですが、拍子抜けするほどそのような声はありませんでした。
筆者は記事執筆キャリアのなかで何度も、「各社の商品構成が似ていてわからない」と思った人間です。専門家として保険の分析をしていることも加わり、だからこそ検索結果はとても意外でした。
生命保険は公的保障に上乗せの民間サービスとして、ある統計によると80%以上の人が加入しています。日本人は保険が大好きといわれるほどの巨大な市場規模を有しています。保険市場を訪ねる消費者(申込検討者)が何かしら保険を噛み砕く機会を得ているか、勉強する機会があるのか、それとも別の理由なのか。3つの理由が考えられます。
保険相談のタッチポイントは思っているよりとても近い
回答として最も納得感があったのは、生命保険のタッチポイントが近いという点です。先ほどの三択に敢えて寄せるならば、保険の専門家によって噛み砕く機会を得ているという回答でしょうか。以前は保険会社を訪問したり、保険の営業マンと時間を共有したりしなければ得られなかった各社保険の違いが、インターネット上の相談機会を気軽に受けることによって成立するようになりました。インターネットに限らずとも、街を歩くとキャッチ―な乗合い保険代理店が並んでいます。
医療保険と終身保険、主契約と特約といった大きな違いは保険加入の検討者も理解しています。そこから更に詳細の内容である入院給付金の違いは告知義務の違いなどに入ると、タッチポイントから丁寧な説明がされるという構図です。これは保険検討者にとって、プラスの状況だと思います
生命保険は運用をしないからこそ、申込担当者との相性が重要
もちろんリスクはあります。その窓口担当者は当然、保険販売をすることで生計を立てています。一昔前ならゴリゴリの営業を受けるリスクがありました。今日、それが完全に無くなったと言い切ることはできませんが、以前よりも顧客重視で、ライフプランをきちんと組み立ててから保険提案の話に移る人が増えたように思います(筆者も執筆業とは別に保険の販売もしているので、ポジショントークと自覚しています)。誰から生命保険を買うか(申し込むか)。この視点は軽視してしまいがちですが、生命保険の商品ラインナップがとても似ているからこそ重要です。
生命保険は加入者が運用をしない
生命保険にも貯蓄型保険があるため、資産運用のひとつの方法としてカテゴライズされることがあります。満期型や定期型といった終身保険で一定期間保険料を支払い、一時金として家計を助ける効果もあります。同じように資産を殖やす方法に株式投資や投資信託がありますが、これらの運用方法との最も大きな違いは、保険加入者自身が運用をしないことです。
株式投資や投資信託は定期的に購入・売却など、申込担当者と定期的なコンタクトが継続します。一方で保険は病気やケガが無いと、基本的に担当者と連絡を取ることはありませんが、保険組み換えや解約というセンシティブな場面に、あらためて連絡を取る必要が生まれます。だからこそ、信頼できる担当者であるべきです。
担当者に連絡を取るのは、保険組み換えか解約というセンシティブな相談
保険の組み換えでは保険料が上下するのか、保障がどのように変わるのかの全体論にとどまらず、保険料の組み換えに至ったライフプランの変更や、家族の状況変化などセンシティブな内容を共有しなければなりません。まして加入中の保険の解約にいたっては、相手の顧客から逸脱するというマイナスの話を切り出さなくてはなりません。
だからこそ、信頼できる相手を窓口にすることがとても大切です。仮に担当者が諸事情で退職をしているのなら、代わりの担当者と適度なコミュニケーションを取っておくことをお勧めするほど、万が一のための保険の準備は重要といえるでしょう。
2022年秋現在、アメリカの金利が著しく上がり、ドル建ての終身保険の利率も高くなっています。普段の生活では、このような話に対して意識をしていないと、なかなか情報を収集することはできません。これも一種の、保険の商品が似ているわかりづらさといえるでしょう。だからこそタッチポイントの担当者と定期的なコミュニケーションを取り、日々の生活に役立てていきたいものです。