親が株式や投資信託などで資産運用をしている場合、「高齢になり資産運用できなくなった時にはどうすれば良いのか」「親が元気なうちにやっておくべきことは?」と疑問を抱く方は多いのではないでしょうか。
① 親が元気なうちに兄弟を含めて話し合い、投資の方針を決めておく、②自身で資産を管理できなくなった時に備え、家族信託を検討するなどの方法があります。
今回は親が資産運用を行っているものの将来が心配な方のために、やっておくべき対策5つをお伝えしていきます。
親が資産運用をしているけど、将来が心配・・・やっておくべき対策5つ
親や兄弟と話し合っておく
相続税の基本を知っておく
親と同じ証券会社の口座を開設する
親が資産を運用できなくなった時に備え、家族信託を検討する
必要に応じて低リスクの運用に切り替える
1.親や兄弟と話し合っておく
まずは親が元気なうちに、兄弟を交えて親の財産について話し合っておくことをおすすめします。
可能であればいざという時のために親にエンディングノートを書いてもらう、財産のリストアップをしてもらうと良いでしょう。
「具体的な財産の額については、教えてくれない」「親に話し合いを渋る」といったケースでは、おおまかな資産運用の方針や方向性について聞いておきましょう。
「FPや親戚など第三者を交えて話し合うことで、親の資産の話が聞けた」という事例もあります。
2.相続税の基本を知っておく
将来的に、相続税が気になる方は多いのではないでしょうか。
相続税は「3,000万円+500万円×法定相続人の数」が基礎控除額で、基礎控除額以内であれば税金は課されません。
国税庁の「2021年分相続税の申告事績の概要」によると、相続税が課される人の割合は全体の9.3%です。まずは「相続財産の対象となる遺産の価額が、基礎控除額を上回るか」がポイントとなります。
上場株式の評価額についても把握しておきましょう。
上場株式は、下記4つのうち最も低い価額で評価します。
※相続が発生した日とは、被相続人が亡くなった日もしくは被相続人が亡くなったことを相続人が知った日
出典:国税庁「上場株式の評価」
ちなみに相続税は、相続が生じた日(被相続人が亡くなった日もしくは被相続人が亡くなったことを相続人が知った日)の翌日から10カ月以内に、被相続人の住所地を管轄する税務署に申告・納税します。
配偶者の税額軽減などにより、相続税がかからない場合でも申告は必要ですが基礎控除額ないであれば申告は不要です。
申告書を提出する人が2人以上いる際は、共同で申告書を作成し連署をした上で提出します。
3.親と同じ証券会社の口座を開設する
親が保有している株式などは、親が資産を預けている証券会社で相続の手続きを行います。
親が取引をしている証券会社の口座が無い場合、まず口座開設をしなければなりません。
相続時にはやるべきことが多いため、少しでも負担を軽減できるよう、親と同じ証券会社の口座開設を検討してみましょう。
4.親が資産を運用できなくなった時に備え、家族信託を検討する
親が高齢になり、自身で資産の管理や運用ができなくなった時に備え「家族信託」について知っておきましょう。
家族信託とは、親の財産(不動産・預貯金・有価証券など)を家族に託し、あらかじめ決めた目的や方針で、管理・処分・承継する財産管理の方法です。
信託契約を結ぶことで、子どもなどが親の財産を管理・処分できるようになります。
出典:法務局「家族信託とは?」
信託銀行よりも費用が安く、成年後見制度よりも柔軟な対応が可能な方法として注目を集めています。
ただし兄弟がおり、兄弟のうち1人が受託者(財産を預かる人)になると他の兄弟が不公平に感じてしまいトラブルに発展する事例があります。
あらかじめ親や兄弟と話し合っておきましょう。
5.必要に応じて低リスクの運用に切り替える
家族信託など親の代わりに資産運用をすることになった場合は、低リスクの運用をおすすめします。
なぜなら本人が高齢の場合は、投資で損失が生じても仕事でお金を稼ぎ取り戻すことができません。
よって、基本的に高齢者はリスク許容度(損失に耐えられる度合い)が低いといわれています。
ただし資産家で多くの資産を保有している場合はさまざまな種類の資産に分散することでリスクの軽減が期待できますので、ケースバイケースといえるでしょう。
まとめ
「親とお金について話し合うのは勇気が要る」という方もいらっしゃるでしょう。
しかし、不測の事態に備えて親や兄弟と相談してみることでお互いに安心感が生まれいざという時に冷静に対応できるかもしれません。
この記事で、5つの対策について知っておきましょう。