新規上場企業の給料はどれくらいか?
毎年12月は新規公開株式(IPO)がとても多い時期と知られています。IPOとはその会社の株式を株式市場で自由に売買できるようことで、平たく言えば上場のことです。
新規上場の会社と言えば、いわゆるベンチャーと呼ばれるような設立間もない企業のイメージがありますが、実際には老舗の企業もありますし、手がける事業もいわゆるIT関連から食品、不動産、卸売などさまざまです。
給料についても、ベンチャーなのだから大企業よりは少ないのでは?と思う方もいれば、上場するぐらい成長してきている企業だから給料もどんどん上がっているに違いないという意見もあるかもしれません。そこで今回は12月上場の主な企業23社の年間給与を一覧にしてみました。
単位:万円
有価証券届出書よりDZHFR作成
12月上場企業のうち、もっとも年収が高かった企業はコーチ・エィです。同社はコーチングによる組織開発事業およびコーチング人材育成事業を手がける企業で設立は2001年。会社計画では2022年12月期の連結売上高予想は35.4億円が見込まれています。年収の高さはコーチングという専門スキルが社員に求められるためと言えそうです。
2位はproperty technologies。こちらは中古住宅再生および戸建て住宅(KAITRY事業)を手がけており、業種としては不動産ということになります。従業員数は19人と少ないですが、連結を含めると336人と一気に増えます。市場が拡大していることも追い風となり、業績は好調。そのため給与水準も高めとなっています。
3位はモビリティー(移動性)データを活用した各種サービスを提供するスマートドライブ。GPSなどのデータをもとに、企業の業務効率化などを提案しています。データを活用するためのエンジニアなどが年収を引き上げているものと思われます。
年収がもっとも低かった企業はダイワ通信です。こちらは石川県の会社で防犯・監視カメラなどの販売施工を手がけています。また代理店としてソフトバンクショップも運営しています。東京と違い地方はどうしても給与水準が低くなりがちなこと、また一般的な平均年収より給与水準が低いといわれる携帯ショップの代理店を展開していることが年収が低くなった要因かもしれません。
年収が低かった企業2位は矯正用歯科技工物の製造・販売を手がけるアソインターナショナルです。設立は1988年ですが社員の平均年齢は34.2歳と設立年度にしては比較的若い社員が多いようです。その分、給与もまだ上昇している途上にあるのかもしれません。
同3位はトリドリです。同社はインフルエンサーと企業をマッチングするマーケティングプラットフォームサービス「toridori base」をはじめとしたインフルエンサーマーケティングサービスの開発・提供しています。設立は2016年で社員の平均年齢は27.4歳。会社も社員も非常に若く、事業もここ数年で伸びてきた分野です。給与水準はこれから上昇していくことになりそうですね。
23社の平均では約557万円となり、国税庁の発表している平均給与所得433万円を上回る水準となりました。やはり新規上場という成長が期待される企業だけに、給与も高い企業が少なくなかったようです。ちなみに12月上場企業のなかでも注目度の高かったスカイマークの年収は545万円と、12月上場企業の平均をわずかに下回る水準でした。
普段IPOの企業を見る際には事業内容や成長性をチェックし、年収を見ることはあまりないかと思いますが、たまにはこんな視点で見てみるのもおもしろいものですね。