日本は晩婚化が進んでいます。生命保険文化センターの調査によると、2020年時点での初婚年齢は男性が31歳、女性が29.4歳です。1985年と比較すると男性は2.8歳、女性は3.9歳の上昇です。国民年金制度が20歳からの40年間を満額支給としているように、未だ日本には晩婚だとライフプランを設計しづらい風潮があります。
素敵な縁があって40代で伴侶を見つけた方は、どのような資産活用術を組めばいいのでしょうか。
40代からでは配偶者を受取人とした終身保険が組みづらい
結婚して最も見直しの必要があるのは生命保険です。それまで自分が病気やケガに見舞われた場合に対し、医療費を保障する医療保険に加入している人が多いです。終身保険には自身の葬儀代を確保するという目的もありますが、現役世代にとってはあまり現実味のない話でしょう。
縁あって結婚をして以降は配偶者、子どもが生まれれば子どもの生活を保障する終身保険の必要性が増します。こう考えると、結婚は生命保険を見直す絶好の機会です。
ただ、40代になってからの終身保険には2つのデメリットがあります。1つは年齢を重ねてから加入する終身保険は保険料が高いこと。もう1つは解約返戻金の視点です。
終身保険には保障性に合わせて、貯蓄性の機能があります。申込時期から保険料支払いを重ね20年、25年といった一定の期間が経過すると、支払った保険料の総額(支払済保険料総額)以上の解約返戻金が戻ってくるという仕組みです。
現在、終身保険のメインは低解約返戻型となっており、暫くは水面下を進むように解約返戻金が70%、80%という状況が続きます(70%とは、その時点で解約した場合、支払済保険料の70%しか戻ってこないという意味です)。一定期間を経過すると解約返戻金が引きあがる逆L字のような傾向です。
貯蓄性に目を瞑るか、変額性のあるリスクを取るか
そもそも、終身保険は貯蓄商品ではありません。あくまで何かあったときの保障性をメインに考えて、終身保険に期待するのも考え方の1つです。とはいえ、保険料として支払ったお金が返ってくるのであれば、1円でも多くと望むのが人心というもの。
その時に保険会社がよく提案するのが外貨建て保険と変額保険です。前者の外貨建て保険はその名の通り、米ドルや豪ドルで運用し、外貨利率で増えていく仕組みのもの。対して保険は保険料を一般勘定と特別勘定といった2つの財布に分け、特別勘定については運用してリターンを狙っていくものです。その分リスクも介在します。最近保険会社で変額保険の実績が増えているのは、このあたりの背景も加わっての傾向ではないでしょうか。
住宅購入と住宅ローンをどう考えるか
次に考えたいのが住宅購入と住宅ローンです。住宅購入も終身保険と同様、支払期間を長くすることで毎月の支払負担を軽減することができます。40歳を超えてからの住宅購入には2つの注意点があります。
1つは返済終了予定時の契約者の年齢です。現役時代は毎月の給料で返済できていたローン返済も、定年を迎えるなどで報酬に変動があると、とたんに負担感が増します。20代、30代で購入するよりも当然、定年を迎えるまでの年数は短いです。住宅購入の際は、収入状況に変化があっても返済を続けていけそうかで判断するのが大切です。
また、定年前後の負担感を軽減するために毎月無理のある返済額を設定する方もいますが、何十年にも渡る住宅ローンの返済は一時の頑張りだけで超えられるものではありません。長期的に考えて返済を継続していけそうかというリスクヘッジの視点が大切になるでしょう。
財布が別の夫婦は家計を見直してからまた別にする?
筆者は個人相談を受けていて感じるのは、晩婚化によって財布が別の夫婦が増えているのではという傾向です。男性も女性も結婚まで自身で家計を回しており、なかには独身時代に購入した居住用不動産を所有している方も目立ちます。ファイナンシャルプランナーとして、そもそも財布が別の夫婦は家計管理がどちらかに依存しないというメリットがあります。
一方で相手が運用している評価損益や余剰金の状況、加入している生命保険などが不透明な部分が多く、保険や家計の見直しを進めても相手のことはわからない、という家計半分の見直しで終わってしまうことも多いです。
結婚に際しては、一度財布を合わせてから不透明な部分を見直して、また数カ月後財布を別にすることをお勧めします。相手の財布をまったく把握していないのと、結婚時からの変化を把握していないのは大きく異なります。まして結婚前にしっかりと家計管理出来ていたのであれば、より合わせることで重複部分が発生する可能性も高いです。
調整をして再度別々にした財布は、改めてお互いに裁量権を与え、家計管理と運用を進めていきましょう。人生100年時代です。社会に出て20年経過した周辺での再デザインから、縁あって素敵な毎日が生まれることを楽しみましょう。