日本経済新聞が調査した2024年の2024年の賃金動向調査によると、定期昇給とベースアップ(ベア)を合わせた平均賃上げ率は前年比1.61ポイント高い5.67%となったもようです。また、連合がまとめた2024年春闘の4次集計は、賃上げ率が平均で5.20%。前年同期比では1.51ポイント上昇となっています。
日本経済新聞の調査対象は上場企業と日本経済新聞社が独自に選んだ有力な非上場企業の合計2248社となっており、上記の集計数値は4月25日時点で回答のあった544社分とされています。一方で連合は、回答あった3283組合分となっており、そのなかでも300万人未満の中小組合2123組合の賃上げ賃上げ率は平均4.75%となっています。連合の数字のほうがやや低い数値となっているのは、そのためと考えられます。
とはいえ、中小企業の多くもこれだけ賃上げを実施していることは、ここまで前年同月比マイナスが続いている実質賃金の見通しについても、改善が期待できるかもしれません。
個別企業では、日本経済新聞の調査に回答した企業のうち、ベアの額がもっとも大きかったのは商船三井<9104.T>でした。金額は月9万2400円増。ベア率は14.13%と非常に高い水準です。
また、同じく日本経済新聞がまとめた2024年夏のボーナス調査(中間集計)でトップになったのが三菱商事で支給額は641万8800万円。続く2位には前述した商船三井が入りました。支給額は261万円となっており、十分に高額な水準であるとは思いますが、三菱商事の額があまりにもダントツなため、1位と2位の差が非常に大きくなっていますね。
商船三井の平均年収ですが、有価証券報告書によれば、2023年3月期が1517万円。前年の2022年3月期が1073万円。2021年3月期が1026万円。2020年3月期が1003万円となっています。平均して1000万円を超えているのはかなりの高給と言って良い水準だと思いますが、特に23.3期の給与が高いですね。
これはコロナによるサプライチェーンの混乱により、コンテナ船運賃が急騰し、同社の持分法適用会社であるコンテナ船運航会社オーシャンネットワークエクスプレス(ONE)の業績が改善。受取配当金の増加により、同社の純利益も2022年3月期、2023年3月期と続けて大幅な増益となったことが寄与していると思われます。
前述したように商船三井では2024年夏のボーナスも高額支給となるようなので、2024年3月期、そして今2025年3月期も高水準の平均年収が続くと予想されます。
業績については、コロナ禍の混乱も落ち着き、コンテナ運賃も一時期のような高値からは下がってたことから、2024年3月期は純利益が前期から大幅に減少。会社側では今2025年3月期についても減益を見込んでいます。
とはいえ、イスラエル問題などの外部要因から海上輸送のコストは増加しており、それに伴って運賃も上昇傾向にあります。加えて、米国の対中関税強化の方針も伝わり、米国企業のなかには今のうちに中国からの商品について在庫を積み増そうと、輸送量を増やす動きなどもあることからアジア―北米間の輸送費用が上昇しています。
このことから、今2025年3月期の業績は会社計画を上振れるのではとの見方もあり、株式市場では海運各社の株価にも注目が集まっているところです。引き続き好業績となれば、ボーナスなどにも影響があるかもしれません。