わずか5年で平均年収200万円アップ
今回は半導体性製造装置メーカーでは国内最大手の東京エレクトロンを取り上げたいと思います。同社は半導体製造装置において、国内最大手というだけでなく世界的にみてもトップクラスのシェアを誇っています。BtoBの企業なので一般の人にはなじみが薄い面もあるかもしれませんが、投資家にとっては日経平均構成銘柄のなかでも有数の存在感を放つ、圧倒的なエクセレントカンパニーとして知られています。
そんな東京エレクトロンですが、もともとは東京放送(現在のTBSホールディングス)が1960年代に設立した「東京エレクトロン研究所」がはじまりです。東京エレクトロンの「東京」は東京放送からきているんですね。2023年3月期上期末時点においても、TBSホールディングスは東京エレクトロンの株式を3%以上保有する大株主のうちの1社です。
会社はコンピュータの進化、そして半導体の進化とともに大きく飛躍。直近ではコロナ禍におけるパソコン向け需要増といった半導体特需もあり、2022年3月の連結売上高2兆円、同営業利益は5990億円と、業績は非常に好調です。
有価証券報告書よりDZHフィナンシャルリサーチ作成
平均給与(左軸)従業員数(右軸)
給与のほうもここ数年は右肩上がりで、2022年3月期の平均給与は1285万円。2018年3月期が同1077万円でしたので、この5年で2割近くも増加したことになります。これは国税庁の発表よる国民の年間平均給与461万円と比べて2.8倍もの高水準です。
一般的に高給というと総合商社や大手不動産、コンサル会社などがイメージされます。実際に、東京商工リサーチが作成した上場企業約3200社(持ち株会社を除く)の21年度の平均年収ランキング(https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20220809_02.html)では、上位10社のうち、総合商社が5社、不動産が2社、M&A仲介、電機機器、医薬品が各1社。メーカーが高給というイメージはあまりありませんが、そのなかで東京エレクトロンは上場企業のなかでもトップクラスの給与水準と言えるでしょう。
業績推移
その要因はボーナスにあるようです。日本経済新聞が調査した2022年夏のボーナス平均金額ランキング(https://vdata.nikkei.com/newsgraphics/research-bonus/#/sheet/2022/summer/table?s=SS_&rpp=100)において、東京エレクトロンは第2位の289万6223円。トップとなったディスコの366万1973円には及ばなかったものの、夏だけで290万円近いボーナスは非常に高額な水準です。
蛇足ですが、トップのディスコも半導体関連の事業を手がけており、半導体、電子部品向け切断・研削・研磨装置で世界首位の企業です。
東京エレクトロンの高額給与がボーナスのおかげということは、業績が低調だった場合、給与はどうなるのでしょうか。ウィズコロナでパソコンなどの需要が増加し、半導体特需が発生したことは前述しましたが、コロナ発生直後の2020年3月期においては、やはり同社も業績が一時的に落ち込むことがありました。グラフからもわかるように平均給与は前年から約1割も減少しています。
ボーナスは基本的に業績に連動して決められる場合が多いですから、給与に占めるボーナスの割合が高いことは良いときもあれば、悪いときもあるというのは致し方ない面なのかもしれません。今後の業績にも注目ですね。