気になるあの企業の給料は?

平均年収1000万超でもさらに賃上げを実施する大林組

ゼネコン大手の大林組は2024年4月の賃金改定において、約7%の賃上げを実施しました。


従業員約1万人に対し、平均4.5%のベースアップを実施(基本給は従業員平均で月当たり約2万5000円の引き上げ)しており、定期昇給と合わせた賃上げ率が平均7%程度となるようです。


また、この賃金改定に先駆けて、2024年4月新卒社員の初任給をアップすることも、2023年11月時点で発表しています。


大学院了(修士)が30万円、大学卒が28万円(それぞれ全国型、2023年4月比+3万円)としており、初任給の引き上げは2022年4月から3年連続となっています。


会社側は、今回のベースアップについて、「インフレ経済が定着していく中、政府の『成長と分配の好循環』の達成に資するとともに、物価上昇を上回る賃上げを実施し、建設業の魅力を高めていくことが大林組の社会的責務である」との判断により実施するものだと説明しています。


業績の方も好調です。前2024年3月期の着地は、売上高が2兆3252億円(前の期比17.2%増)、営業利益794億円(同15.4%減)と、会社計画の同2兆2800億円、740億円を上回りました。


今2025年3月期の業績予想についても、売上高が2兆5100億円(前の期比17.2%増)、営業利益930億円(同17.2%増)と、市場予想平均の同2兆2670億円、895億円を上回っており、非常に堅調な見通しです。


好調な業績を背景に配当も積み増しており、2024年3月期の年間配当は1株当たり75円と2023年3月期の42円から大幅な増配。2025年3月期の年間配当予想も1株当たり80円とさらなる増配を計画しており、配当性向は70%近い水準となっています。


業績も堅調で配当も積み増していることから、株価は決算発表の翌日となる5月14日には年初来高値1950円を上回り、1989年付けた上場来高値1960円に迫る1958円まで上昇する場面がありました。ゼネコン各社は近年、株主還元の強化に注力しており、セクター全体が堅調な印象がありますが、その中でも同社は特に好調な部類に入ると思います。


有価証券報告書よりDZHFR作成


そんな同社の平均年収ですが、有価証券報告書によれば、同社の2023年3月期が1032万円。前年の2022年3月期が1025万円。2021年3月期が1032万円。2020年3月期が1058万円となっています。平均が1000万円超はかなりの高水準といってよいと思います。


国税庁が発表している日本全体の平均年収458万円(令和4年分民間給与実態統計調査による)を大きく上回っていますし、同じく国税庁調べによる「業種別の平均給与」における建設業界の平均年収493万円もよりも高いです。


これは同社が建設業界の中でも上流のスーパーゼネコンと呼ばれる企業であるからでしょう。同社のほか、鹿島、竹中工務店、大成建設、清水建設といった企業も平均年収はほぼ同水準で非常に高額となっています。


また、建設業は厳しい仕事でもあり、高い水準の給料を提示しないと人が集まらない、という面もあるかと思います。加えて、業務時間が長い分、割増賃金になったり危険な作業を行うための危険手当などがつくことなどもあります。土日でも作業をしている現場があれば、休日出勤も必要になりますし、早朝や深夜の作業となればそれに対する手当も加算されるため、こうした積み重ねが給与水準を引き上げていると言えるでしょう。


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日本株情報部 アナリスト

斎藤 裕昭

経済誌、株式情報誌の記者を経て2019年に入社。 幅広い企業への取材経験をもとに、個別株を中心としたニュース配信を担当。

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