気になるあの企業の給料は?

気になるあの企業の給料は?(4)大企業にも負けないベンチャーのメルカリ

高成長のベンチャーは給料も高成長


年収の高い企業として真っ先にイメージされるのは商社などの企業でしょうか。また金融なども昔から高収入イメージがあると思います。一方でベンチャーと聞くとどうでしょう。収入面でいえば、ストックオプションなど将来的な利益期待はあったとしても、どんどんお給料が上がる、というイメージを持つ人は多くないかもしれません。


しかし、ベンチャーのなかには業績が拡大すればするほど必要となる人材確保のため、昇給や福利厚生に力を入れている企業は少なくありません。今回はそのなかでも「メルカリ」の年収に注目したいと思います。


同社の設立は2013年2月1日。フリマアプリ「メルカリ」の運営を行う企業として設立されました。メルカリサービスの開始は2013年7月。それ以降、成長を続け現在では月間ユーザー2000万人超を誇るサービスに成長しました。


そんな同社の直近2022年6月期の平均年収は、有価証券報告書によると968万円。国税庁の発表資料によれば、国民の平均給与は年間で461万円ですから倍以上の水準ですから、かなりの高給と言えそうです。





とは言え、メルカリも当初からここまで高水準の給料だったわけではありません。過去5年間の同社の平均年収推移を見ると、2018年6月期には500万円弱に過ぎなかったことがわかります。ここから翌2019年6月期には前期比42%高の712万円に、2020年6月期には同15%高の821万円に増額。2021年、2022年と増額が続き、5年間で92%も平均給与が上昇しました。これほどまでのペースで昇給が実施される企業の例は、なかなか見かけないのではないでしょうか。


この間、同社の売上高と従業員数もともに拡大。従業員は756人から1232人まで62%増、売上高は358億円から1470億円までなんと4倍超にまで増加しています。この点はやはり高成長のベンチャーならではと言えるかもしれません。会社の業績拡大に合わせて人員が拡大し、給料も増額される好循環となっています。



エンジニアへの好待遇が平均給与を押し上げか



同社の年収が高水準になる要因の一つとしては、エンジニアの採用が多い点が挙げられるでしょう。詳しい人員構成比率などは公開されていませんが、同社のサービスはフリマアプリの「メルカリ」および、決済サービスの「メルペイ」が主で、ともにエンジニアなしではサービスを成立させることはできません。


今やどの業種でもエンジニアは取り合いで、人材確保のためにはどうしても給与水準は高くせざるを得ないことが影響していると思われます。


ちなみに同社創業者で同社CEOの山田進太郎氏の報酬は2億3700万円(22.6期)となっています。このうち固定報酬が2200万円でストックオプションは2億1500万円です。報酬のほとんどはストックオプションということになります。


同社のほかベンチャー企業であっても高成長を背景に高年収の企業はたくさんあります。こうした企業のなかから、次の時代をリードするような企業が生まれればと想像するとワクワクしますね。メルカリにもぜひ頑張ってもらいたいところです。



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日本株情報部 アナリスト

斎藤 裕昭

経済誌、株式情報誌の記者を経て2019年に入社。 幅広い企業への取材経験をもとに、個別株を中心としたニュース配信を担当。

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