2023年上半期に上場した企業で特に平均年収が高かったのは?
前週は2023年上半期IPO企業の給与をチェック(前編)として、上半期に上場したなかでも、特に話題となった企業、注目度の高かった企業の一部について、その平均給与をご紹介しました。今週は後編として、平均年収をランキング形式で取りあげていきたいと思います。
(再掲)2023年上半期に上場した主な企業の平均年収一覧(単位 万円)
平均年収が一番高かったのは、2023年4月に上場したレオス・キャピタルワークス<7330.T>となりました。同社はSBIホールディングスの投資運用子会社です。「ひふみ」ブランドの投資信託を設定、運用、販売しており、こちらの投資信託のほうが、もしかしたら馴染みが深いかもしれません。
レオスの平均年収は1082万円。今回取り上げたIPO企業のなかで唯一の1000万円超企業となりました。高い給与の要因は業態によるものと言えそうです。金融業のなかでも、特に資産運用を手がける企業については、運用担当者に高いインセンティブを与えている場合が多く、成績が良かった社員は多額のボーナスが支払われるものです。そのため、平均給与も高くなる傾向があるのでしょう。
次いで平均年収が高いのがAnyMind Group<5027.T>。企業向けマーケティング支援を手がける企業です。株式投資に詳しい方であれば、2度の上場延期を経て、上場までこぎつけた企業として記憶にある方もいらっしゃるのではないでしょうか。まさに3度目の正直ですね。
事業のなかではブランドコマース事業が主力であり、インフルエンサーマーケティングを企画・推進・管理するプラットフォーム「AnyTag」や、デジタル・モバイルマーケティング支援プラットフォーム「AnyDigital」を中心にブランド運営事業者に対し、マーケティングソリューションを提供しています。いわゆるコンサルティングに近いサービスを提供している側面から、報酬も高くなりがちなのかもしれません。
3番目に平均年収がABEJA<5574.T>です。同社はDX(デジタルトランスフォーメーション)プラットフォーム「ABEJA Platform」を基盤として、顧客企業のDXを総合的に支援する「デジタルプラットフォーム事業」を運営しています。AIを活用したディープラーニング(深層学習)をベースに開発されたシステムをもとにサービスを提供していることから、AIエンジニアなど高度な専門知識を持つ社員を雇用するために、給与も高水準になっている面がありそうです。
4位のアイスペースは前週にも取り上げたので割愛するとして、5位はモンスターラボホールディングス<5255.T>はこちらもデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援する、いわゆるコンサル的な面を持つ企業となります。加えて、海外買収を積極的に進めており、国内外20の国と地域、33都市に拠点を持っていることから、国内だけでなくワールドワイドに対応できる人材への報酬が平均を押し上げていると思われます。
6位のノイルイミューン・バイオテック<4893.T>は、同社は山口大学と国立がん研究センター発のバイオベンチャーで、CAR-T(キメラ抗原受容体を作るT細胞)細胞療法を主とした新規がん免疫療法の開発を手がけています。創薬系の企業は平均給与が高くなりがちで、同社も例にもれず800万円超の高水準となっています。従業員の平均年齢が48歳と高めであることも関係しているのでしょう。
さて、株式市場では、しばらく中断していたIPOも7月後半にかけて再開してきています。このなかから日本を代表するような存在へと成長する企業が出てくることを期待したいですね。