コンビニエンスストアのセブンイレブンなどを運営するセブン&アイ・ホールディングス<3382.T>は6月16日、傘下のイトーヨーカ堂とヨークを合併すると発表しました。
両社の合併によりスーパーストア事業を統合再編を進めることで、注力する首都圏におけるシナジーおよび運営効率を最大化するとしています。
主力のコンビニエンスストア事業がどうしても目立ちますが、このコンビニ事業はもともとは現在のセブン&アイ・ホールディングス名誉顧問で当時は当時イトーヨーカドー取締役だった鈴木敏文氏が注力し、米国でセブンイレブンを運営するサウスランド社と提携して設立したヨークセブン社が発端です。
つまりイトーヨーカドーがなければ、いまのセブンイレブンのかたちにはなっていなかったと言えるでしょう。親会社だったイトーヨーカドーをセブンイレブンが業績規模などで上回るようにもなったことなどもあり、同社は持ち株会社に移行。その社名であるセブン&i・ホールディングスは、イトーヨーカドーの「i」よりもセブンイレブンの「セブン」の方が先にくるようにはなりましたが、それでも同社の重要な事業の一角を占めて言えると言えるでしょう。
一方で、同社グループにおける存在感という意味ではスーパーマーケット事業はコンビニ事業と比較して見劣りすると言わざるを得ません。直近の23.2期のセグメント別業績をみると、国内コンビニエンスストア事業の営業利益が2320億円、海外コンビニエンスストア事業が同2897億円となっているのに対し、スーパーストア事業は同121億円に過ぎません。国内外を合わせたコンビニ事業の2%弱にとどまっているわけですから、再編が必要とされるのも、もっともなことでしょう。
そんな同社の年収ですが、直近の2023年2月期は776万円でした。国税庁が発表している「民間給与実態統計調査(令和3年分)」によると、平均給与所得は443万円(前年比2.3%の上昇、10万円の増加)となっていますので、平均よりは高額であると言えます。
ちなみにその前の2022年2月期には同739万円、2021年2月期が同742万円、2020年2月期が同744万円、2019年2月期が同736万円となっています。直近の年収が少し高めになっている以外は比較的730万円から740万円前後で安定した水準となっていると言えるでしょう。
役員報酬については取締役8名に対し、報酬総額が5億4800万円。そのうち固定報酬が2億2500万円、賞与が1億5000万円、株式報酬が1億7000万円となっています。取締役1人当たりでは6850万円ということになりますね。
ただし、これはセブン&アイの役員報酬であり、グループ全体の連結報酬だと少し事情が変わってきます。同社社長でもある井坂隆一氏の役員報酬は合計2億4600万円。それに対し、同取締役のジョセフ・マイケル・デビント氏は37億8700万円となっています。
いやいや、37億では役員報酬の総額を超えているじゃないかという指摘はごもっとも。グループ全体の連結報酬と前述したように、これには米子会社である7-Eleven, Incの報酬が含まれており、そちらの報酬が37億6500万円と突出しているためです。セブン&アイのみの報酬であれば、ジョセフ・マイケル・デビント氏は2100万円にとどまります。
グローバル企業では本体の社長の給料よりも、海外子会社の社長や役員の報酬が高くなるのは珍しくないとはいえ、ここまで大きなギャップがあることにはやはり違和感を覚えてしまいます。今後も成長を続ける企業は、今まで以上にグローバル化が進展することになるでしょう。そのなかで優秀な人材を確保するためには、グローバル基準での給与は必須事項ですから、日本の役員報酬についても、もう少しグローバル基準に近づける必要が出てくるかもしれません。